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ソフトテニスを14年続けた私が考える、ジュニアの経営戦略

前回のnoteで「きりのはジュニアは多志向性を有するクラブである」と述べました。今回は「なぜ、ジュニアを経営するにあたって多志向性を目指したのか?」についてお話ししたいと思います。


私の専攻する学問領域

ジュニアの経営方針について語る前に、私が現在、大学院で専攻している学問であり、私の考え方に大きく影響を与えている、「アダプテッド体育・スポーツ学」について軽く触れたいと思います。
「アダプテッド体育・スポーツ学」とは「どのような障がいがあっても、その人にあった体育・スポーツ活動を展開することでさまざまなチャレンジができる」という理念をもった学問です。研究室では、実際に様々な背景のある人と体育・スポーツ活動を通じて関わり、その実践の中で工夫や支援について学んでいます。

研究室の中でも主要な研究テーマとして掲げられているのは「インクルーシブ体育」です。発達障がいのある生徒や運動の苦手な生徒も一緒に楽しみ、共に学ぶことのできる体育授業づくりに関する研究が取り組まれてきました。

そこで学び、実践を行っている私は、「全員がスポーツに参加でき、楽しむことができる地域移行にしたい」と考えました。

つくば市のソフトテニスクラブの実情

ところで、つくば市には現在、中学生を対象とするソフトテニスクラブがいくつかあります。そしてそれらは以下のように特性が大別されると考えています。

  1. ある1つの学校を対象に強化を目指すクラブ

  2. 学校を絞らないものの競技力の向上を掲げるクラブ


前者の特徴を持つクラブは、「低価格」「ペアやチームの強化」「学校との密接な繋がり」といった特徴を持つと考えます。

後者の特徴を持つクラブは、「ある程度の価格設定」「個人の強化」といった特徴を持つと考えています。

いずれも競技力の向上を目的とするため、「もっと強くなりたい」「大会で勝ちたい」という目的を持った生徒が集まり、指導者も「勝たせたい」と思って指導をしています。

すると、上記のクラブには「楽しく続けたい」「自分のペースで練習したい」という想いを持った層はおそらく参加していないだろうと感じました。

もちろん、上記に挙げたようなクラブが大きな役割を担っていることは承知しております。「すべての子どもの部活動参加」を考えると、様々な特色を持ったクラブがあることで、選択の幅を広げることができるだろうと思います。引いては、「すべての子どもの部活動参加」が可能になるクラブ、すなわちひとつのクラブで様々な生徒を受け入れられるようなクラブを生み出すことができれば、それが最も望ましいと思います。

私なりの経営戦略

では、大学部活動がジュニアクラブを持つとした時、「クラブに期待されること」、「他と差別化を図るための特色」とは一体何でしょうか。

私は「大学施設を活用して大学生が指導をする」ために起こる物的資源・人的資源の安さに最も特性があると考えました。大学生は競技者として長年ソフトテニスに打ち込んできているものの、指導者としての経験はゼロに等しい状態です。学生が指導の経験を積みながら、「生徒と一緒に成長していく」ところにストロングポイントがあるのではないかと考えています。

指導を行う学生、練習に参加する生徒、それぞれの主体性を尊重して、練習を行うことで、互いに違いを感じながら考える力が育まれるのではないかと考えています。

そして私が現在の地域移行に対して最も問題視しているところは、「教育としてのスポーツ」の在り方です。これまでの部活動は社会勉強とも言われるように、挨拶・礼儀・努力・コミュニケーション・協調性などを学ぶ場所として位置付けられていました。部活動での経験を入試や就職活動で話し、それが高く評価されていました。しかし、部活動が競技力の向上を目指した指導が行われる場所に移行されるだけで、本当に部活動を地域に移行したと言えるのだろうかと疑問に感じています。もちろん、そうしたクラブの指導者も同じように教育としての指導を行なっていると思います。一方で、限界もあると考えています。

そう考えるのであれば、大学として行う地域移行の受け入れ先となりうるジュニアクラブは競技力の向上のみに重きをおいてはいけないと考えています。

そうした背景から、今は「主体性」と「多志向性」を掲げて活動をしています。

今回はきりのはジュニアの活動方針の背景について語りました。次回はここで掲げている「多志向性」に対する批判を含めてこれからのジュニアの方針について語りたいと思います。


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