『笑って人類』を読んで思ったこと

第一の感想として、とても面白かった。
カーボーイリスナー歴12年ほどで、それからかなり太田さんに好感を持って番組など見てきたが、今回の本で、自分のイメージは変わっておらず(とても優しい人だということは知っていたが)、想像以上にポジティブにこの世界を捉えようとしていることに感動した。
※以下、ネタバレを含みます。

これから、作品の中で一貫して掲げているテーマで、
良いなと感じたものを3つあげる。

1「未来としての子ども」
2「人間のいのちとは」
3「真実はいくつもあるからこそ問い続けよう」

1つ目の「未来としての子ども」

テロ組織に育てられた少年2名が、神とは何かを考える。
神の為に死ぬことが殉職だとすると、神の為に生きる事は何というのか。
結論として、子どもを産む母と、これからの時代を担う子どもたちを、神と呼ぶんだろう。
そして、その神を守る為に、生きていくなら自分たちが生きている意味はあるだろうと解釈する。

2つ目の「人間のいのちとは」

擬似アメリカ国の大統領は、一度死んだはずだがアンドロイドとして生き返った存在である。死ぬ前の記憶もインストールされ、アンドロイドとして生きている時代の記憶も全て感情もある。この事実を知っている人たちは数名で、別にアンドロイドで構わないとした。
このような状態の中、人間とは、いのちとは何なのかという問いが生まれた。

3つ目の「真実はいくつもあるからこそ問い続けよう」

桜と田辺が、真実はひとつかどうかという議論をしている。
ジャーナリズムとは何なのか、その真実を追求するとはどういうことなのかをお互いに問うが、真実はいくつもあるという着地のうえ、どちらにしても今を楽しく生きようということになる。
そして、最後に富士見総理が作った平和を目的した条約内容が載っているが、
人権、宗教、正義、戦争に対しての基本姿勢が記載されており、
終始、“諦めずに問いつづけよう“、“相手に自分の正義を押し付けない“という記載がある。

政治においても、家庭においても、全てにおいてダメダメな富士見総理が持つ一つの信念が、「未来は面白い」ということ。
そして、それに敵対する形で出てきたAIのボス。
そのボスは、実態はなく、ネット上の世間をビッグデータとして集積し、世間のメタファーとして世界に問題提起する存在だった。
また、そのAIを作ったテロ組織のトップは、自分もろとも既存のリーダーを巻き込んで自爆した。
未来を見せる為には、次の世代を前に立たせる必要がある。
大人が計画を立てて、あらゆる犠牲を払って作られる平和であってはいけない。

次の世代を、未来を信じよう。
なんてったって、未来は面白いのだから。
未来は面白いとみんなが思っていることが、一番なんだ。
具体的な政策や制度、リーダーシップなんて、いっときのことで、
そこに正解も不正解もない。

唯一の正解、神は、子供たちなんだ。
未来を信じよう。


太田さんの、自分が信じる本質を、ここまで熱く伝えられるのはすごい。
是非とも、太田さんが監督で、映画化してほしい。

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