金力愛子

お金を愛するキャッシュな女。お金に振り回された幼少期。お金が力だと思い込んでいた青年期…

金力愛子

お金を愛するキャッシュな女。お金に振り回された幼少期。お金が力だと思い込んでいた青年期。一億円の借金を抱えた成年期。その後お金の本当の意味に気づいて幸せに生きるストーリー。

最近の記事

ページ24 好きなことでは稼げない

結婚してすぐに司法書士事務所を辞めた。私にも言い分は色々ある。でも客観的に見ると『リストラ』でクビ。先生にも事務員さんたちにもとても優しくしてもらっていたと思っていたけど・・・私の勘違いだったのかも知れないと後になって思ったりもする。セルフイメージが高いことは私の生まれ持った性質だけど、空気を読めないイタイ奴であることも間違いない(笑) 国家試験は3回受験。司法書士になりたい!という強い思いは消えた。結婚して直ぐに仕事を辞めたことを旦那がとても驚いた。そして私は旦那の驚きが

    • ページ23 公務員との結婚とお金

      国家試験の3回目を受験する年の春に公務員と結婚した。幼い頃から母に散々『結婚なんてくだらない、女も結婚せずに仕事をした方がいい』と言い聞かされて育った。昭和12年生まれの母にとって結婚=専業主婦=夫の収入だけという図式のみだったのだろう。でも子供の私はそこまで分からないまま母の言葉が自分のアイデンティティの中心になって自分は結婚しないと信じていたところがあった。ところがご縁あって24歳から付き合いだした彼と28歳で結婚した。なんでもやってみないと気が済まない性格の私は結婚も「

      • ページ22 いつか稼げるようになるはず

        司法書士事務所での私の仕事は法務局に行くことだった。もちろんこれはあくまで私の体験。他の事務所のことは全く知りません。 その事務所は金融機関が不動産に抵当権などの設定をする登記が主な仕事だった。先生の名前が頭についた〇〇司法書士事務所という個人事務所。資格保持者は先生だけで事務員と呼ばれる従業員が6人いた。 金融機関と顧客が金銭消費貸借契約(借金)契約を交わす席に司法書士が同席し、その契約関係書類一式を預かって不動産を管轄する法務局に提出する。そして法務局で登記手続きが完

        • ページ21 お金を稼げば認められるはず#2

          不貞腐れている私に新入社員研修でお世話になった本社人事部の課長から新しい仕事の依頼が来た。女子社員の接遇応接のトレーナーだった。所属、地位は変わらないが出張扱いで本社で仕事をすることが多くなった。 まるで舞台の上で演じる女優のように振る舞える人が称賛される世界で、関連グループ全社が参加する『接遇応接大会』が毎年開催され日本全国から地方大会を勝ち抜いた女子社員たちが集まった。この大会で本社人事部が下位になるわけにはいかないので社をあげて力を入れていた。 トレーナーになったこ

        ページ24 好きなことでは稼げない

          ページ20 お金を稼げば認められるはず#1

          やる気を出して研修に参加すると、周りは大卒男子ばかり。高卒の自分と大卒の彼らの勉強してきた量や方法の違いを思い知らされた。そして彼らと話して同期入社の高卒と大卒の給料の差や、出世できる地位の違いを教えてもらった。 高卒男子はいくら頑張っても係長までしか出世できないこと、女子で役職に着いた人は今までいないこと。1980年代はそういう時代だった。そんなことは誰もが知っていることだったのだろうか?子供が知らなくても親が教えたのだろうか?だから同級生たちは浪人してでも大学に行く価値

          ページ20 お金を稼げば認められるはず#1

          ページ19 お金と仕事の分離

          大学進学はやめて就職を選んだ。進学が9割の学校で求人の条件は良かった。就職担当の先生には学内選考でほとんど決まると言われた。就職する生徒の人数が極端に少ないのでよりどりみどり。学校側の内申書は非常に好意的だったと思う。『就職した会社から今後も求人があるかどうかは卒業生たちの会社での素行で決まる。最低3年間は後輩の為に辞めないで欲しい』と強く言われた。一応就職試験に臨むとはいえほとんど学内選考で決まる意味がわかった。消極的な理由で選んだ学校だったし、学校生活においても決して良い

          ページ19 お金と仕事の分離

          ページ18 お金のことを忘れる日々

          高校へ入学する前から始めたアルバイトの飲食店は男子大学生だらけだった。中学生の私からすると大学生は立派な大人で、お店は8割のアルバイトでしっかりまわっていた。だから高校に入学しても同級生たちは子供っぽく思えた。特に男子は先輩ですら幼く思えてドキドキしたスタートでは無かった。 高校時代の思い出のほとんどはアルバイトの店とその往復の繁華街をうろついていたことばかりだ。よく働き、よく稼ぎ、よく遊んだ。放課後はほぼ毎日バイト。夏休みも毎日働いて当時の新卒のサラリーマンと同じくらいの

          ページ18 お金のことを忘れる日々

          ページ17 お金が無いからいじめられる

          ここで少し時間を戻して書いておきたいことがある 転校前の中学は一学年12クラスという地方都市のマンモス校でグレている人達はとてもアグレッシブな1980年代初めだった。私も小学5年生からタバコを吸ったりしていたが、いわゆる不良グループには属していなかった。 中学生になって友達がヤンキー色を強めていっても、別に悪いと感じたことも無いし新しく友達になった子が不良グループに属していても、ただのファッションだという目で見ていて、彼らがどんなことをしているのかも姉を見て知っていたから

