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谷川俊太郎最新作『虚空へ』サイン本プレゼント&朗読動画公開!(No. 937) です。

考える人 メールマガジン
2021年11月11日号(No. 937)

谷川俊太郎自身が自作の詩を朗読!
『虚空へ』サイン本1名様にプレゼント!

できるだけ少ない言葉で詩を書いてみたい――。

谷川俊太郎さんの最新詩集『虚空へ』が好評発売中です。

収録作の「気配が」「海を見下ろす崖」「どの一生も」「有ると無いが」「そこにいつまでも」の5篇を朗読する映像をYouTubeでご覧いただけます。ご自身の声で聴く詩は格別です。

また、『虚空へ』サイン本が1名様に当たるTwitterキャンペーンも実施中。

【応募方法】
1) 「考える人」のTwitterアカウント @KangaeruS をフォロー
2) 下記のツイートをリツイート

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大人の胸にも染み入る言葉ばかりです。

「考える人」と私(37) 金寿煥


 2020年5月に刊行され話題となった、アメリカ研究/文化人類学を専門とする渡辺靖さんの『白人ナショナリズム アメリカを揺るがす「文化的反動」』(中公新書)。同書刊行の直前にミネソタ州ミネアポリスで起きた、白人警官による黒人男性の殺害事件。それをきっかけとして、全米で「ブラック・ライヴス・マター運動」が拡散し、世界的なニュースとなりました。トランプ政権誕生以降の「オルトライト」らを中心とした白人ナショナリズムをレポートした同書は、このような人種差別を起因とした大規模なプロテストが起こることをあたかも予期していたような完璧なタイミングでの出版となり、日本でも大変な評判となりました。
「考える人」2005年春号から、その著者である渡辺靖さんの連載「カウンター・アメリカ」がスタートしています。
 渡辺さんとの出会いは、不思議としか形容しようのない縁に導かれたものでした。
 私は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス、いわゆるSFCを1999年3月に卒業し、4月に新潮社に入社。それと入れ替わるようにして、同年4月に渡辺さんはSFCの助教授に就任しています。つまり、渡辺さんと私はちょうど入れ替わりで、当然面識はありませんし、在学中にその名前を知ることもありませんでした。
 SFCを卒業して数年後、ちょうど「考える人」のスタッフとして働いていた頃――おそらく2003年だったと思います――私は恵比寿ガーデンシネマで映画を鑑賞し、映画館の外に出たところで、SFC時代の旧友Kとバッタリ出会いました。会うのは卒業以来で、Kは学部を卒業後、SFCの大学院に進学。ならば現在のSFCの事情にも詳しいだろうと、「今誰か面白い先生はいない?」とごく軽い気持ちで尋ねました。
「渡辺靖さんはどうかな。文化人類学が専門なんだけど、ハーバード時代にボストンのエスタブリッシュメントを調査していて、その論文が面白いと評判なんだけど」
 このKの返答にビビッと来ました。文化人類学と言えば、アマゾンの奥地やミクロネシアといった「辺境」を調査して、当地の親族構造や習俗をレポートするものだというイメージが強く、まさかアメリカの、それもボストンのエスタブリッシュメントという「中心」をフィールドワークしている人がいるとは――たいして文化人類学についての知識もないくせに、「それは面白そうな人だね!」と興奮し、Kに礼を伝え別れました。
 すぐに渡辺さんにアポイントメントを乞うメールをすると、快諾いただき、私は卒業以来久しぶりに母校へと足を運ぶことになりました。
 渡辺さんは、ちょうどそのハーバード時代の博士論文を日本で出版するための準備をしているところでした。調査の内容やエピソードを伺い、「では、まずはそのデビュー作を楽しみにしています」と伝え、SFCを去りました。
 その翌年、2004年5月に渡辺さんのデビュー作『アフター・アメリカ ボストニアンの軌跡と<文化の政治学>』(慶應義塾大学出版会)が刊行。「アメリカ最古で最上の名門家族である『ボストンのバラモン』。アメリカン・ドリームを体現したアイルランド系移民家族の『ボストン・アイリッシュ』。2つの世界を通してアメリカ市民社会の最深部を浮き彫りにした新進気鋭の文化人類学者による衝撃のデビュー作」とは版元の宣伝文句ですが、同書は刊行直後から瞬く間に評判となり、サントリー学芸賞をはじめ数々の賞を受賞しました。鮮烈のデビューです。
 その後の渡辺さんの活躍は、ご存じの方も多いと思います。偶然が重なったとはいえ、デビュー作刊行前の渡辺さんにお会いできたことは僥倖としか言いようがありません。次週は、その連載「カウンター・アメリカ」をご紹介しようと思います。
 ちなみに、旧友Kと出会った時に私が観た映画は何だったのか。全く覚えていなかったのですが、ネットで検索したところ、2003年の恵比寿ガーデンシネマのラインナップに、アメリカ社会の深部に斬り込んだ話題作、マイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」がありました。だとすると、あまりにも出来すぎた話ですが、おそらくポール・トーマス・アンダーソン監督の「パンチドランク・ラブ」が妥当なのではないかと推測しています。いや、しかし、もしかしたら……。

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