2020年に食べたおすすめ寿司屋+雑感

 ここ数年、月に一度廻らないお寿司を独りつまんで呑むのが楽しみ(やっぱり人様には言えない悪趣味じゃん)だったが、今年は海外競馬にも行けず、かといって不健全系なお店に出入りし職場で袋叩きに合うわけにもいかんので馬券や舟券で小銭拾うごとに腹いせで寿司を貪っていた。
 今年は手帳に備忘として残してあったので、数えてみたら全部で40近くにのぼっていた。マジでアホですね。以下一覧。

野八
勘八(丸の内)
すし匠まさ
匠達広
新橋しみづ
新橋鶴八
神保町鶴八
和田鮨
鈴木
あらい(2番手)
きのした
熟成鮨万
おわな
りんだ
いずみ
福元
宇田津
健寿司
松乃鮨
よし佳
宝すし
すし堺
波づき
すし勘
寿司栄
天扇
香坂
そえ島
唐島
つく田

 コロナ時代とはいえ、ネット予約ですら全面リクエスト待ちみたいな超人気店だと夜の予約なんてとても無理なのでランチ妥協している所も混在。
 これ以外にも実家の近所や寿司居酒屋、近所の銚子丸なんかも自粛期にテイクアウトしていたので全部は捕捉しきれていない点にご留意。
 会食やごっつぁんも極力寿司屋指名していたのですべて自腹ではないのだが、それでも多くは身銭なので1軒1軒よく記憶に残っているよ、酒が入ってもしっかり味わった。なにせ毎回血の涙流して食ってますんで笑

 この中で個人的にヒットだったなと思える店をご紹介。どちらかといえば評価はコスパ寄りなのと、一覧の中にあって挙がらなかった名店=駄目な店では決してないからね。まぁクソだった所はいくつかあるのだが、本当に駄目な店は文句書き出したらキリないので()

宇田津 まだオープンして数年(多分海味から独立した龍次郎と同時期開店)だけど、SNS全盛期の昨今で映え意識した店かと思いきや、握りそのものはかなり硬派で仕事きっちり系。お寿司屋さんが創作をやると、たまにヘンテコな料理が出てくることがあるのだが、ここはちゃんと日本料理・寿司屋としての枠に収まりつつも創作料理を出している。
 客層もコロナが一息ついていた時期とはいえ、皆さんどっから来たんですかと聞きたくなるほどインターナショナルな面々だった。下手したら英語で話しているやつの方が多い。
 でも大将は人柄が大変宜しく、おそらく年代的にはワシと大して変わらんだろうにしっかりしていらっしゃる。
 寿司屋は若いうちからチャレンジしている店ほど良い店になる(超上から目線)と思うので、今のうちに仲良くしておこうと決意笑

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 健寿司 おそらく世間で言われている本当の江戸前寿司って、寿司の系譜とかでも大量にエントリーが出てくる美家古寿司とか寿し屋勘八系統のやり方をそのまま踏襲しているんじゃないかなぁと勝手に思い込んでいまして、形式としては
・ネタ箱にあるものが今日のおすすめ、札とお決まり以外メニューなぞ無い
・酒は瓶ビールと日本酒焼酎が2〜3種類。これも定番で固定。
・お好み主体なだけあって、これ切ってあれ炙ってと結構無茶ぶりが利く
・昨今流行りのお任せ二時間半2回転。レア日本酒やワインもあるよな超高級店に押され傾向

 寿司屋さんはロスとの戦いだから、より良いもの高いものを出すなら予約お任せ一本が合理的なのかもしれないけど、個人的にはさっと飛び込んでサクッと食えるこっちの江戸前もすき。ここは小肌が美味しかった。
 値段も相対的に安い(まぁそれでも世間的には高い飯の部類に入るが)ので、あまりお寿司屋さんに慣れていない人はこういう店の方が安心かな。
 健寿司は蒲田という土地に根付いたお店で、こういう昔から地場でコツコツやっている隠れた名店は案外随所に多い。世間にはコミュニティ外部の人間に知られていない所がいっぱいあるんだろうなぁと、同じ蒲田で観光客相手に前払い現金5万を振り込ませる店を思い浮かべながら一献。

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ちょっと一息、一言いいたい リアルで付き合いある方にたまに聞かれるんですが、高い寿司屋って何を基準に良し悪し判断すりゃええのか分からんって話が出るんですよね。この前誕生日に珍しくオヤジが飯奢ってやるよなどと言いだしたので、じゃあ四谷のすし匠とリクエストしたら丸々その捨て台詞が返ってきて逃げられました、はい。

