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たまには銭湯へ ♨️〜470円の魅力~


忙しい毎日を送る現代人。
これから師走へと向かう世間は、さらに忙しさを増すことだろう。

忙しさの中でも、人は自分なりのリフレッシュ方法を持っている。

マッサージや岩盤浴に行ってリラックスする人。
ランニングやスポーツジム、ヨガで汗をかく人。
旅行や温泉に行き、非日常を味わう人。
仲間とお酒を楽しむ人。
家にこもってゆっくり過ごす人。

数ある中でも、私は断然「銭湯に行く!」である。

今の世の中、銭湯に行く人はどれほどいるだろうか?
銭湯にどんなイメージを持っているだろうか?
銭湯の魅力はどこまで知られているだろうか?

そんなみなさんに、銭湯の魅力を一言でお伝えするならば、

“無制限のリフレッシュタイムが料金470円”

である。

こんな気軽な文化は他には無いといってもけして大袈裟ではない。

銭湯の魅力を知らないみなさんに、今回ぜひ銭湯の魅力をお届けしたい。

そして、本格的に寒くなるこれからの季節、1年がんばった自分を銭湯で思うままに労ってリフレッシュしてほしいのである。

1.最近の銭湯事情

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遡ること、30年ほど前。

東京下町のとある商店街で生まれ育った私にとって銭湯は馴染みの文化だった。

別に、家にお風呂が無かったわけではない。
ひどく汚かったわけでも、狭かったわけでもない。
なぜか1ヶ月に3~4回くらいは家族で銭湯に行っていた記憶がある。
私にとって銭湯に行くことは、ごく普通の習慣だった。

当時、実家の近所には徒歩圏内の銭湯が4軒存在していた。
けれど今はその中の1つしか残っていない。
銭湯は今、激減してしまった。

しかし、ここ最近、銭湯が新しい時代に入っていることはご存知だろうか?

いわゆる、瓦屋根と煙突がある建物で、浴場には富士山の絵があるような、昔からある年季の入った銭湯。このような銭湯には、あっつい風呂とぬるい風呂があるくらいが一般的である。
そういう“昔ながらの銭湯”が、最近リニューアルされつつあるのだ。

それは「どんなリニューアル?」と聞かれると、様々だから1つには絞れない。

まず、お風呂の種類でいうと、季節ごとに楽しめる薬湯、ジャグジー風呂(泡風呂)、電気風呂、炭酸風呂、座湯は序の口で、寝湯、うたせ湯、夜景が眺望できる露天風呂、大画面テレビがある風呂、全長25mの浴槽を裸で泳げるプールのような外風呂などがある。

お風呂だけでなく、サウナにも力を入れている銭湯もたくさんある。5人でいっぱいになるくらいのサウナはよく見掛けるようになったし、ミストサウナ、マイナス温度の冷たいサウナなどもあったりする。

他にも、脱衣場の休憩スペースにある縁側から庭と池が見える、敢えて昔のままを残して風情を楽しめる銭湯もある。

おわかりいただけるだろうか。とにかく個性豊かなのだ。

もはや、“昔ながらの銭湯”でなはく、”ネオ銭湯”である。

ここで、スーパー銭湯とどう違うの?と思う人もいるかもしれない。
スーパー銭湯のスーパーが具体的に何を指しているのか次回まで調べておきたいところだが、いわゆる、ある程度の料金が掛かり、食事処が併設され、館内着で過ごせるような娯楽要素の強いものがスーパー銭湯とするならば、今回は街中の煙突がある銭湯を紹介したい。

前述したように、銭湯は1つとして同じものはない。
唯一同じなのは、入浴料金470円だけである。(※2019年10月現在 東京都 12歳以上の大人の料金)

2.銭湯の心得

結婚してすぐの頃、新居の近くに「大黒湯」という銭湯があった。
ここは東京スカイツリーが眺望できる銭湯として有名なのだが、魅力はそれだけにとどまらない。

私達夫婦は、結構お世話になっていた。夫とふたりでも行ったしひとりでも行った。疲れがたまった週末に行くことが多く、そんな時、銭湯は最高だった。

私が子ども時代に行っていた銭湯とはひと味違う“ネオ銭湯”に目覚めるきっかけをくれた、この「大黒湯」の魅力とともに、銭湯の魅力をみなさんにお届けする。

まず、銭湯を楽しむ前に、公共の場であるということおさらいしてほしい。今更?と思うかもしれないが、最低限のマナーを守ることが大切であり、これをわかった上で銭湯にのぞまないと上級者たちに気後れしてしまう可能性もあるのだ。

