前回に続き、研究授業をした「まいごのかぎ」について書きたいと思います。
前回#7で紹介できなかったことを補足して紹介してみようと思います。
まいごのかぎに限らず、私は物語教材を扱う際、
物語の世界にどっぷり入り込んで楽しむ「内側の視点」と
物語のつくり方や、作者の意図など客観的に作品を楽しむ「外側の視点」を意識して授業をつくります。
①「内側の視点」からこの教材を見ると、授業では次のようなことを抑えることができます。
これらは、文に書かれていることなので、本文をしっかり読めば分かることとも言えます。
②次に「外側の視点」から、この教材を見ると、次のようなことを授業で考えることができそうです。
これらは直接答えが書かれていませんが、文章をよく読むことで、構成や、表現などから、作者が作品に込めた意図が見えてくることがあります。
いま紹介した項目の一つひとつを「一時間ずつ」扱うのではなく、まとめて授業の中で考えていく事ができます。
例えば「物語を大きな場面に分けよう」という問いを一時間の授業で提示すれば
・起こったことの時系列
・段落、起承転結
・物語の構成
・場面ごとの気持ちを表す言葉の確認
などは同時に考えることができます。
私は個人的に、②の「外側の視点」から問いをつくる方が面白いと思っています。
子どもによって、自分も気づかなかったような、色々な解釈を知ることができますし、作者の意図(作者から読者への挑戦状みたいな感じ)にみんなで挑んでいく過程が楽しいと感じるためです。
とはいえ、何でもかんでも想像で、面白いことを言い合えばいいというわけではなく、叙述に基づいて、作者や作品の意図を読み解いていくことがポイントなのかなと思っています。(極端ですが、例えば面白がって「りいこは宇宙人だと思います」みたいな根拠や論拠のない読みにならないように、その理由をしっかりとたずねるようにしています。)
今回、外側の視点から見た問いを同じ職場の先生方といくつか考えてみました。
(ああでもない、こうでもないと言いながら授業を考えるのは本当に楽しいです。)
以下の3つの「外側の視点から考えた問い」は、まとめとして単元後半の方で扱いました。
※補足として自分の考えも紹介していますが、前回同様これも私の個人の解釈なので、これが正解というものではありません。
先日の研究授業後の協議会で、この教材のついて話し合った時、同じ学校の初任の先生は、「かぎ」はりいこの自由を解放するためのものというだけでなく、りいこの「自制心」を象徴するものではないかという考察をされていてとても面白かったです。
(A市小学校研究会国語部会の先生方さまざまな、ご意見ありがとうございました!)
確かにりいこは不思議なことをする度に、「これはよくない」と思ってかぎを抜く場面がいくつかあります。
このように、何度読んでも新しい解釈が見つかることが、国語の魅力だなと感じます。これからも、新しい発見する感覚を大切にしながら子どもたちと授業をしていきたいと思います。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
また日々の生活や授業の中で、考えていることを紹介できたらと思います。
みんなのフォトギャラリーからtoyslabさんの写真を使わせていただきました。物語の世界のような素敵な写真です。