デザイナーになる君へ〜世界一くだらない助言〜

私がデザイナーになったばかりの頃の話。

あの時の私はデザイナーと名乗るにはまだ早く
フォトショップとイラストレーターを使いこなせず、むしろ使われていた。

そんな私が奇跡的に広告代理店のデザイナーに入れたのは
当時の面接官が「チャレンジ枠（技術より勢い）」を用意してくれたおかげなのだ。

今日はチャレンジ枠で入ってきた私が起こしたミスを供養し、世界一くだらない助言を伝えたい。

--

広告代理店でよく使われる単語の中に「再校(さいこう)」という言葉がある。
これは会社によってビミョ〜に意味が変わるのだが
私の会社では、校了するとクライアントに最初の刷り上がり＝初校(しょこう)を出すのだが、「もっかい校正だしてちょ！」と要求されると再度校正＝再校を出すのだ。

そして再校には2種類存在し、クライアント都合で修正するverとコチラ側の不備で修正するverがある。前者と後者では責任の重さが異なる。
なんというか、後者だと営業のあたりが強い。いや、間違えるコチラが悪いんですけどね。

そんな「再校」だが、この言葉は誰も教えてくれない。
そしてゴリゴリの体育会系で「営業の言う事は〜絶☆対〜！」の会社に採用された私にとって営業は魔物だった。初代ドラクエの主人公が何も持っていない状態でいきなり戦闘モードが始まってしまう位、営業に恐怖心を抱いていたのだ。

だから、いきなりデスピサロ級のボス：営業部長に

「おう、そこの新人！おまえだおまえ！Tのやつにこれ渡せ」
「それから、これ“再校”だって言っておけ。」

なんて言われた日には頭の処理がバグバグのバグになる。

（え、営業部長の名前なんだっけ…そうだW部長だ。）
（W部長がなんて言ってたっけ…これをT………？あ！隣のチームのTチーフか！）
（Tチーフに渡せばいいのか！よし！！！）

ここまでは私はバグを起こしながらも、なんとか読み込めた。

（これを何て言ってたなぁ…“さいこう”？）
（あぁ最高か！！）

最高。

（あの部長も怖い顔しているけど（失礼）実はめっちゃ褒める隠れツンデレタイプなんだなぁ〜。）
（営業に褒められたら、Tチーフも嬉しいはず！ちゃんと伝えよう！！）

私「Tチーフ！！」
T「君は○○チームの新人か…どうした」
私「W部長より、こちらを渡すようにと。」
T「おぉ、ごくろうさん」
私「そして、あの…」
T「？」

私「W部長、これめっちゃ良いって言ってましたよ。（満面のドヤ顔）」

再校＝さいこう＝最高＝めっちゃ良い。Very good！

T「はぁ？」

もちろん私は間違えた認識をしているので
Tチーフの「はぁ？」は“何言ってんのこいつ？”じゃなくて
“（ちょっ////照れるだろ///）はぁ？”と思っていた。

そして数秒後に隣にいた中堅の先輩が何かを察したのか
私がW部長になんて言われたのかを確認し
やんわり間違いを説明された私は追い赤のごとく真っ赤なゆでだこになったのだ。ははは。

助言：「さいこう」って言われたら念のため意味を確認しておこう。

おわり