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「喉(のど)」と「咽(のど)」の違いってなに?

 こんにちは、suiです。今回は「喉」「咽」の違いについてお話していきたいと思います。

 いきなりですが、あなたは今、のどが痛いとします。そして、それを家族にLINEで伝えるとします。さて、何という文を打ちますか?

 A「喉が痛い」

 B「咽が痛い」

 C「のどが痛い」

 ちなみに、私なら何となくAか、どっちの漢字だっけ?と考えるのを放棄してCのひらがなです。(笑)

 この記事を読んだ後には、迷わず何番か選べるようになっていますので、ぜひご覧ください。(別にどっちでもいいと思いますが(笑))

 それでは解説していきます。

1.喉とは

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 喉とは、肺につながっている気管がある部分のことです。声帯があり、呼吸をするとき、声を出すときに使うのどはこちらの「喉」を使用します。

 ちなみに、図を見れば分かるかとは思いますが、気管は食道の前にあります。二つは別の管としてあることは解剖学では必須の知識です。

 そのため、気管を見る時は前から、食道を見る時は後ろから検査をするのです。

2.咽とは

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 一方、咽とは食道の部分のことを言います。正確には食道よりも上の部分を下咽頭、さらにその上を中咽頭、鼻にあたる部分を上咽頭と呼びます。

 一般的に、風邪になってのどが腫れたというときは、こちらの「咽」に当たる中咽頭らへん、もしくは気管の「喉」にあたるでしょう。(どっちもあたるんかい!)

 どっちがどっちかの覚え方はこうです。食べ物の通り道が「咽」にあたります。食べ物は固形で大きいですよね。その大きいものが口の中に入る道だから咽なんです。つまり、

 「口の中に大きい食べ物が入るから咽」

なんていかがでしょうか。(漢字に注目してくださいね)誰でも思い浮かぶような覚え方ですね。(笑)

3.解剖学へ広げよう

 

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 せっかくなので、少し解剖学へと広げます。興味のない方は、最後の章まで飛ばしてくださって結構です。

 図のように、「喉」には喉頭蓋が見られますよね。これは飲み込むことで、後ろ側が下がり、前側が上がることで食べ物が気管に入らないように蓋をする役割があります。
 今、手で喉ぼとけを触ってみてください。そして、つばを飲み込んでみてください。喉頭蓋が上がり、蓋がされているのが直接分かるかと思います。

 声帯ヒダは、声を作り出しているところで、二枚の弁のようになっています。(二枚弁と言えば、僧帽弁でしたよね。分からない方はこちらからどうぞ ↓ )

 それが大きく開けば低い音が、少しだけ開けば高い音がというように調節して声を作り出します。人間の身体って本当に精巧ですよね。

 そして、最後に軟骨の話をします。実は気管は軟骨に包まれており、これを気管軟骨と呼びます。よく「掃除機の管の硬い部分が軟骨だ」なんて例えられる有名な部分ですね。
 まず、なぜ軟骨があるの?と思う方もいるかもしれないのでお答えします。

 それは、気管がつぶれてしまわないようにするためです。
 どういうことかというと、空気を吸い込む時には、陰圧になります。(周りより圧が低いと空気が流れ込んできますよね)つまり、気管内の圧力は低くなるのです。
 その時に、仮に軟骨が無いとすると、気管自体が周りの圧力に押されて潰れてしまうことになってしまいます。それでは息をすることができないですよね? そうやって、圧力に負けないように軟骨があるのです。

さらに、一歩広げると、図にもあるように食道と接している後ろの部分には軟骨は見られません。これは軟骨が無いのでしょうか?

 そうなんです。軟骨があると食道の邪魔にもなってしまうので、後ろ側だけ軟骨が無いんです。そのため、気管にできた癌は食道に、食道にできた癌は気管に浸潤しやすくなっています。
 癌の浸潤の関係上、臨床的に重要な部分です。余裕があればぜひ覚えてみてください。

4.最後に

 以上のことより、「のどが痛い」というときには、正確には、どちらでも良いのではないかというのが個人的な意見ではあります。

 ただし、一般的には「喉」の方が使われるようです。

 のどが痛い→咳→空気→喉

となるのかもしれないですね。ぜひこれからは意味を知ったうえで「喉が痛い」を使ってみてください。

 ちなみに、表紙の写真には椅子が写っておりますが、「のど→咳→席→椅子」ということで載せております。どうでもいいですね。(笑)


 最後まで読んでいただきありがとうございました。 

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