プットオプションの組み合わせ戦略(1)~裸買い
損益合成図は マネミュ https://manemyu.net/derivatives/payoff を利用しています。
オプションの基本的なところはこちらの記事を参考にしてください(2)も近いうちに書きます
以下に2022年2月限を用いて例を挙げます。(それぞれの損益分布図を合わせて参考にしてください)
執筆時点の日経オプションATM(現在の日経平均ぐらいのイメージで良いです)は28500円です。
P27250 買い 180円 (プット買い)の場合
先にプレミアム(180円x1000枚=18万円)を支払います。証拠金は不要で、その金額さえオプション口座にあれば購入可能(後述の通り、損失がそれ以上は出ないので)
SQ日までホールドした場合
SQ日にSQ値が27250を上回れば、そのまま、支払ったプレミアムは戻ってこず損失となります。
SQが27250を下回れば、その差額が利益となりますが、先に180円分支払っているので、27250-180=27070円ちょうどで利益180円と先に支払った180円で相殺で損益ゼロ、その下は10円ごとに1万円の利益です。
1月初旬の時点で2月中旬の日経平均を予想しないといけないので大変ですが、最終的にどの金額に落ち着いても18万円以上の損は出ませんし、運よく暴落すれば(例えばSQが26570円とかなら差額500円x1000枚の50万円の利益、26070円なら1000円x1000枚の100万円)となります
SQ日までに日経が下がった場合
SQまでの間に日経が下がって、プレミアムが上昇し250円になったとします。そうするとその時点で180円で購入した権利を売ることができ、差額の70円(x1000枚)の利益を得ることができます。小さな利益で良い場合、またはこの下げは一時的で、SQ日までに戻してSQ値の着地がOTMになって18万円失う可能性が大きそうな場合、などはSQまで保持せずに決済することで利益を取ることができます。もちろん、途中の大暴落でプレミアムが680円とかになることも稀にあり、その時は、SQ日に26570円になるのと同じですし、そこまで待って、その金額になる保証はないですから、680円の時点で決済して50万円の利益を取る方が現実的です。
ですから、下がってきた時に、最終SQ日にITMになる可能性を考えながら、SQ日までホールドするか、それとも日経が結局リバウンドしてSQ日にOTMになりそうで、プレミアムで含み益が出ているうちに利確するかの判断が必要となります。
SQ日までに日経が上がった場合
日経が上がればプットオプションのプレミアムは下がります。しかしプレミアムは0円までしか下がらずマイナスになることはありませんから、最大損失は180円分です。これは日経が30000円になろうが、35000円になろうが0円(正確にはSQ日までは1円)までしか下がりません。ここが個別株や日経先物と異なるメリットで、日経先物を下がると思って売り建てをしていて逆方向に上がった場合理論的には青天井(損失の上限なし)ですから、大暴騰でも慌てずにホールドしておけます。
日経がちょっと上がって、プレミアムが例えば50円とかに下がった場合、このまま持っていても日経が上がり続けてSQ日にOTMとなり18万円ロスする可能性が高い、と考えれば50円の時点で売ってしまえば180-50=130円(x1000枚)と損失を180円より小さくすることができますが、今はちょっと上がっているが、SQ日には最終的にまた下げてITMになり、利益が出ると考えれば、そのままSQ日までホールドしておく方が良いので、利益が出ることを期待してSQ日まで待つか、損失額を減らすために途中で損切りとして処分するか、の決断が必要となります。
ITMになれば儲けが出るのなだから、どう考えてもITMになりそうな33000円のプットとかを買えばいいのでは?
と思うかもしれませんが、プットオプションは権利行使価格が高くなればプレミアムが上がりますので、執筆時点での33000円のプレミアムは4670円です。つまりこの権利を買うのに467万円必要ですから、それを補うだけの利益が出るためにはSQ日で33000ー4670=28330円以下で着地する必要がありますし、仮に、27000円で着地したとしても133万円の利益です(33000-27000=5000円(x1000枚)=500万円の利益だが、先に467万円支払って権利を購入しているので500-467=133。もちろん、467万円の出費で500万円の利益ですから利益率は28%で優秀ですが、個人投資家が467万円のプットオプション買えるかなぁ?)
もちろん途中で暴落があればプレミアムが4670円より上に行くのでそこで売れば儲けになりますが、プレミアムが500円上がる(50万円の利益)ために執筆時点のこの価格帯では1000円ぐらい日経が下がる必要があるのと、さらなる難点は、この権利行使価格の銘柄をこの金額で売買する人が少ないのでそもそも買い手がいないかもしれないということです(いわゆる板が薄い)。まあ150円ぐらいプレミアムが上がって15万ぐらい儲けが出れば御の字、と思うかもしれませんが、リスクリワードが釣り合いませんよね。(3%の利益率なので、個別株のデイトレなら十分ですが、繰り返しですが、買い手が簡単に見つかりません)
最大損失額が限定されているとはいえ18万円の出費は厳しい。もっと安いプレミアムを買えば良いのでは?
1万円(10円)ぐらいのプレミアムなら年末ジャンボ30枚と同じぐらいだから許容できる損失だから、ということですが、プレミアムの安いオプションを買うには権利行使価格も下げる必要があります。執筆時点で10円で買えるプットの権利行使価格は23000円が11円です。つまりSQ日までホールドしてITMとなり利益が出るためには、SQ値が23000-11=22989円を切る必要があります。それより上の価格ではプレミアム分の損失です。1万円とはいえ、失う可能性の方が高そうですよね。
一方、SQ日までホールドせず日経が下がった時にプレミアムが上がるのでそこで決済すれば利益を得ることができます。イメージとしては日経平均が500円下げて2円(2千円)、1000円下げてやっと7円(7千円)プレミアムが上がります。
でも日経の動きに合わせての売買で利益を取るなら証拠金は13〜14万円かかりますが、日経先物ミニを1枚売れば、500円下げると5万円、1000円下げると10万円利益となります(もちろん先述の通り予想と外れて日経が上がればその金額に比例した損失となります)から、利益率としては日経先物ミニの方が魅力的かもしれません。
ちなみに例に出したP27250 買い 180円だと、日経が500円下がるとプレミアムが100円(10万円)、1000円下げると200円(20万円)ぐらい動きます。この価格帯だと日経先物ミニより魅力的ですね。
うまくできています。
まとめ
プット買い
SQ日まで持った場合
* 権利行使価格より上(OTM)で損失定額(プレミアム購入分)必要資金もその金額でよい
* 権利行使価格より下(ITM)(正確には権利行使価格マイナス プレミアム分)で低ければ低いほど利益が大きい(理論上無限大)
途中で権利を売買する場合
* 日経が上がればプレミアムが下がり含み損(含み損がプレミアム購入金額を超えることはない。決済で損失となるが、うまくやればプレミアム購入額全額より少ない金額の損失で済む)
* 日経が下がればプレミアムが上がり含み益(決済で利益)
デメリット
私見ですが、買い(プットだけでなくコールも)はSQまで持つことを前提とせず、途中のプレミアム価格の変動で利益を出すことを考えた方が良いように思います。もう一つのデメリットは先にプレミアム分の出費があること。(プットの買いそのものには証拠金はかかりませんが、他の売買のための証拠金としてカウントされる金額は減る)
分かりにくい部分などあればご意見をお寄せください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?