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なぜ、クルマはモデルチェンジごとに大きくなってしまうのか?

 昨日ぐらいからTwitter/Xで、「人間が大きくなった訳ではないわけで……」という投稿が多く閲覧されています。

 MINI、ハイラックス、911、チンクエチェント、シビック、カローラ、ゴルフ、7シリーズ、3シリーズ、フォードFシリーズなど、それぞれの何世代も隔てた新旧モデルが並んで撮られた画像を連続して再生する動画にたくさんのいいねとコメントが寄せられています。

 ほとんどのコメントはボディが大きくなったことを嘆き、他のコメントでは道路幅が広がっていないので使いにくいと付け加えられてもいます。衝突安全のためだろうと指摘するコメントも少し見受けられました。

 どれも首肯できます。僕はマーケティング、つまり売らんがためという理由を挙げてみます。

 上記のクルマたちはどれも人気車で、モデルチェンジしてもたくさん売れてきました。売るメーカーとディーラーはそれまでの実績以上を売ろうとするし、ユーザーも「MINI」や「911」などといったブランドを買った満足感に浸っているわけです。

 反対の例として、フィアット・パンダが挙げられます。初代は1980年から2003年まで23年間も造られ続けましたが、2代目は初代と似ても似つかない背の高いSUV風デザインになってしまいました。あまりの変わりように、「これはパンダじゃない」というブーイングがファンの間から起こったほどです。

 それもそのはず、2代目パンダは「ジンゴ」という名前で発売される予定の、パンダとは別のクルマだったからです。メーカーの都合で同じ名前が付けられる場合もあれば、そうではない場合もあるのです。

 MINIも911も違う名前になっていたかもしれないのです。

1959年にデビューしたモーリスの「ミニ・マイナー850」
BMWが製造するようになってからの初代MINI。工場は、それまでクラシックミニを造っていたオックスフォード工場を継続して使用した。
2代目
3代目
そして、最新型のEV版
テールも少しずつ変えている

 ボディが大きくなっても、メーカーが「フルモデルチェンジしました」と発表してしまえばそれが新型としてまかり通ってしまいます。個性的なデザインで、歴史的なヘリテイジをたくさん持っているクルマならば、なおさらです。

 フィアット500などは、空冷エンジンをリアに積んでいたのに、水冷エンジンをフロントに積んでいるわけですから、もうまったく別のクルマですよね。あの愛らしくて丸っこいスタイルにも工学的な意味があったのですが、現代のものにはありません。カッコだけです。フォルクスワーゲン・ビートルも同じ手法です。カタチを似せて「新型」と言い切ってしまえば、それに疑問を呈する人はいません。

 ここに、クルマというものが純粋にエンジニアリングだけで捉えきれない面白さがあるのです。ファンを増やして、たくさん売るというマーケティングに左右される側面が小さくないのです。良く言えば“夢”、そうでなければ“幻想”を売っている商品なのです。

 

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