数年食べ歩いて、底浅いなりに自分で考えてみた結論はこれなんですよね。

①セットの価格は店の立地と使っている鮪の格でほぼ決まる 

②大将(もしくは握り手)の人柄と空間作りが何より大切 

③店が手間を惜しまないで仕事をしているか

 カウンターのお寿司屋さんは大体6席〜多くて12席程度なので、職人が一人あたりに充てる時間が多い料理ですから、単価を確実に確保できる客筋と場所が必要になる訳でして、そうなるとショバのフィーがどうしてもネックになります。上の一覧にある下目黒いずみのような、そういう余計な無駄を一切省いて酒とネタに力を注ぐ郊外店もあるのだが、高級店はやはりメジャー志向なので、やれ銀座だ港区だと繁華街寄りになってしまうのは仕方ないのかな。
 そして何より色んなところで食っていれば気づくんですが、良いお値段がする寿司屋ってのはとにかく有名な卸からマグロを引っ張って来ているんですよ。大間とか戸井とかの取れた場所ではなく、仲卸ですよ重要なのは。年末年始でたまにやっているマグロ密着番組でご覧になったことあるかもしれんけど、「石司」だとか「やま幸」だとか「樋長」などなど・・・。まぁそういうところから良い生マグロを安定的に引っ張ってくる店ってのは、マグロ以外で勝負している所と比較したらかなり「乗っかっている」イメージ。お任せだけで3万以上の高級店はまずその2つのコストを客が負担していると思ってください。それを許容できるか否かでその店の寿司に対する意識の差が出来ます。

 寿司屋さんはお任せ、もしくは食事部分で2万円を超えてくるとあまり他の店との差がなくなると言われています。皆さん志高く独立して店を持っているわけですし、フレンチやイタリアンだけでなく、和食の世界も当然日々進化していますから、競争が激しいと必ずトップ層の料理の質と対価の均衡ってのは収れんして行くんですね。おのれ、何を偉そうに笑。そんでもって、結局のところ何処で差が生まれるのと聞かれると、その場で寿司を食うことの心地よさ、居心地の良さ、はたまた店の大将や従業員に対する印象で決まるということなんですよ。そこは完全に主観、人によって解釈は異なると思います。

 寿司屋は高級サロンであり、美食を追求する場所であり、時には修行の場でもある。寿司屋に対して自分が何を求めているのかを今一度顧みてから行くと新しい気付きが生まれるかもしれませんね。ちなみに自分は1:6:3ぐらいの感じでしょうか。高い金払うんだから美味しいものを食べたいが動機です。修行は金を払う行為。逆に不快な思いをしてまでその場にしがみつくのは好きじゃないです。 

 だから店を重視する上で一つ気をつけなきゃいけない所があって、特に銀座とか港区界隈に多いのでしょうけど、味なんて二の次の高級サロン系、つまりその場で寿司を食う事自体がステータスと化している店ってのはかなりの高値掴みを覚悟しなきゃいけないってことなんですね。

 自分の中で、これはムカつき半分、結果無理して行っても値段に見合うだけの経験を得られなかったが故に書きますが、「原則2人以上からしか予約を受けていない店ってのは地雷」ですよ。これはほぼ間違いないです。一見はOKだが、ピンの客はNGな店は間違いなく値段に見合った料理も出てこないし、客筋も悪いケースが圧倒的(過去銀座2地方1で遭遇したことあるが、いずれもお礼参りして結果的に後悔)なので、賛否は多少あると思いますが、そういう塩対応している店は行くだけ時間の無駄です(断言)。実は一覧の中にも混じっているので、暇なお大尽は探して見てね♪

 開店当初から常連で固められている店、紹介者を通し裏を返して初めてお客扱いって店は寿司屋に限らずたまにあるんですが、それはそれで経営としては間違っていないと思いますよ。ただ、食べログやグーグルのレビューにそんな注記はないにも関わらず、特段回転率も意識していなさそうなのにそういう扱いする店ってのは間違いなく店側の怠慢による都合ですから、単純にヤバいです。だって3軒ともミシュラン星ある(厳密にいえば【あった】も含む)んだよ?客舐め過ぎでしょ。
 まぁそういうお店ほど得てして食べログでカリスマレビュアー様が大将を名前呼びしてステマ投稿☆4.8とかしているので色々お察しなんすよ。てめえなんでピンで食ってんだよ死(以下自主規制)

 前段長くなりましたが、が一番難しいかもしれないですね。この前行ったとあるお店の大将が仰っていました。ただでさえ最近は市場に顔を出さない同業者が多いのに、更に減ってみんな電話一本で注文して終わりだと。卸の業者さんは単純にコミュニケーション取って云々だけでなく、やはり貸し借りの文化がある以上、現地でやり取りしないと本当にいい時に物が出た時に回してくれないと。新しい時代なのかなってボヤいていました。

