見出し画像

課題解決に必要な視点~全体を捉え、事業領域を決める力~

「ソーシャル税理士」なんて名乗っていますが、まわりには社会起業家だったりソーシャルビジネスに関わる方が多くいます。

「社会を良くしたい」という気持ちを事業を通して実現するというのは難しいことだらけなんですが、そういった起業家と一緒に仕事ができるのはとても楽しいもので。

ソーシャルビジネスでは、社会課題を解決することが大きな目標・ゴールになります。ただ、どんな領域であれ自分だけで全ての課題を解決することは不可能で、どの領域にフォーカスをするかを決めることも大事なんですよね。

これを思い付きで決めれば良いかというと当然そういう訳ではなく。

課題が生まれる構造を俯瞰的に捉えた上で、どの領域にフォーカスすべきかを決断するというプロセスが必要なのです。

今日は全体を捉えつつ取り組むべき領域をどう決めるか、というお話しを。

全体をとらえるために必要なこと

課題を取り巻く構造を俯瞰的に捉えることがなぜ必要か。

それは「正しい打ち手を決めるため」です。

今見えていることだけが問題の原因ではないですし、一度全体を整理しないと見えないことってかなり多いんですよね。

この「全体を整理」という作業で必要な作業の一つに「利害関係者を書き出す」ということがあります。

例えば、「子どもが質の良い教育を受けられない」という問題があったとします。

この場合、子どもを中心として利害関係者を書き出すと先生、親、地域の人、塾、などが出ますよね。ここで気をつけたいのは、直接の利害関係者だけが問題の原因ではないということです。

例えば、担任の先生以外にもその先生を管理する上司、教育委員会など利害関係者の利害関係者がいます。問題が起きている部分を中心として2〜3段階ほどの利害関係者を書き出すことで、原因を見逃す可能性が低くなるんですよね。

次に、それぞれの利害関係者で問題につながる要因を挙げていきます。

例えば、先生であれば時間がなく忙しい、能力不足の先生がいる、などがあるでしょう。

また、利害関係者単独でなく利害関係者同士の関係性で問題が起こることもあるので、相互の関係性にも注目して書き出してください。

例えば、管理職の評価を気にしてしまう、親とのコミュニケーション不足などでしょうか。

書き出す段階では、何が正解なのかわからないのでとにかく思いついたことを書き出すことをおすすめします。

どの領域にフォーカスするのか

利害関係者の一覧とそこで生じる問題が書き上がれば、次はどの領域にフォーカスをするかを決めることになります。

もちろん、ドミノ倒しのように「ここを解決すれば他の問題もどんどん倒れていく」みたいな分にフォーカスすることが理想なんですが、現実的にはそう簡単にはいきません。

自分自身のリソースは限られていますし、時間も有限です。そういった制約のある条件下でで取り組むことができるかどうかも考えないといけないからです。

例えば、「教育委員会が杓子定規に物事を判断する」という問題があったとしても、一つの団体が教育委員会の方針や人事を変えることは不可能ですよね。

つまり、自分のリソースを踏まえて効率よく問題を改善できる部分を決めるという事です。

少なくとも事業を立ち上げて数年の段階では問題全体を解決するような打ち手では出せません。(取り上げた問題自体が小さなもの、地域が限定されているものは別かもしれませんが)

起業してすぐの段階ではドミノの全てを倒すのではなく、少ない力でなるべく多くのドミノを倒せる部分を探すという意識が大切なんですよね。

まとめ

社会問題を解決すると立ち上がる事は素晴らしいですが、よくよく聞いてみると問題の全体像が整理されておらず、手を付けるところも自分の思い込みで決めているという場合も少なくありません。

社会を良くしたいという気持ちは大切ですが、事業として成り立たせる以上はこれらのことを考えないといけません。

また、最初に立てた仮説が正しいとは限らないので、事業を動かしながら軌道修正する柔軟性も大切です。

問題の全体像を描き出せない、どこにフォーカスすべきか考えがまとまらないという方は、身近な人に相談してみるのも手だと思いますよ。

自分の頭だけで考えていても見えていないものって結構ありますから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?