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2月〜3月8日の日記(&読書記録)

みなさんこんにちは。
今日はおしゃべりできそうもないので、テキストでおしゃべりします。

今月から仕事がまた普通に戻って……とは言え、私は今は他の人よりゆるい週4稼働だ。

先月までは隔週稼働、ただし一部のお客様対応のみ毎週だったので、少し変則的にお休み週も出勤、みたいな感じで。当然、出勤週は倍まで行かないまでも約2週分の配達。そんな中悲しいお別れもいくつかあって……。

コロナ禍でもっと深刻な人も沢山いらっしゃる中恵まれていると思う。

そんな、お客様と2週間ぶりのご挨拶をし、ご健康を確認する中で、ある1人のお客様に言われた言葉が、私の中にいつまでも留まって離れないので、少し書き留めておく。

よくお客様の健康の状態をお聞きしながら、自分の事も話すのだが、それはまぁ営業トークというか、お客様が「おかげさまで健康です」と仰って下さるのが嬉しいので、お礼トークの一つで「それは良かったです。おかげさまで、実は私もここ何年も大病もしなくて」とお返しするのだ。

事実、私は妊娠出産以外で入院や手術を経験した事がない。だから、元々身体が丈夫なのだとは思う。年相応の不具合は勿論あるけれど。

ところが、今回もそのようなお返事をしたところ、「あなた、そういうことは他人に言わない方がいいのよ」と窘められてしまった。

私としてはいつもの営業トークのひとつのつもりだったけれど、もしかして健康自慢と思われたのかな?

「えっ?そうなんですか?言わない方が良かったですか、すみません。あ、でも、どうしてですか?」
と尋ねると、

「それはいずれあなたに返ってくる事だからよ。あなたのために言ってるのよ」

とその方は仰られた。

私のために。
なら。

「ありがとうございます。気をつけますね」
とお返事して、いつものように笑顔でお別れの挨拶をしてその場は終わりにした。

その方の真意はなんなのだろう。
そう思ってその日一日過ごした。
もしかしたら、やはり健康自慢のように思われて、不快に感じられたのかな。そんなつもりはなかったけど、もしそうなら申し訳なかったと思う。

私も、今が健康なだけで、いつどんな病気が襲ってくるか、あるいは事故などに遭うか、明日はどうなるかは分からない。この世に生きる人、命あるものは全て、死を免れることはできないし、病もまた然りだ。

だから、私に返ってくるとしたら、それはこの言葉を口にしたせいというわけではなく、誰にも起こり得る可能性の高い出来事の一つ、とは思う。あの時あんな事言わなければ、とはきっと思わない。

んー。

そうではなくて、私が何か健康でなくなった時、あるいは突然貧困に喘ぐような事になった時、私の前に「おかげさまで、病気も怪我もしないで元気です。幸せに暮らしています」と誰かに宣言されて、打ちのめされる、という事だろうか。

こちらの方かも、しれないな。

つまり、想像力を働かせなさい。

という戒めなのだろう。

世の中には色んな立場や、状態の人がいて、自分とは違う生き方を余儀なくされている方もいて、そうした人への想像を働かせたならば、そんな事は口に出せないでしょう。

ということか。

そうだな、きっと。

さて、ここの所読んだ本(漫画)など。
ネタバレが気になる人は読まずにおいてください(大体1月末〜3月にかけて読んだ本)。

①『メタモルフォーゼの縁側』
鶴谷香央理

文句なくオススメ。
推し(BL漫画)があるけど、誰とも共有せず、密かな趣味としていた主人公(女子高校生、書店バイト)が、ひょんなことから同士(75歳、書道教室の先生)と出会い、共に趣味を語り、イベントに行き、ついには同人誌を出し、イベントに参加するに至り、そして最後はそれぞれの道へと進むまでの、不器用だけど優しく温かい物語。嬉しい、楽しい、切ないが詰まっている。

②『きつねとたぬきといいなずけ』1巻
  トキワセイイチ

こちらもオススメ。トキワセイイチさんのnoteでずっと連載を追いかけて読んでいたけれど、本になって嬉しい(同人誌のも持っているけれど、手を入れて新たに商業出版です)。

親が勝手に決めた人間のいいなずけ(たなかなるひと)に子ギツネと子ダヌキが会いにくる所から始まる不思議な物語。「あたしはあんたなんか認めない」とませた口調で言う子ギツネ。対して、子ダヌキは子ギツネにくっついてきてるだけという感じで、こちらはほっこり担当。メインはキツネの子の方だけれど、この子が正直で時には「えっ、そんな事言っちゃう?」みたいな事もズバッと言う(森に帰ってた時に、友達? のイノシシの子ども達に「僕たちは君のためを思ってお話してるんだよ」と言われて「君のためってなんかそれ気持ち悪いね」とか言うなど)。

だけどそれがなんだか憎めないし、どこか本質をついていて、読んでいてドキリとしてしまう。人間の方(ナルヒト)も結構この2匹に対しては率直な物言いだけれど、どちらともどこかズレながらも温かなやり取りをする中で次第に心を通わせていく。ホッコリしたり、きゅんとしたり、悩んだり。2匹は何度も突然遊びに来て、その度にナルヒトは振り回されつつも、ナルヒトにとっても大事な2人(2匹)になってきているんだなぁということが端々から伝わってきて嬉しい。個人的に一本松先輩が好き。

③『書店員 波山個間子』1・2巻
  黒谷知也

黒谷知也さんの本はnoteでも大概は追いかけて読んだが、この『書店員 波山個間子』は今回が初見。電子書籍だ。ちなみに下の④〜⑦も電子書籍で、⑧⑨は紙の本で以前に買って持っているもの(電子書籍や紙の本になっているものは現在読めなくなっている)。今回は長くなるのでとりあえず③の感想だけ。

