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素人介護 No1

オレは介護士では有りません。
しかも 雇われたり、どうしてもと頼まれた訳でもありません。
ただ、大好きな友達の 役に少しでも立ちたいと思うあまり、
押しかけ介護をしていた訳です。

自分のやり方が正しいのかそうで無いのかも はっきりは解りません。

なので、助言は有難く受け止めます。

さて、 彼女は85歳の日本人女性で、去年まですこぶる元気だったのにも関わらず、いきなりターボ癌になってしまいました。
2024年の2月から 抗癌剤治療が始まり、見る見る衰えて行った彼女の力になりたくて、ご飯を沢山考えて作って持って行ったり、買い物を頼まれたり、の日々が始まりました。

4月の中旬に、手術を決意した彼女を、サポートして来ました。

長いイキサツは省いて、5月の29の日にリハビリセンターから帰宅した彼女は、リハビリセンターに行く前よりも状態が悪くなっていました。
何故か解ります?

根本的な事を無視して、業務的な流れに疑問も持たず、高いお金を払って入院させていても、食べるものはかねちゃんの持って行ったご飯。
ネガティブに やいのやいのと攻め立てる旦那様のお陰で すっかり生きる気力を無くしてしまった彼女の、 心や、身体の状態を触ってみる事も無いまま、人々は業務上の流れをただこなすだけだった。

立たせようとする前に
何故足の状態を確認しないのか? 触ったらすぐに解るはずだ。 
カチカチのままじゃ危ないだけだ。
食べ物を食べなくなったのは トイレの不自由からかも知れない。
恥じらいだって、まだまだ沢山残っているんだ。
サルでももう少しマシに扱われる、、、っと思うほどだ。
病院のガウンは最低の へたれガウンで、丸出しの丸見えで、
哀れに引きずりまわされる。
こんな扱いを家一軒変えるほどのお金をつぎ込んで、受ける。
食事は殆ど食べない。 薬を山ほど飲まされて、
毎日オムツを投げ与えられ、 お部屋の配置や全てが不便極まりない。
プラスチックパックに入った水や果物を出され、プラスチックに入ったお口のケアーアイテム、ゲロ用のバッグ、栄養ドリンク、山ほど要らないものに埋め尽くされたテーブルの上、かねちゃんの麦茶だけを美味しいと言って飲んでいた。
足の状態も触ってみることなく左右の脇をつかんで引っ張り起こされ、いろいろな物が丸見えのガウンを気遣う事すらしてくれないナースが付きそう姿は哀れだ。余りのひどさに涙が出てしまいます。

さて、久々にお家に帰った彼女はもう立つことも出来ず、トイレにも行けず、シーツひとつ取り替えるのにも 長年の連れ添いに大きなため息をつかれている。  
  「ため息つかんでええやろ!」っと一発目ジャブをかねちゃん(オレ)がかますと驚いたような丸い目で彼はオレを見た。
  「シーツは変えるなこれは必需アイテムだ」っと彼は言ったので、 バスタオルを濡れた部分シーツの上にひいた。
  「これで良いかい?」 っと彼女に確認すると、うなづいてくれた。
さて 何を言ってもああ言えばこう言う性格の彼は 文句たらしく その辺をうろうろしている。
ナースが訪れて、点滴と注射をしている側から 旦那はごちゃごちゃ言わんで良いことを口にして 小競り合いをナースに仕掛けている。
オレは思わず日本語で三発叫ぶ。
  「うざーい、うざーい うざいっ!」 フットワークは軽く行こう
するとナースと彼は何かを察知して小競り合いを止めた。
病人の居る所で小競り合いはあかん!
何をしてもネガテイブに絡んでくる彼を交わしながら、
ご飯を食べさせて、少し休んだらエクササイズをする事にした。
彼女の足を触ってみると生き物とは思えない程、かちかちだった。
なので揺らしたり、さすったり、揉んだりして少し柔らかくしてから エクササイズをする事にした。
寝ながら足を曲げたり伸ばしたりする、かねちゃんの腕を足で押し返す。
両腕を曲げたり伸ばしたりする、かねちゃんの腕を押し返す。

旦那が買い物に行くと言って、何か欲しい物を聞きに来た。
バナナは食べやすいかも、っと勧める、スイカも良いかもね?
するとたっちゃんは スイカと言った。
  「赤いの買って来て、」と彼女が言うと
  「スイカは緑だっ!」っと彼が言った。
  「赤いの、赤いの、」とたっちゃん
  「なるべく中身の赤い奴ってことだね。」っとオレ、
  「そんなの解るかっ!」っと旦那
オレはそこで、ほんの少し旦那の見方をして上げた。
  「そうだよね~! わかんねぇよな~! 野生の感にまかせたぜ!」
っと言うと彼は薄っすら俯き加減に微笑んだ。
なんだ可愛いとこあんじゃん。
  「まかせたぜ!」
っと言うと、彼はそのまま出て行った。
やれやれ、、、
彼がスイカを買って来て、さっそくオレが切って見ると、まぁまぁのチョイスだった。
  「なかなかのチョイスやで」っと言って見せて食べるか確認するが、
当然のごとく断っていた。 (笑)
その後彼女がトイレ挑戦をすると言うので、ベットから立ち上がらせた。
オレは一人で彼女を簡単に立ち上がらせる事が出来る。
彼女を膝の上に乗せて、後ろから胴体を抱きかかえて、一緒に立ち上がると簡単に立ち上がる事が出来る。
所が点滴やモノが邪魔で動きがスムーズにいかず、 たっちゃんと点滴を少しづつ動かしていると、彼女は諦めて床になだれ落ちようとする。
両方を持て余して、たっちゃんをズルズル床に下ろしてしまう。
一度床に下りてしまうと今度立ち上がらせるのは結構大変だ。
一人では無理なので、旦那を呼ぶ。
  「なんでこんな事になっているんだ?!」っと彼は又怒り出す。
  「脇の下を持って引っ張れ、」と二人係で起こし ポータブルトイレに座らせ、用をすますと、ベッドに戻す。
彼は一つ一つに文句たらたらで事をこなそうとする。
ベッドに戻ったら向きを変えて引きずり上げる。文句を言っているおっさんそっちのけで、オレの仕事は早い。
間違ったやり方を長々と説明しようとするが、文句ったらしいし口だけ動かしているので、
  「あなたは文句たれの不幸がりやね」っと仕事をこなしながら、二発目ジャブパンチ! おっさんはそのまま自分の定位置に戻る。
オレは たっちゃんを少し寝かすことにして、冷蔵庫の中の整理と掃除を始めると、出る出る くちゃい訳の分からない代物、 全てポイポイのポイで、タッパウエアーを山の様に洗う。
帰り際におっさんに今日たっちゃんがこれだけ食べたよっと伝えると、彼はなんだかニコやかにオレを送り出した。
反省しとるんやろか? (笑)

つづく

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