みかんの群れ

 最近の休みの日はみかん農家さんのお手伝いに行くことにしている。みかんの絶妙な「なくても困らないけどないと困る」感が好きなので、謝礼にもらえるたくさんのみかんがほんとうに嬉しい。今も我が家の一角が橙色に光を反射している。
 みかんのお手伝い中は好きなだけみかんを食べてよいことになっているのだが(なんと太っ腹なんでしょう)、収穫作業をしていると木によってみかんの状態が違うこと、同じ木でも実る場所で味が異なるということがわかる。すぐ隣同士の木でも、明らかに触った時の皮の硬さが違ったり、酸味が強かったりする。同じ木の中でも下の方に実っていたり、密集して実がなるところは凝縮した甘いみかんだったりする。
 こうなってくると困るのは箱詰め、袋詰めするときである。収穫されたみかんは全部一つにまとめられ、サイズごとにまとめてパッケージにされていくので、同じ産地、同じ生産者のみかんでも個体によって味わいが全く異なるものになってしまう。お店で並んだ同じ見た目のみかんも、多分気にしながらいくつか食べていくと多少のアタリハズレがあることに気がつくかもしれない。
 せっかく良い木の良いポジションで実ることのできた優秀なみかんも、酸っぱくて水っぽい残念みかんと同じくくりで箱詰めされて売られてしまうのは気の毒である。チタンケースとかに十分な余白を取った状態にして入れて大事に取引してもらえないものだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?