おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり

高杉晋作の名言として有名な短歌。
ただ本当は、高杉晋作(前半)と野村望東尼(後半)の共同短歌。
これが詠まれた背景は色々な妄想が膨らむ。

個人的には、

高杉:面白いことのない世の中だけど面白くしたいな
野村:面白いと思えるかどうかは自分の心次第だけどね



高杉:面白いことのない世の中だけど(どうしたら)面白くなるのかなぁ
野村:面白いと思えるかどうかは自分の心次第だと思うなぁ

という感じだったというイメージだが、
どちらにしても非常に良い掛け合いだなぁと思う。

よく社会運動家的な人が、「社会を変えていくぞ」という時に、
高杉の部分だけを引用して取り上げているのを見るが(高校時代は自分もそういう感じに使っていたが)、
この短歌の趣旨(結論)は、「心次第」という部分だと思う。

この社会を面白いと思えるかどうかは、自分の心次第。

高杉晋作は非常に有名な幕末の偉人だが、その人生は、
非常に困難や失敗が多く、成功者としての地位や名誉、待遇があった訳ではない。
そんな中で、病気で寝たきりの晩年に、高杉が面白くないけど面白くしたいなと言ったら、看病してくれていた野村が、自身次第なんじゃん、と言ったという感じだろうと妄想する。

高杉自身は、自分が社会を変えられたという実感もなかっただろう。
むしろ社会は変わらないし、変わったとしてもそれが良いとも分からない。
正解はないし、自分が正解だと思うことをやってみたが失敗ばかりだったから自信も無くしていた。

吉田松陰先生の生き様死に様に影響を受け、その意志を継いできたが、
結局は自分の想い半ばで病で動けなくなる。
何かを成し遂げたわけではないが、
その葛藤の姿に、下の世代の伊藤博文達は影響を受けた。

高杉以降の長州勢は、葛藤しながらも最善を尽くしていこうという姿勢が見られる(全員ではないが)。

下の世代に残せるものは、言葉ではなく、姿勢なんだろうと感じさせる。

そして、上の世代の葛藤の中に、
面白さを見つけるのも自分の心次第なんじゃないかと。

葛藤の中は、一見して分かりやすい正解もなければ、達成もない。
社会の変化による結果や言葉だけを見れば、面白くないかもしれないが、そこにどのような葛藤があったのか、それを見ようとする心次第で、この世界を面白く見ることができる。

多くの人の葛藤の上に成り立つこの社会の中で、より多様な葛藤を気付き受け取れたら、もっともっと世の中を面白く捉えられ、感謝できる。

歴史の面白さは、多くの葛藤の中で決断してきた人たちの姿勢にあり、
それを受け取るこちらの心次第でどんどん面白くなると思う。

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