          ページ17 お金が無いからいじめられる

          ページ16 お金のために働く

           中三になって志望校を決める時期が来た。私は私学には通えない。絶対に合格する公立高校でなくてはならない。担任と相談して、合格ラインから2ランク下を受験することした。それでも、もしも受験当日に何かあって不合格だったら・・・そんなことを想像してとても不安だった。 卒業式もその後の写真の取り合いっこも合格通知の前だったので、上の空だったし、大して思い入れもない中学生活だったので覚めた目で皆を見ていた。叔母さんが卒業式に参列すると言ってくれたが、断った。私は一人で中学生を終えた。

          ページ16 お金のために働く

          ページ15 お金がないと恥ずかしい

          転校する前の中学は一学年が12クラスで校庭にはサッカーコートと野球グラウンドが有り、その周りにテニスコートやプールのある地域一番のマンモス校だった。そこには長ラン、ボンタンの男子や足首までのスカートを履いておばさんパーマをかけたスケバンと呼ばれた女子の不良グループもいた。 私はグループには属していなかったが、不良グループと仲良くしていたし、勉強を一緒にする成績優秀な子たちとも友達だった。とにかく生徒がたくさんで同学年と知っているが話したこともない子もいて、友達以外のことは全

          ページ15 お金がないと恥ずかしい

          ページ14 お金が無いから逃げまわる#3

          アパートの表札は『木村』だった。母は引っ越して間も無く近所のお菓子の袋詰めのパートに通うようになっていた。『金力さん』じゃなくて『木村さん』。そこに偶然私と同じ歳の子供を持つ先輩パートさんがいた。 中二の三学期という、転校するのにこれ以上悪い時期はないという思春期ど真ん中に私はアパートから五分の公立中学の転校生になった。 新しい中学の制服はセーラー服だったが、私は中三になるまで前の学校のブレザーで登校しなくてはならなかった。母は私の転校ということに全く配慮はなかった。ただ

          ページ14 お金が無いから逃げまわる#3

          ページ13 お金が無いから逃げまわる#2

          外はすっかり明るくなっていた。アパートの鉄の階段のカンカンと鳴る音が耳障りだった。簡単な造りの扉を開けるとキッチンそして三畳間、奥は六畳だけの部屋だったが窓から朝日が差し込んでいて、悪くないなと思ったことを覚えている。 中学二年生の二学期が終わろうとしていた。 クソみたいな家を諦めて自分の未来だけを希望に生きていた私。日常から逃避する為に常に小説を読んでその中の登場人物になったつもりで生きていた。主人公になることは無く頻繁には登場しないが主人公の人生に大きな影響を与えるよ

          ページ13 お金が無いから逃げまわる#2

          ページ12 お金が無いから逃げまわる#1

          いつものように店番をして、いつものように閉店した。 パートのおばさんは母よりも年上でいつもお団子頭に割烹着姿でママの昔からの知り合いのようだった。自分の娘が都市銀行に勤めていることを自慢ばかりする人で私は嫌いだった。その日もパートのおばさんの娘の話を聞きながらレジを閉め、いつものようにおばさんは帰っていった。 夕飯は店番をしながら向かいのグリルから出前をとって済ませていた。この頃、母は店と父の建築会社の資金繰りに奔走することが多く、それまでにも増して『金が無い』『金が足り

          ページ12 お金が無いから逃げまわる#1

          ページ11 お金のせいで我慢ばかり

          中二の私はサッカー部のマネージャーをしながら、店番をする。 タバコ・パン・ソフトドリンク・エロ本・漫画本(ジャンプ。サンデー。マガジン)・トイレットペーパー・ゴム手袋・・・・・現代のコンビニとは全く違うとても狭い空間に雑多に商品があふれている店だった。 店番は嫌いだったが自分なりに楽しみ方は見つけていた。 だってタバコが盗り放題だったから(笑)実は店を始めた頃(小五)からタバコを吸っていた。ただ姉のように誰が見ても不良という「かまってちゃんタイプ」を軽蔑していて、悪い事

          ページ11 お金のせいで我慢ばかり

          ページ10 お金持ちの世界を知る#4

          はっきりと覚えていることがある 私は10歳、小四の時の体験だ!オカルトやスピリチュアルな話ではなく、母親・・・父親・・・姉・・・家族の中に居る自分に違和感を感じていたのがとうとうピークに達した。「このままでは辛すぎる、なんとかしなくちゃ」そう思った私は『独立しよう』と誓った。 グチグチと嫌な話ばかり聞かせる母、その母から聞かされるどうしようも無い人間の父、流行ばかり追いかけて中学生になった途端に非行に走り始めた姉・・・・実際の家族はクソみたいで私の人生ってなんだ!こんな家

          ページ10 お金持ちの世界を知る#4

          ページ9 お金持ちの世界を知る#3

          『私を養子にしたい』 その申し出は、私たち家族には晴天の霹靂のはずが、父は知っていたようだし、なんならやんわりとOKの返事をしていたように思った。 話の後、お茶室でママの点てたお薄(おうす)をいただいた。お稽古で師匠はお点前をしないので私はママのお点前を初めて見た。その流れるようでありながらもしっかりと意図を感じる所作に見惚れた。 家に帰ってから母がお茶室に初めて入ったと知り、とても驚いた。母の実家は兄弟が11人。祖父が働かない上に酒ばかり呑む人でとても貧乏だったという

          ページ9 お金持ちの世界を知る#3