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「問わず語り」のインタビュー文体(No. 913)

考える人 メールマガジン
2021年5月13日号(No. 913)

そろそろ“人生”を語ろうか――。
みうらじゅん&リリー・フランキー
『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』


みうら「……あのさ、最近、気づいたんだけど、どうやら人間っていつか死ぬってね」
リリー「どうやらね、死ぬっつーじゃないですか」
みうら「うん、どうやら死ぬっつーね」

 2010年春。唐突に始まったふたりの会話。それまでもグラビアなどをめぐって対話を続けてきたふたりだが、この日は深夜まで、人生にまつわるさまざまなことを、とめどなく語り合った。
 その対話は、2011年11月に単行本『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』として刊行。約10年の時を経て、文庫化(2021年4月26日発売)となったのを記念して、対話の一部を3週連続で公開。多くの方に読まれています。

第2回 それで結局、仕事とは?
第3回 生きざま・死にざまとは?

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 引き続き「考える人」第2号特集「橋本治と考える『女って何だ?』」について。その書き出し(橋本さんの発言)を再度引用します。

「一頃は、女性誌に原稿を書くとか取材を受けるというのを、結構やってたとは思うんですね。でも昭和が終わったらピタッとやめちゃった」

 その内容に踏み込む前に、今回はインタビューの形式、特にその「文体」に注目したいと思います。
 そのために、「考える人」創刊号に掲載された養老孟司さんのロングインタビュー「挨拶のできない子供」の冒頭も以下に引用します。

「私の記憶は四歳のとき、親父が死んだときから始まるんです」

 ふたつのインタビュー記事に共通するのは、インタビュアーの質問が省略されていることです。想像でしかありませんが、実際はこんなやりとりがあったはずで、それを含む形でまとめてもよかったはずです。前者ならば、

――本日はよろしくお願いいたします。昔から橋本さんは女性についてよく発言されたり、原稿を書かれたりされていたと思うのですが……
「一頃は女性誌に原稿を書くとか取材を受けるというのを(以下略)」

 後者ならば、

――今日は幼少期の話を中心に伺いたいと思います。最初の記憶がどういうものだったか、覚えていらっしゃいますか?
「私の記憶は四歳のとき、親父が死んだときから始まるんです」

 このようにインタビューを原稿としてまとめる際、ふたつの「選択」があります。インタビュアー(聞き手)の質問や発言を載せるか、それともインタビューイ(語り手)の発言だけでまとめるか。きちんと数えたわけではないですが、「考える人」に掲載された比較的長尺のインタビューは、後者のものが多かったと記憶しています。
 あくまで私の経験上ですが、後者のほうが原稿をまとめる際に苦労します。インタビュアーの発言や質問を挟む形で進行すれば、それが杖のように機能して、リズムが作りやすく、話題の転換もスムーズです。
 比して、インタビューイの発言だけで原稿をまとめる場合、それなりの技術が必要になります。インタビューイの語り口を活かしつつ、話題の進行や転換もその人自身の発言によって進めていかなければいけないからです。これがなかなか難しい。
 もちろん、いずれも古くからあった方法で、どちらを採用するかは媒体やテーマによってさまざまでしょう。
 はたして私自身は、このインタビュー文体――勝手に「問わず語り方式」と呼んでいます――に初めて挑んだのは、いつ頃、どのインタビューだったのでしょうか。次回はそれを思い出しながら、この「問わず語り方式」というインタビュー文体についてもう少し考えてみたいと思います。

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