今は外国人観光客も増え、より一層その目が向けられることもある。そういう方に向けた銭湯の心得ポスターなんぞが掲示されているのは、今や当たり前の風景になりつつある。
ポスターは内容もイラストも様々なので、一見の価値ありだ。

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3.銭湯の醍醐味

いろいろと口うるさく聞こえたかもしれないが、ここまでは序章に過ぎない。

さあ、ここからがいよいよ本題。

これまでのことを心得ておけさえすれば、あとは自分の好きな自由なスタイルで良い。
すべては、自分次第で銭湯の楽しさが無限に広がる。


①家風呂では味わえない非日常の空間

その1.五感で楽しむ銭湯

銭湯に向かうときから楽しみは始まっている。

私がいつも、銭湯のそばに近づくと、今も昔も変わらず銭湯独特の良い匂いがする。
お湯と木が融合した匂いなのか?何の匂いなのか未だによくわからない。わからなくてもいい。想像するのが楽しいし、近づくにつれ「あー銭湯に入るぞ!」という気持ちになる。

そして感じてほしい。当たり前だが、とにかく家より広い。脱衣場も浴場も家より広いのだ。天井は高く、音が響く。桶の響く音は銭湯ならではで、この音がより解放感をかもしだしている。

広々とした湯船では足をグーンと思いっきりのばせるし、熱いお湯と水風呂を交互に入れば永遠に浸かっていられる。


その2.人情のふれあい

銭湯の顔ぶれは日によっても時間によっても表情を変える。
常連さんもいれば観光の人もいたり、親子で来る人、友達同士で来る人と様々だ。

「あら、今日は早いわね。」「あそこの奥さんがね……」「それじゃお先。おやすみなさい。」などと、平日は常連さんがいたり、週末になればお泊まり会の学生たちが恋愛話に花を咲かせていたりする。

家にいたら触れ合えない裸の付き合いが垣間見れるのだ。
これぞ銭湯の醍醐味なのである。

その3.大黒湯で味わうネオ銭湯の魅力

「大黒湯」にももちろん銭湯でしか味わえない非日常がある。

例えば、奇数日と偶数日で男女の風呂が入れ替わる制度。
スカイツリーを眺望できる露天風呂がある方か、広くてぬる目の炭酸風呂がある方か。
行ってみてから気づくこともあれば、狙いを定めて行く日もある。そのギャンブル感も楽しい。

私はどちらも大好きだった。特にぬる目の炭酸風呂は肌に炭酸の泡がつくのを楽しむ風呂なので、じっとして動いてはいけないルール。

おばさんやお姉さん、お母さん達が、ジーっと動かないで浸かっている光景はなかなか面白い。肌がツルツルになるし冷え性改善効果など美容に良いから、いつも大人気なのである。

ちなみに、スカイツリーを眺望できる銭湯は、この近辺で複数ある。
銭湯によって、スカイツリーを下から眺めるのか、板の狭間から真向かいに覗くのか、楽しみ方はいろいろだ。

話を戻すが、
他にも、季節ごとに日替わりで楽しめる薬湯は狭いスペースながらも力を入れている。

定番のゆず湯もあれば、りんご湯、レモン湯、ミルク湯、ジャスミン湯、ミント湯、硫黄湯など変わり種が多いのが魅力。これを自宅のお風呂でやるとなると大変すぎるではないか。しかも、親切なところは、きちんと事前にカレンダーで教えてくれる。自分なりのお気に入りの日を探すことができるので飽きない。

②銭湯の楽しみ方は風呂だけではない!

その1.自分だけの銭湯の遊び方

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銭湯の魅力は風呂だけにとどまらない。

入口を思い浮かべてほしい。未だに下足札のタイプのものが多いのだ。木の札もあれば、鍵のところもある。

きっと誰しも経験があると私は思っているのだが、昔から下足札の番号は自分の好きな番号か誕生日の数字を狙って選んでいた。
ちなみに今のマイブームは、ファンであるジャイアンツ阿部慎之助の背番号10番である。今年引退をしたので、来年からは80番?に変わるが、80個も下足札があるかが今から心配だ。
そういう小さな楽しみ方もあったりする。(私だけ……?)

