健康保険がなくなった話

それでもまだまだあの会社で働いてたわけだ。

さかのぼれば昨年夏、会社の社長がタイホされ
さすがイマドキ、弁護士たちとLINEグループでやりとりしながらあれこれを進め
あたしが勤務していた事務所の退去を取り仕切ったり
(大家さんが怒りだして対応が大変だった)
社長が別事業で展開していたバーの片付けをしたり
(できない店長くんが散らかした後始末ふくめ大変だった)
その後は完全在宅勤務、ときどきコッソリ就職活動してみては失敗し…を繰り返しながら迎えた年末にとある案件が勃発。

あたしでないと、対応できない~。
しかも、かなり重大~。
ってことで、しばらくまたこの会社にいつづけることにした。

しかし、いっちゃんさいしょにリーダー格弁護士から
「厳しい戦いになると思います。有罪が確定したら、10年ほど行くことになり、そうなると資金も限りがあるので会社は休眠か解散。片付けのご協力お願いします」
社長が保釈や無罪放免になれば資金の算段がつくが、そうでなければいずれ給料も払えなくなる的なことを言われたので「その終わりはいつくるのか」毎月ひやひやしながら過ごしている。

そんなある日。

年金事務所から封書が届いた。
「ねんきん定期便かな~」
なんて軽いキモチで封を開けたら、
「健康保険被保険者証の無効のお知らせ」
という題名のお知らせ。
なんでも、あたしが会社を通じて加入しているはずの健康保険が無効になっているんだと。
しかも、先月中に。
受け取った日の一か月ほど前に失効しているという。

どどど、どゆこと?

慌てて税理士にLINEメッセージ送ったら
「あ、う、社労士に相談します」
てな返事。

その日はもう夕方だったので、翌日の朝イチで年金事務所に
「これはどういうことでしょうか?」
と問い合わせると、調べてから折り返すとのこと。

しばらくして、電話を受けた女性の上長とおぼしきおっさんから電話があり
「社長に再三連絡とろうとしたが、ノーアクションだった。職権で会社として登録されているところを現地調査して、会社は存続していないと判断してゼンソウ処理を行った。復活の手続きは時間がかかる。まずは社長に連絡してもらう必要がある。社長にそう言って」
だと。

猫田さんはどうなんだろ?
契約内容があたしとは違って、健康保険は含まれないのかなあ?
それとも、自分からはアクション起こさないひとみたいだし、ほっといてるのかなあ。
それに、会社の登記の住所に届く封書は彼女が処理してるはず。
年金事務所が再三連絡したという封書はどうなっていたのか?

チャットアプリで尋ねてみると、
彼女にも健康保険無効のお知らせが届いてとのこと。
「会社宛てに届く書類は全て弁護士へ郵送していますが、今回の保険証無効に関する書類は届いていませんでした。
自宅に届いた日本年金機構からの書類で初めて知りました。
保険証は使えないと困る為、個人保険に入るつもりです」
との返事。

「保険証無効に関する書類ではなく、その前段階の書類が年金事務所から届いていたと思うのですが、郵便物はすべて弁護士に転送されていたのですね。
個人保険とは、国民健康保険ですか?
またこの件に関して税理士や弁護士、あるいは年金事務所に連絡されましたか?」

と返すと

「個人保険についてはまだしっかり調べていないので今ははっきりとお伝えできないです。
郵便物は全て弁護士へ転送しています。基本、パークテラスに届く年金事務所等の書類は税理士が持ち帰りされている状況です。

保険証失効の件は税理士へ連絡しました。

年金事務所へは連絡していません。
保険証失効の書類を見る限り、会社が保険・年金等の処理をちゃんとしていなかったのであろうと考えた為です。」

へ?国民健康保険かどうかくらい言ってよくない?まあいいけど。てか、調べてないんや。
年金関係の書類は税理士が持ち帰ってるって、それ「郵便物は全部弁護士に郵送している」じゃないやん。
もっともらしく述べてるけど、どういう不備でこうなったのかの確認とか、従業員への救済策等はあるのかとか情報収集で年金事務所に連絡してみてもよさそうなもんだけど、アクション起こすよりじっとしているほうが好きなんだな。相変わらずいろいろ突っ込みどころのあるひとだな。

その後ネットで調べて「ゼンソウ」とは「全喪」と知った。
今回のあれこれで、いろいろ勉強できるわあ。

いよいよ首切りされんのか?
あたしを雇用している金はもうないと?
にしても、いきなり健康保険無効はひどくない?
予告してよ。

とカッカしたけれど、税理士弁護士あれこれ話をしてみて情報をつきあわせ、整理してみるとどうやら逮捕前から社長はいろいろを滞納しまくってたらしい。しかし、年金事務所がここまで強硬な手段をとるとは予想していなかったみたい。ということは、まあそこまで積極的あたしを切ろうとしているわけではないのだな。とこっそり安心する。

弁護士からは
「復活の手続きを行うにしても時間がかかるし、無保険はよろしくないので自分で国民健康保険に加入してください。給料から差し引いてた分は返金します」
と連絡があった。

そんなわけで慌てて国民健康保険と年金の加入手続きをしに役所に飛んでいったけど、やはりいよいよこの会社はやばいな。転職活動真剣に行わなわなければならん。

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