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『白暮のクロニクル』感想

今更なんで?
と思われるかもしれませんが、こちらの本、2014年から2017年に刊行された漫画の単行本で、当時多分夢中になってリアルタイムで読んでいたはずなのです。家にある本は初版の第1刷ばかりでした。全11巻で既に完結しており、『究極超人あ〜る』でゆうきまさみさんのファンになった私は、でもちょっと久しぶりのゆうきまさみさんでした。

ところが、最後の2冊……読んだ記憶がないのです。全巻買ってはある、ということは10巻は読んだかもしれないけど、11巻は読んだ記憶がない。というか、全体的に忘れた。確かとても面白かった筈。極上のミステリーと帯にもあった通り、ミステリーだった……筈だけど犯人誰? と思い出せなかったので、フェアリー休暇中の今、一気読みしてしまえ! ともう一度1巻から読み直すことにしました。

やはり読んでみると9巻まではなんとなく覚えていました。ふむ。

ざっとのあらすじを言うと、主人公の伏木あかりは厚労省勤務の新卒公務員で、彼女の配属された夜間衛生管理課(通称「やえいかん」)はオキナガと呼ばれる吸血鬼のような特性を持つ不老不死の人々(長命者)を管理・監督する部署だった(大体日本には10万人のオキナガがいると推定されている)。あかりはそこで雪村魁という一見18歳の青年(本当は88歳)の担当になり、雪村魁が個人的に追いかけている、オキナガにまつわるとある殺人事件の調査の手伝いをすることになってゆく……というストーリーである(伝わらない……)。その事件というのが、12年に1度、未年のクリスマスに起こる殺人事件でこれまで70年間にわたり起こっているものだ。それらは若い女性が殺されて内臓の一部を抜かれるという共通項はあるものの、12年に一度のスパンであるため、警察はこれらを連続殺人としては捉えておらず、これまでにも犯人の捕まった事件もあり、魁はこれを冤罪だったのではないか、真犯人は別にいるのでは、オキナガの仕業では? と考えている。実は魁にとっては、元恋人がこの「羊殺し」の殺人事件の最初の被害者なのだ。戦後間もない頃、たまたま自分と久しぶりの再会を果たした元恋人は、その会った翌日に変わり果てた姿となって発見された。以来、魁は何としても犯人を捕まえたいという気持ちにとりつかれてしまったのだった。そして次の未年のクリスマスはもうすぐというところまで来ているのであった……。なんとか当日を迎える前に犯人に辿り着きたい魁。果たして真犯人は……。

みたいな感じなのですが、これが。

めちゃ面白い。

実は10巻までで大体事件の大まかな真相は分かる。ならば、はて、11巻とは……エピローグ的なものなのだろうか? それともまだ何か!?

というところで、私は5年も放置していたのだ(なんて事だ!)

犯人は確かに10巻で分かり、真相も明らかになるのだが、真相の奥にまだもう一つ真相があったのだ。それが明らかになるのが11巻だった。

そして、11巻を読むとまた1巻から今度は確認したくなる仕掛けになっている。これってミステリーならではだよねぇ。すごいな。

というわけで、もし2日位、ひきこもって本を読む時間が取れたらぜひおススメしたい。

個人的には、主人公の伏木あかりが、178センチの大女として描かれていて、なおかつ何というか萌えとは逆ベクトルの可愛さでとても私好みだ。後半少々色っぽい展開もあるけど(ゆうき先生的にはそこも挑戦だったみたい)、それも全然嫌じゃない感じで、私は好きだ。最後の最後、エピローグ的に描かれたその後の話も個人的には良かった。好き。

ミステリーなので極力ネタバレを避けたが、面白さが伝わってない気もする。ただし、もっと詳しく知りたいと思ってWikipediaを読むのはお勧めしない。かなりネタバレだし、あんな長々しいのを読むくらいなら、作品本編を読んだ方が良い。

表紙や装丁、カバーをめくった内側の表紙、巻末のおまけ漫画も楽しかったので、やっぱりおススメ。

これでまた積読のひとつが解消されました。めでたし。

ありがとうございますサポートくださると喜んで次の作品を頑張ります!多分。