他にも遊び方はある。
私は目が悪く、コンタクトを外して風呂に入る。そうなると銭湯の時計が全く見えない。
夫と待ち合わせ時間を設定しても大抵遅れる。
銭湯の回数を重ねていくと、慣れた手順の感覚で時間を予想して風呂を出る。そこそこ時間の読みが合っているとちょっと嬉しい。少しだけ、銭湯の上級者になった気分になる。

そうして、上級者の気分を味わい、こなれ感を増やしていきレベルアップしていくのも楽しい。

その2.銭湯あるある

私が小さい頃、母がよくしていたことがある。
母は男湯の父に話しかけて「そろそろ出るよ〜」なんて大声を出していた。逆もしかりで男湯から女湯への大声も飛び交うときもある。そんな光景は我が家だけでなく、よく見かけたものだ。幼心に恥ずかしかった思い出がある。

この光景は、吉本芸人の2丁拳銃や中川家あたりが銭湯のネタとしてよくやっている。
その度に私は、「わかる〜」と懐かしみながら笑っているし、大阪も東京も同じなんだなと発見もあるのだ。

今思えばアナログな感じがすごい。今でもたまに、老夫婦のおばあちゃんがやっているのを見かけるとほっこりする。令和の中に昭和が垣間見れる瞬間だ。


その3.大黒湯のチャレンジ

待合室にも楽しみがある。
「大黒湯」の待合室の壁は、作家さんの展示スペースになっており、定期的にいろいろな作家さんのアートに触れることができる。時には、作品を購入することもできる。

そんな中でも昔と変わらず、テレビから野球中継が流れていたりすると居心地が良い。
アートが過剰でも落ち着かないし、野球中継だけでも飽きてしまう。
その新旧それぞれの良さが入り混じっている待合室で飲む、珈琲牛乳かC.C.Lemonは、とても美味しいし楽しい。

他にも「大黒湯」は定期的にイベントを催している。
漫画家とコラボして風呂の壁画や入り口ののれんが変わっていたり、お風呂券がセットになったランニングイベントがあったりして参加したこともある。

お風呂のロッカーに着替えを保管した後、そのまま近所のコースを5キロほど走った後に、銭湯を楽しむイベントである。

一緒に走った初対面の人は、都内の銭湯を巡っているという強者だった。
一緒に走ったにもかかわらず、風呂場では会話をすることなく、それぞれがそれぞれの風呂を楽しむ。出るときだけ「今日は楽しかったですね。では、お先に。」と一言かわす。
この大人な感じが素敵である。

ちなみに参加記念として、ゆず湯を楽しんでということで、ゆず1つと「ゆ」ステッカーをもらった。
そんな健康的で有意義なイベントもあるのだ。

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③おすすめの季節

個人的には、真冬がたまらない。

冷えきった体がザブーンと湯船に入る瞬間は、五感が喜び、贅沢の極みである。
470円でぽっかぽかになってリフレッシュして帰るなんて最高すぎる。
その晩はぐっすり眠れること間違いなしだ。

夏は夏で、汗かいた体をきれいに流しスッキリした後は、
サウナでさらに汗を流し、冷たい水風呂に浸かるのも最高だ。露天風呂でほてった体を外のベンチで涼むことができるのも夏ならではの楽しみである。


4.終わりに

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銭湯と言っても、楽しみ方は1つではない。

個性ある銭湯を楽しむも良し。
自分なりの楽しみ方を見つけるも良し。
定期的に行ってみて発見を探すのも良し。

リフレッシュしたくなったときに、手軽に楽しめる良さが銭湯にはある。

寒くなるこれからの季節、470円で楽しめる幸せをぜひ味わってみてほしい。

初心者コースとしては、まずはこの3つから手始めに。

その1.                               冷えきった体が熱い湯船に浸かるたまらない瞬間。「く〜」とか「あ゛〜」とか言いたくなる気持ちを体感していただきたい。

その2.                               風呂上りの一杯をどれにしようかなと、風呂時間で思い浮かべてほしい。
定番の珈琲牛乳も良し、ビールや炭酸ジュースでシュワっとするも良し。 アイスを食べるも良し。それには風呂に入る前に、待合室や外の自動販売機でどんなものが買えるのか事前に見ておくことをオススメする。

その3.                               そして、ぽっかぽかに温まった体にしみる冷たい冬の空気とのコラボレーションを感じてほしい。冬が愛おしくなることうけあいだ。

お風呂上がりの一杯を楽しみたいなら、470円プラスの小銭もお忘れなく。

【銭湯の一口メモ】
諸説あるようだが、その昔、江戸っ子は銭湯帰りの綺麗な手で寿司をつまんで食べていたことから、銭湯の近くには寿司屋があると言われている。
「大黒湯」の近くにもその名残がある。
まだ憧れのままだが、江戸っ子としては一度はやってみたい。

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