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日産とホンダの緊急社長会見を視聴してみたら

 13時に日産自動車からeメールが来て、「急で恐縮だが、本日(8月1日)午後4時から両社々長が記者会見を京橋の東京コンベンションホールで開催するので出席賜りたい」と日産とホンダ双方のYouTubeアカウントのURLが列挙してあった。ご丁寧に、「内容は両リンクとも同じです」と但書きされていた。

 残念ながら会場まで行けないので、リモートで視聴。日産の内田 誠社長とホンダの三部敏宏社長(どちらも正式役職名が長いので略させてください)が交代で発表を行い、途中で両者のエンジニアも説明した。

 3月に両社が提携することが発表され、それからの進捗状況を発表するために開かれた会見だった。その後に、三菱自動車も加わった。

 テーマは「次世代SDVプラットフォームの基礎的要素技術の共同研究契約を締結 戦略的パートナーシップのさらなる深化に向けた覚書も締結」という長いもの。

 両社長やエンジニアは、会見中に「テスラや中国勢に先に行かれている」ことを素直に認めていた。

 筆者も4月の北京モーターショーを取材して、中国のクルマそのものだけではない、他業種や社会そのものの大きな変化の一端に触れることができて驚かされたばかりだ。

 日産とホンダで協業のメリットを活かしながら開発を早めることができたら良いだろう。

 会見を聞き終えて気になったのが、両社長から近未来の自動車や社会がどう変化していくのかについての自動車観や社会観、世界観などがまったく伺えなかったことだ。

「SDVの進化における競争力を左右する要素」というパネルで、技術者とデータ量と計算処理能力がいかに重要であるかが説明されていたが、そうした“数”の優位だけで解決できることなのだろうか?

 エンジン車で成功を収め続けてきた両社のことだから、開発陣の頭数と資金さえ確保できれば、これまで通りの輝かしい未来が待っていると想定しているように聞こえてしまった。

 終始、開発や生産の効率化と合理化にしか触れていない。無駄を省いて大所帯を構えることしか提携の目的が設定されていないようだった。社長なのだから、細かなことよりもビジョンを聞かせて欲しかった。

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