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漫画家になりたかった自分にもう一度

ゆるく記事を書いてみたくなったので「私を構成する5つのマンガ」に乗っかります。

図1

ドラえもん

知らない世代はいませんね。幼稚園生の頃、テレ朝版のアニメが始まったのがきっかけでドラえもんを知り、父に買ってもらった初めての単行本が4巻と6巻でした。好きすぎて絵画教室でもドラえもんしか描かないくらいでした。ドラえもんを描いているうちに、漫画家になりたくて、自分でオリジナルキャラを描いたり。有楽町へ劇場版も観に行きました。春のお楽しみでしたね、当時は。幼少期の血肉になった作品です。

まんが道

4年生の頃だったか、中央公論社が藤子不二雄ランドを発刊。藤子不二雄の全集として、毎週1冊刊行という贅沢企画。父が毎週買ってきてくれて、刊行開始から4週目で出会ったのがまんが道。もう漫画家に憧れる子どもにとってはバイブルですね。何かに憧れて突き進む彼らの姿に、また憧れる。そんな10代前半でした。30代の頃、藤子Ⓐ先生が登壇するトークイベントで、運よくスタッフをさせてもらい、サインをもらって5分ほどお話しする機会をいただいたことがあります。まんが道で満賀と才野が手塚先生に会ったシーンのように、憧れと緊張が混ざった不思議な時間でした。

逆境ナイン

中学生の頃連載が始まり、ハマりました。過剰に熱いセリフとキャラに惚れました。何気に熱血漢だった10代後半だったもんで、第1話で不屈闘志が語った男の3つの条件は、その後も影響受けまくりでした。

ひとつ!! 男は、イザという時には、やらなければならない!!
ふたつ!! 今が、イザというときである!!
そしてみっつ!! おれは… おれたちは、男なんだッ!!

そういえば、いつの間にかこのセリフに心躍らなくなってきたな。イザというときが多すぎて、麻痺しているのかもしれない。

「坊ちゃん」の時代

5部構成で明治の文豪たちを描いた作品。石川啄木のダメ人間ぶりにすっかり傾倒してしまう自分のダメっぷり。人間は弱い生き物であるという前提は、この作品からもらった視点かもしれません。明治の人たちの愚直で不器用な姿勢に共感するところも多かったです。

AKB49~恋愛禁止条例~

30,40代になってくると感情が哀しみや懐かしさに振れるようになり、ひたむきでまっすぐな熱血少年系に若いとき以上に心が動き、そのときに出会った作品。アイドル物を恋愛要素も絡めて熱血スポ根へ昇華させたうえ、作画もかわいいけどほどよく荒っぽくて、キャラクターたちの感情と躍動がすっと入り込んでくるいい作品です。終盤の有栖莉空には泣かされた。

マンガしか買ってこなかった父

家にあったマンガの大半は、父が買ってきたものでした。彼は職業がライターだったのに、子どもには漫画しか買い与えない人でした。大人になって聞いたら、活字だけの小説を読んでも何も学べない。マンガなら、ストーリーのテンポやコマの配置や作画の構成など、いろんなものを吸収できる、と。劇作家でもあったので、芝居の視点だったんだな。

その狙いは自分にはドンピシャリでした。子どもの頃、マンガを描いてみることで得たのは、話の展開の仕方。頭の中でキャラクターを描くと、彼らが設定された性格に合わせ、テンポよく動き、絡み合い、話が生み出されていく。

大学生の頃は原作だけやって、友人に作画してもらって、少しだけ持ち込みなんかもしてみましたが、担当の編集者には少しウケたようで、新人賞の最終選考に2度ほど残って、誌面に名前が載ったこともあります。

培った力とは、別なところで発揮されることもあるようで、お話を作る力は、その後、どの仕事でもそれなりに活かすことができています。好きで続けてきたことは、確実に自分の武器になる。そんなことを学びました。

なりたいものには、いつだってなればいい

子どもの頃になりたかった漫画家。歳を重ねるうちに手先が絶望的に不器用なことに気づき、絵も全然ダメで、漫画家になるのは20歳になる前に諦めてしまいました。

私には、割と早いタイミングで「どうせやっても形にはならない」と見切りをつけてしまう癖があります。でもあの頃、絵が描けなくても原作を続けてみたり、専従のプロにならなくても、アマチュアで道を拓いてみたり、何かを続ける方法はたくさんあったはず。最近、少し心が自由になったようで、またやってみたいなと、軽い気持ちで思えるようになってきました。

面白いマンガに出会うと、こういう作品を作れる人になりたかったなあという気持ちにもなります。いつか趣味で描けるようになったらと思い、最近、ちょっとだけ落書きをし始めています。

でも、画力以前に、マンガのお話を考えるクリエイティビティがすっかり消えてしまいました。若い頃はあんなに湧き出てたのに。実はすごくパワーのいることを、若い頃は楽しく、軽々とこなしていたんだなと知りました。

こうした頭や心のリハビリも、この先の人生にとってきっと大切なこと。ゆっくり、楽しみながら、作品が作れるようになりたいと思います。

#私を構成する5つのマンガ

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