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風景印は原風景。

万年筆とはがきは、いつもポケットに忍ばせている。ひとところへ留まらず古今東西ニシヘヒガシヘと移動をやめないぼくが、唯一、習慣というべきものを身につけられたもの。それが……

友人たちへの便り。

旅の途中の流れる風景を眺めていると、友人たちの顔が目に浮かぶ。

「あぁ、気持ちいいなぁ」
「あいつ、どうしてるかなぁ」

↑ 富士山の西側。地図をしまって走ることにすると、必ず迷子になります。その先には、こんな風景が待っていることもあります。日本には、何があっても立ち止まりたい場所や時間や大切な友人たちがいるんですよね(2020.10.11)。


車を停めて外へ出ると、万年筆とはがきをポケットから取り出して、その場に座り込んで手紙を書き始める。どんな場所でも座り込む。

「ぼくは今……」

「ぼくは今……」で始まる、馴染みのある人にはお馴染みの書き出し。
ぼくは今のその瞬間を独り占めしつつ、旅の途中を友人たちと分かち合うようにしてはがきにペンを走らせます。

↑どんどんどんどん山を登って、どこへ連れていかれるのかと思ったら蔵王の御釜(宮城県側)。その土地にわざわざ訪ねてまでも会いたい人を訪ねたら、すべて彼ら彼女の言いなりです(2020.10.4)。

↑山賊焼。暗い夜道を初めて走った時のことは今でもはっきり覚えています。「はぁ、休憩しないとなぁ」そんなことを考えていたら突然目の前に現れた光景がコレ!山口から広島へ抜ける山を走る国道2号線。夜に限ります(2020.10.1)。

↑原爆ドーム。先を急ぐ旅にも関わらず、気がつくと公園内を歩いて1時間近く眺めていた気がします。修復の工事中でした(2020.10.1)。


ぼくのはがきには相手を気遣う言葉もなければ、彼らの様子を伺う言葉もない。一見すると、なんとも勝手な文字が並ぶはがきが相手へ届く。

ん?
かっくんの日記?!

そんなふうに感じる人もいるかもしれないけど、ぼくは今、その瞬間を切り取って、それをとにかく思い浮かんだ相手のもとへ届けたくなる。やっぱり独り占めなんかもったいないし、できないんですよね。

「若い人を中心にメールやSNSで新年の挨拶をするという方もふえている」経済産業省HP

現在、住所を置かせてもらっている福岡県久留米市。新天地へ到着したことを、さっそく友人たちに伝えようと郵便局へ向かいました(2020年8月現在)。

「この葉書、風景印で送ってください」

風景印
風景印は切手に重ねて押される、絵が書かれた消印のこと

全国の郵便局24050のうち、11139の郵便局に風景印は設置されている(半分くらいの割合)。都道府県別、風景印の配置率をみてみると、福井、京都、愛知、静岡などは配置率70%以上。そして、九州の配置率は20%以下。まさに風景印、後進地!

はいそうなんです。
ぼくが訪ねた〈久留米荘島(しょうじま)郵便局〉には……
風景印がなかったんです!!

風景印がない!?

どうしよう......。

てんとまる。

てんとまる。というプロジェクトをはじめようと思っています。原風景を大切にしたいという思いを持った人たちと一緒に。

郵便局でひとり、風景印はないんだぁと残念がっていたら、局長さんがわざわざ奥の席からやってきてくれて......

「風景印はつくれるんですよ」

「・・・。」
なんてーーーーーっ!!??

つくれるなら......

「つくれるなら、一緒につくりましょう!」

オンラインでのやりとりが市民権を得ている今だってできること。

手紙や言葉の文化への効能・メリット
・高齢者の生きがいを原風景へとつなぐ
・子どもたちに原風景の贈りもの

小さな宇宙ともいえる一枚のはがきにはたくさんの可能性が詰まっています。好きな言葉だけを並べて相手へ届けたり、絵を書いたり、素敵な記念切手を貼ったり、そして地域の特徴ある風景印を押してもらったり。

はがきは気まぐれなぼくにとって、止まり木のようなもの。
住む場所も持たず、何も持たないぼくが唯一立ち止まることのできる友人たちとの接点。

葉書の贈りもの。
あなたのまちの風景印を押して、大切な人の元へ!「ぼくはわたしは、今......」そんな書き出しのはがきを届けてみませんか。
【風景印を押してもらう方法】
- 葉書とペンを用意する
- 心地いい場所を探す
- 座り込む
- はがきとペンを取り出す
- 深呼吸①
- 目の前の情景(心情)をぼんやり眺める
- 大切な相手を思い浮かべる
- 深呼吸②
- ぼくはわたしは今……と書き出してみる
- たまに顔を上げて風景をぼんやり眺める
- 静かに書きおえる
- 宛名を書く
- 切手を貼る(オススメは、いろいろある記念切手
- 郵便局に行っちゃう
- 窓口に行っちゃう
- 「風景印はありますか」と尋ねちゃう(なければ隣の郵便局へ)
- 目の前で押してくれるので見学タイム(自分では押せない)
- お願いします、といってはがきを託す

こうして、郵便局長さんをナンパして始まった小さな小さなプロジェクト。おとなも子どももじいちゃんもばあちゃんも、手紙を書こう。風景印も押してもらおう。そこに風景印がなかったら、みんなでつくっちゃおう。

はがき、贈ってみましょう♪

「風景印は今、会社(郵便局)の中のダイバーシティで見直されてきてます」そう教えてくれたのは、久留米荘島郵便局の局長きってさん。
やっぱりね♪

ホットサンドを食べ終わった局長きってさん古賀円さん(久留米絣みらい研究室 Coppolart 代表)てんとまる。」というプロジェクト名が生まれた瞬間。