創業半年で45億円を資金調達した『Sakana AI』について調べてみた
こんにちは、お金が入るでかねいりです。
2024年2月2日の日経の記事に「生成AI基盤の開発支援、84億円拠出 経産省が正式発表」というものがあり、そこには、
とありました。
その中の1社に、『Sakana(さかな) AI』という会社があります。
この記事を見て初めて知った会社でした。
見たところ、Sakana AIは社員数がまだ10名。創業も半年しか経っていません。
そのような会社になぜ日本政府は巨額の投資をすることを決めたのか?
気になって調べてみたことをお伝えできればと思います。
■Sakana AIのすごいところとは?
【すごいところ①:元Googleの研究者が創業したAIスタートアップ】
元Google AIの研究者であるライオン・ジョーンズ氏とデビッド・ハ 氏によって日本で設立されました。
ハ氏はゴールドマンサックスを経て、グーグル日本法人でAI開発を主導してきた研究者。
ジョーンズ氏は、2017年に発表された今の生成AIの土台となる「トランスフォーマー」技術の論文の著者の1人。この論文により、チャットGPTなどの対話型AIの性能が急速に進化。成AI革命のきっかけとなりました。
【すごいところ②:創業半年で、 45億円を調達】
Sakana AIが創業したのは、2023年8月。そして、総額45億円の資金調達を発表したのは、2024年1月でした。創業半年で、このような投資を受けることはまれ。
資金出資者もシリコンバレーのトップベンチャーキャピタルやNTTグループ、KDDI CVC、ソニーグループと大手企業が多く、Sakana AIに対する期待の大きさがわかります。
【すごいところ③日本政府、スーパーコンピューティング助成金を採択】
日本発の生成AIを創出するために、経済産業省が所管するNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、ポスト5Gの情報通信システム基盤強化の研究開発事業として2023年11月から公募をしていました。
Sakana AIは、その1社に選定され、そのことにより、グーグル・クラウドからデータ学習に使うクラウドを2月から8月までの半年間、無償で使用することができるようになりました。この期間に日本政府がグーグルに支払った金額は84億円。スモールベンチャーでは、到底手が届かない金額だけに、日本政府の期待の大きさがうかがえます。
■なぜここまで注目されるのか?
上記のことからSakana AIが世の中から注目を集めていることがよくわかります。なぜここまで注目されているのでしょうか?
Sakana AIが考えているテクノロジーを使うことで、グーグルやマイクロソフトなどの巨大企業に頼らずに、「独自の生成AI」を生み出すことができるようになるからです。
これをかみ砕いて説明していきたいと思います。
まず、生成AIについて。
生成AIは、これまでのAIと何が違うのか?
従来のAIは「人間からの質問に対して、学習済みのデータの中から適切な回答を探して提示する」という特徴を持っていました。
生成AIは「AI自身が自ら学習し続け、人間が与えていない情報やデータも自らインプットして、新たなアウトプットを人間に返す」という特徴を持っています。
簡単に言えば、より高度化したAIと言えます。
次にこの生成AIをつくるためには、「大規模言語モデル」というものが必要になります。この「大規模言語モデル」があることにより、生成AIは、人間に近い流暢な会話が可能になり、自然言語を用いたさまざまな処理を高精度に実現できるようになります。
一方で、「大規模言語モデル」の精度を上げていくためには、「計算量」・「データ量」・「パラメータ数」を大量にインプットして複雑な処理を多く行うことが必要になります。そしてそのためには、高度なサーバーやコンピューターを大規模に保持する必要があります。またそこには膨大な電力がかかってきます。
そうなると、このことを実現できる企業は、多額の投資を行うことができるITの巨大企業に限られ、実質、グーグルやマイクロソフトなどが生成AI開発の市場を握っている状況になっています。
Sakana AIの共同出資者で最高執行責任者を務める伊藤錬氏は、AIモデルの現状について「インプットとアウトプットが比例しており、お金をかければかけるだけ良いものができる。お金を使う競争になっている」と指摘しています。
「大規模なインフラを持たなくても、高度な大規模言語モデルを開発することができないか?」
そこに目を付けたのが、Sakana AIでした。
■理想的なモデルはスイミー?
では、どのようにしてSakana AIは実現しようとしているのか?
既存の小規模な大規模言語モデルをつなぎ合わせ、柔軟に連携し、より効率化させることで、巨大な大規模言語モデルと同じ精度を実現させようと考えています。また、そうすることで、これまでよりも安価に提供することができると考えています。
目指す姿として注目したのが、自然のシステムでした。
創業者ハ氏は、以下のように言っています。
Sakana AIの「Sakana」は日本語の魚を意味し、Sakana AIのロゴにも魚が描かれています。そこには、黒い魚の中に赤い魚が描かれています。赤い魚は、他の人と同じことをするのではなく、次に来ると信じているものを追求したいという願いを表していると言います。
そうなんです、理想は絵本の「スイミー」なんです。スイミーのような動きができるAIモデルの開発をハ氏は目指していて、その象徴として、Sakana AIのオフィスには、絵本の「スイミー」の絵が飾られています。
■まとめ
Sakana AIは、小規模なAIを組み合わせ、より効率的に高度な知能を実現する次世代技術の開発に取んでいることがよくわかりました。
そして、Sakana AIのモデルを活用することで、Googleやマイクロソフトなどを出し抜ける生成AIを開発できる可能性があるということがわかりました。
IT・AI分野でアメリカや中国からかなり遅れを取っている日本。日本発の生成AIは、日本政府が喉から手が出るほどほしいもの。実現できれば、世界中の投資家から注目され、資金を呼び込むことにつながる。
日本が一気に生成AI開発の表舞台に出ることができ、経済を活性化できるカギを握っているのが、Sakana AIというわけですね。
Sakana AIの今後の動きに要注目です。
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