③はタイトル通り、書店員の波山個間子という若い本好きの女性が主人公で、青ひげブックスという書店でブックアドバイザーという仕事をしている。お客様が一部のストーリーしか思い出せない本について、見つける手助けをしたり、今こんな感じの本が読みたいんだけど、何かいいのない? と訊くと、ちょうど良い本を選んでくれたりする、それがブックアドバイザーだ。波山さんはとにかく本好きで、食費を削ってでも本を読むような人なので、知識は豊富、お客様の要望に合った本を見つけてくれる。普段は存在感もなく、コミニュケーションが得意でもないタイプの波山さんだが、彼女が「こういうお話なんですが……」とそのあらすじを紹介すると、みんなそれを読んでみたい!と思わせるような紹介をしてくれる。実際買って読んでみたお客様の満足度も高く、リピーターになるほどなのだ。読者である私たちも、波山さんの説明するその本の世界に思いを馳せながら「ああ、面白そう!」とか「あ、これ昔読んだ!こうして解説されると、もう一度改めて読んでみたい」と思わされ、すっかり誘われる。時にはストーリーを語りながら思い出して波山さん自身が涙してしまう。ああ、いいな、ブックアドバイザー波山個間子さん。あ、同僚やお客様から「こんな本を探しているんだけど」……と言われて、頭の中を検索する時にへにょ〜ん、とか、みにょ〜んとかの擬態語を伴って傾いでる様子もとても好き。可愛い。

私はこういう「お話の中で紹介される本」というものが、昔から結構好きみたいで、昔、河合隼雄先生の『子どもの本を読む』や『ファンタジーを読む』で紹介された本を片っ端から探して手に入れて読んでいた時期があったのを思い出した。

長く国語教師をしていたのもあって、自分の趣味の範囲だけで探していたのでは出会わない本との出会いを、模試や入試で使われた文章や、教科書や参考書で扱われたものを通して沢山してきた。隣の席の先生のオススメとかね。なんか、この『書店員 波山個間子』を読んでいたら、その感覚をふわっと思い出した。ああ、こういう本との出会いが好きなんだな、私、と思った。

信頼のおける人の紹介する本の説明って聞いてるだけでもすごく面白い。

④『軍艦雲』
  黒谷知也

⑤『アキエ・ルイト』
  黒谷知也

⑥『ニ鳥翠』
  黒谷知也

⑦『「人生」のようなもの』
  黒谷知也

⑧『幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい』
黒谷智也

⑨『三護さんのガレージセール』
  黒谷知也

④〜⑨は今回は割愛しますが、いずれ触れたいと思います。黒谷さんの絵がとても好きなのですが、作品によって使う画材やタッチも違って、それも味わい深いです。私は筆やアナログペンで書き込まれたものも、デジタルでスッキリと描写されたものも、どちらも好きです。多分元々の黒谷さんの絵柄が好みなんだと思う。

⑩『花よりも花の如く』20巻
  成田美名子

11月に成田美名子原画展に行ってきて、早く次が出ないかな〜と待っていた単行本の続きがやっと出た。

今回のお話はお能の演目『安達原(あだちがはら)』へと向かうまだ途中のお話で「鬼」と「人」の境目ってなんなんだろう? と悩むお話で、いつもの憲人節は今回も全開でした。章のタイトルは「Entre chien et loup 犬と狼の間に」というもので、夕暮れ時を指すフランス語らしい。日本だと「誰そ彼」=黄昏時を指すので、発想が似ている。そこから次第に「鬼」とはなんなのか、「元々人だったもの」なのか、「生まれつき鬼」なのか、鬼になったのだとしたら、いつ、なぜ? みたいな人が鬼になる瞬間を切り取っている。憲人の家のご近所トラブルとも絡めて、憲人の父方の祖父(青森で神社の宮司をしている)が久々に上京してきて、それを解決する方向へさりげなくアシストしてくれたりする(じいさま好きだ!!)。

奇しくも『鬼滅の刃』がこれだけ流行り、人が鬼と化し、鬼になった者が抱える苦悩が描かれ、「嫉妬」というものにスポットが当てられ、「鬼」とはなんなのかを考える事はなんというか「タイムリー」だ。勿論作者としてはタイムリーを狙ったわけではないだろうし、そんな風に言われたくないと思う。ただ、それだけ、この「鬼になる」「嫉妬する」人の業というものは普遍的なテーマなのだ。

次の章の「面影」は能の演目「道成寺』へとつながるお話でこれもまだこの巻では舞われない。少しの謎解きと、恋人の葉月さんとの進展を匂わす程度の進み具合だ。ちょっと嫌なやつも出てきて、それに対する憲人と葉月のスタンス見える。あ〜、頑張れ、憲人。

連載は21年にもなるが22歳から始まった憲人もまだやっと29歳。お話の中では7年しか経ってない。……進みが遅い。いや、急いで描いて欲しいわけではないけれど(いや描いて欲しいけれども)、このまま長引くと作者も読者も年取っちゃうな……笑。それこそ、最初に紹介した『メタモルフォーゼの縁側』じゃないけど、生きているうちに完結しない恐れから連載を早めてと作者に頼みたくなる市野井雪さん(75)の気持ちが分かるわ……になってしまう。いや、お話は面白いの。私は大好き。だから作者にも無理はしないで続けて欲しい。今回も良かった。引きも良くて……続きはよ!てなる。


今日はここまでにします。

あーあ、こんなに長くなっちゃって。すみません。

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