ソフトテニスを14年続けた私が、在学中にジュニアクラブを立ち上げた話。
初めまして。筑波大学大学院博士前期課程1年(M1)の金子真悠と申します。
表題にもあるように、私は大学院1年の4月にジュニアクラブを立ち上げました。準備を始めたのは大学4年生の秋ごろなので、大学、大学院と在学中に立ち上げ・運営を行っています。
学生ではありますが、地域の中にジュニアを作った1人として、その難しさ、今後の課題などをnoteに共有して、一緒に考えることができればと思い、書いております。
知識も全くない状態で運営を始め、手探りで今日までやってきた、全くの素人ですので、温かい目で見ていただければと思います。
きりのはジュニアの立ち上げ
「きりのはジュニア」というのは、私が立ち上げたソフトテニスのジュニアクラブです。正式名称は「きりのはジュニアソフトテニスクラブ」です。2023年4月に始動し、筑波大学体育局の社会貢献事業のひとつとして体育会軟式庭球部の中に存在しています。
大学内の体育施設を活用して、大学生が、地域の中学生の指導行うジュニアクラブとして発足しました。
ジュニアを立ち上げた理由
なぜ「きりのはジュニア」を大学の中の団体として立ち上げようと思ったのか?
それには2つの理由があります。
1.部活動地域移行の動き
筑波大学があるつくば市は部活動地域移行にいち早く取り組み始めた自治体です。全国的に地域移行が決まるよりも先に、モデル校における実証事業を行っていました。部活動地域移行では地域の中学校に指導者派遣を行うわけですが、つくば市には体育・スポーツが盛んな筑波大学があるため、取り組みやすい自治体であることも影響していると考えられます。
さて、中学校で人気な部活動ランキングなどご覧になったことはありますでしょうか。毎年と言っていいほど、1位に入るのはソフトテニス部です。どこの学校にもある部活動のため、ソフトテニスをやったことのない先生が顧問になることも多くあります。
部活動地域移行が始まり、我が体育会軟式庭球部にも指導者派遣依頼がたくさん舞い込んで来ました。最初は「車や原付バイクを持っている学生」や「教員志望の学生」を派遣していましたが、全員が車や原付バイクを持っているわけでもなく、部活動の所属人数も少ないため、指導者派遣依頼を断ざるを得ない状況になってきました。しかし、学生にとってもこの指導者派遣は良いアルバイトの機会でもあります。「好きなソフトテニスを教えて、お金がもらえるなんて!しかも時給もとっても良い!」と。
この非常に惜しい状況を何とかしたいと考えた時に、「大学のコートに中学生を集めて、指導をしたら良いのでは?」と思いつきました。
これが1つ目の理由です。
2.学生主体のジュニアクラブとしての特性
ただ今の私がジュニアを立ち上げたところで、中学生、ましてはその保護者からの信頼なんて得られるわけがありません。
そこで、「大学をバックに付けよう!」すなわち「大学の名前を使えるようにしよう!」と思ったわけです。
この時の大学をバックに付けるメリットは、
・大学内の体育施設が無料で利用できること
・大学の名前を出して広報活動ができること
でした。
反対にデメリットは、
・スポーツ少年団登録ができないこと
・あくまで社会貢献事業であるためにそこまでの利益を出せないこと
でした。
地域部活動移行に貢献することを目標にしていたため、ゆくゆくは行政との連携を視野に入れていました。そうしたら大学をバックに付けた方が強いと考えて、大学の社会貢献活動としての承認を得られるよう、申請を行いました。
以上のような背景から、私は大学の社会貢献活動の一環としての「きりのはジュニア」を立ち上げました。
きりのはジュニアの現在
そんな「きりのはジュニア」は現在8名のコーチと約20名の生徒で活動をしています。在籍している学校もバラバラで、各学校から数名ずつ参加している状況です。その学校からは1人で参加している生徒もいます。
「きりのはジュニア」は、ソフトテニスで勝ちたい生徒もソフトテニスを楽しみたい生徒も受け入れ、異なる志向性が共存する練習空間を作り出すことを目標にしています。そのため、「男女で練習コートを分ける」「競技レベルで練習コートを分ける」というようなことはしていません。その代わりに、「チャレンジコース」「ビクトリーコース」と名前を付け、それぞれにコーチを配置しています。そして、そのコースは生徒自らが選択できるように構成しています。練習時間中に、隣のコートを見て移動したいと感じたら、その時から移動することもOKと伝えています。
もちろん今後、時代や生徒からの声に合わせて体制を変えていくと思います。
しかし、現在の体制で行う中で、ほとんど口コミで参加人数が増え、来年度も活動を続けていけそうな段階に来ることができました。ここまで続けてくることができた今年度のジュニアの経営戦略や、これからのジュニアの方針については追って取り上げたいと思います。
noteを通して伝えたいこと
部活動地域移行は行政・学校・受け入れ先となるスポーツ団体・保護者・生徒とそれぞれの立場から問題や要望が異なっています。住んでいる地域やスポーツ種目でも指導の状況は大きく異なります。
また、指導者や経営者が部活動でどのような経験をしてきたのか、今の子どもたちにどのような経験をさせたいと思っているのか、それぞれに考え方は異なっていると思います。
私は中・高の学校生活のほとんどの時間を部活動に捧げ、そこでの経験が自分の人生に大きく影響を与えていると感じています。勝利を求めて部活動に打ち込み、競技性に楽しさを見出す志向の強い生徒でした。中高生の頃に週に7日練習をしていた私からすると、現在の制限された部活動では全く満足できないだろうと思います。しかし大学に入り、自分がソフトテニスそのものを楽しむ志向に移行したからこそ、部活動地域移行を知った時に、「ただスポーツを楽しみたい生徒はどこでスポーツをしたら良いのだろうか」と疑問を抱きました。受け入れ先となるジュニアも学校ごとで制限をかけ、ジュニア同士でライバル関係を築いていたり、勝利至上主義のコーチが指導をしていたりと、これまでの部活動に参加していた生徒の幅がぎゅっと縮小される感覚を覚えました。
自分自身が部活動の経験によって成長してきたと思うからこそ、部活動が多くの生徒に開かれた場所にできるように貢献していきたいと思っています。
このnoteを通じて、私が1年間ジュニアを運営して分かったこと、これからもっと考えていきたいことを発信していく予定です。少しでも部活動地域移行について一緒に考えるきっかけになると嬉しいです。
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