 まぁそこは正直、私職人さんでもなければ市場の従事者でもないので分からないのですが、寿司職人って正直いつ寝ているんですか?ってぐらい行動が謎なんですよ。市場行って、仕込みをして、仮眠して風呂行って、準備して握って夜片づけてまた仕込みして夜中に家帰って寝る?普通に激烈ブラックっすよwww

 そんな中、しっかり仕込みをやって、たまに市場行って、更に好きな方は日本酒の研究とかで休日そのまま酒蔵とか行っちゃったりするんですから、やはりバイタリティ溢れ異常なほど寿司に対する執着がある方、もしくは見た目不健康そうだけど仕事に対してひたむきな方ってのが良いです。ネタ単体でこれは良い仕事してますねぇ〜、なんて素人さんじゃ分からないです。俺も分からないです。不味い寿司なら山ほど食ってきたけど。

 そのかわり人を見る目ってのは皆さんお持ちのはずですから、素直に見てこの人は寿司にちゃんと向き合っているか=仕事でいいんじゃないですかね。あとは勇気を持って話してみるしかないです。変わった人が多い業界ですが、寿司職人さんは喋るのもある種の仕事なので、こちら側からセメントを仕掛けない限りは皆さん丁寧に対応してくれます。だからこそ客を前にしてストレスの片鱗を見せることは通常ありえないので、大将の接客や口調、態度、ちょっとした仕草などを観察するとその店の良し悪しってのは見えてくるんじゃないでしょうか? 繰り返しますが、変わった方が多いので店なりの誠意を示す方法ってのが多少異なりますから、合う合わないはこちらで判断しましょうね。では、本題に戻ります。

香坂 福岡は去年からJGCの修行を兼ねて泊まることが増えたのでちょくちょく色んな店を訪れる機会があったのよ。自分の中では地方で食う飯は味覚幸福2割増って持論があるので、正直旅費や現地まで足を運ぶ手間を考えるとどうしても都内近郊で妥協してしまっていた。だけど寿司に関しては福岡は別。もしかしたら札幌も似ているかもしれないが、自分は北の大地で寿司を食ったのは過去函館と小樽だけなので、後者はいずれ修行を積んで悟りたいところ。
 おそらく共通しているのは、大きな繁華街を持った産地という点。やはり都内の寿司屋は北と九州のネタが圧倒的に多いのと、食べる風俗の異名を持つ寿司なだけあって、盛り場こそ店のレベルが養われるんでしょうな。
 また話が逸れてしまったが、福岡は小倉から博多・天神にかけて著名な寿司屋が多いので、食べログやグーグルでそれなりに上位な店ならまぁそこそこの当たりを引けると思いますよ。そして何より平均的に安い。自分が寿司食い始めたあたりから都内の単価はガンガン上昇し始めたのだが、福岡はまだ良心的な価格帯(お任せ+日本酒を3〜4合やって2万ぐらい)の店が中心だったりする。
 この香坂は西日本のネタで固めているので、回る時間も限られる観光客には大変嬉しい。福岡の店はどこも九州色が強いラインナップだと思うが、特にこのお店はその意識が強かった。旅行で九州の鮨を食ったなと満足できる味と価格帯、なかなかコスパが宜しい。大将のご出身がやま中という寿司割烹のお店なので、握りだけでなくつまみも多彩で美味しいぞ。あと広島菜を使った寿司ってここで初めて食べた。
 ただし、この界隈で寿司を食う際ひとつ気をつけたいのは、博多の寿司屋はこの「やま中」出身の職人さんばかりという点。 他所でも話を聞く限りみんな顔なじみで横の繋がりも強力っぽいから、うっかり近くの競合店の悪口は口が裂けても言えないってことかな。実はあそこ弟弟子の店ですなんてこともあり得るので。小倉も天寿しの弟子ばかりみたいですから、うっかり本家のdisも出来ないんじゃないですかね。もしかしたら地方寿司屋あるあるなのかもしれないよ。

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というわけで派手に書き散らしましたが、ギャンブル以外のネタで2020年を締めてみました。来年は2月に小倉行く予定なので、競馬の前に一発と、最後まで福岡で残していた鮨さかいに行こうかと考えてます。正直東京に何人も継いでいる海味の寿司をわざわざ福岡行って大枚はたくのは何か違うんじゃないかなとは思っていたのですがね。流石にネタ切れで追い込まれました。後学の為に身銭切って参ります。機会が合えばTwitterにも載せますわ。あー早くコロナ終わんねぇかな。

それでは皆さん良いお年を☆(ゝω・)v

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