【ブロマンス風】焼きそばにマヨネーズ
ここはとある大学の学生食堂。家から持ってきたカップ麺に学食でお湯を入れて食べようとするA太と、学食の親子丼を食べるC之介が向かい合って座っている。
C之介「あれ? マヨネーズかけた後混ぜないの?」
A太「いや混ぜない。一様になってしまったら1つの味しか楽しめなくなるからな」
C「なるほど。え? じゃあ卵かけご飯は?」
A「いやほんのり混ぜる。でもやはり一様には混ぜない。白いご飯のところも楽しみたいからな」
C(驚きの表情)
A「ん? どうした?」
C「ちょまって、じ、じゃあカレーライスは?」
A「混ぜるわけないだろう? そのまま食べるよ」
C「そのまま!?」
A「ああ、そのまま。普通だろ? 口の中で徐々に渾然一体となっていく過程を楽しむものだろう? あれは。……むしろ別々に食べてもいいぐらいだ」
C「そんなの!! ストレス以外の何者でもない。バラバラに食べるなんて、お皿も2枚使うし、手も倍動かさなくちゃいけないし、そんなのストレスじゃん」
A「なるほど、確かにそうだな。だから妥協して普段カレーライスは1つの皿に盛っている。左右に分けてな。決してライスの上からカレーをかけるようなことはしない。そして一様に混ぜたりはしない。スプーンの中にちいさなカレーライスの皿を再現するようにして食べる」
C「……」
A「なんだ?」
C「めんどくせー。混ぜて食べたらずっと美味しいし、ストレスもないのに」
A「それはご飯に対する冒涜だな。愛が足りない。子供の食べ方だ」
C「こども!!」
A「あー、言い方が悪かった。じゃあ違う例えをしよう。お刺身に醤油はつけるよな?」
C「つけるけど!」
A「それもベッタリはつけない、箸で摘んだ刺身の下半分だけだ。わかるか?」
C「んっ……分からなくはないよ。俺は全部つけるけどね」
A「じゃあわさびは?」
C「お醤油に少し溶いて、そこにお刺身をつける」
A「はぁ〜。これだから素人は」
C「はぁ?」
C「醤油にわさびは溶かない。箸先に少しわさびを摘んで、その箸で刺身を摘み、刺身の半分だけ……いや、3分の1だけ醤油をつけて口に入れる。すると醤油のついた刺身、なにもついてない刺身、わさびのついた刺身を味わえ、さらに咀嚼することで口の中で渾然一体となっていくんだ」
C「はぁ……めんどくせ。なんなら俺別に刺身にわさびなくてもいいし。醤油の味たっぷりした方がいいし……」
A「やはり子供だったか。わかった。この話はおしまいにしよう」
C「うん、そうだね。A太が変態だということだけはよく分かったよ」
A「なんでそーなるんだか」
おしまい
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