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少数株主としての戦い(弁護士からの通知)⑥

1.前回のサマリ

みなさま、こんにちは。前回、「少数株主としての戦い(初の株主総会出席)⑤」で、株主総会へ出席し、相手の情報を探り、下記の点を弁護士へ報告することとしました。相手の責任追及へ向けた前段情報です。

  • 基本的に株主総会を開催していないこと

  • X氏(代表取締役)が平成18年に代表へ就任してから、現預金を1億円から2,000万円程度まで減らしていたこと。

  • たばこの値引き行為である違法行為の疑いがある事、

  • X氏(代表取締役)とY氏(監査役)が仲間であり、そして嘘をついていること、そして我々の敵であること

2.弁護士から相手への受任通知

弁護士へ株主総会へ出席したことと、得られた情報を伝え、相手へ下記の内容を内容証明郵便でX氏へ発送しました。

・弁護士が代理となった旨
・今後のやり取りは書面で行う旨(裁判するぞと暗示)
・依頼人は接触しない旨
・会社の現金が1億円から2,000万円になったことについて、経営が適切に行われてきたか懸念を示す旨
・法的処置を検討している旨
・事の発端である、やってもいない株主総会で決議されたとされる株式譲渡承認書(株式買取通知書)を送付した経緯を説明する旨

なお、内容証明郵便は、誰が誰にいつどんな内容を郵送したかを証明する郵便で、送付内容が証明されます。法的手続きを前提とする場合に、内容証明郵便を利用することが多く裁判時の証拠となるため、受け取る場合はビビることが多いようですね。送付する枚数などによって変わってくるようですが、1回2,000円前後のはずです。また、今はオンラインでも送付できるようなので、相当便利となってます。

3.相手弁護士からの連絡

通知を送ってから、2週間たっても返信がなかったので、督促で内容証明湯便を送ったところ、相手方も弁護士を付けて、その弁護士より連絡があり、戦いは長期戦になることは間違いなしです。そして、最初の通知文で、「開催もしていない株主総会で決議された、株の買い取り株式譲渡承認書(株式買取通知書)を送付した経緯を説明する旨」について、相手方の弁護士から「ほかの株主から買い取ってほしいと依頼があり、誤って私の母に送付してしまった」とのことである。誰が聞いても無茶苦茶な説明であることは、お分かりでしょう。相手弁護士も平気でよくこんな内容のものを回答してくるなと。まるで、チンピラです。後からわかることなのですが、こんな対応をするような相手は間違いなく黒です。堂々とすることで、相手があきらめることを狙ってるだけですので、感情を揺さぶられることなく責任追及を進めてください。疚しいことがある故、開き直った態度で出てくるのです。当然、その回答ではこちらも納得できないと回答しました。

4.株主の権利行使(株主総会議事録・会計帳簿閲覧請求)

株主の権利として、まず、株主総会の議事録を閲覧・謄写することができます。(会社法433条)営業妨害で権利を行使されるような場合もあり、権利行使にあたり閲覧理由を述べる必要がありますが、私たちの場合は、その点は問題なく請求に応じてくれました。

併せて、会計帳簿閲覧請求権(会社法433条)を行使し、会計帳簿(元帳、仕訳帳、領収書等)の謄写を請求しました。こちらは、議決権の3%以上でないと権利はないのですが、他株主の協力を得て合計3%以上あれば権利を行使可能とのことです。こちらも、基本的に株主の請求に応じなければならないのですが、会社側も拒否できる要件があります。もし、会社が閲覧・謄写を拒否してきた場合、裁判所へ申立てし、権利行使が認められれば、謄写できるのです。当然、その後のことを考え、書面で請求を行ってください。お分かりかもしれないですが、当然、相手が都合の悪い書類を出してくるとは限りません。そして、それは私たちにも当てはまりました。。。。

これらの請求で、下記の書類を会社へ謄写依頼を行いました。
・株主総会議事録
・計算書類
・帳簿
・株主の一覧と株異動表

恐らく、相手はこの段階で本気で調査されるということから、当然焦るはずです。正当な権利ですので、臆することなく堂々と対応してください。

5.相手の誠実なき対応

上述した通り、各書類の請求を行った結果、

  • 株主総会議事録(平成16-18年、平成22年、平成24年、平成25年、平成27年)→こちらで把握しているのは、平成18年(X氏が代表へ就任する直前、平成24年のみ)つまり、ほとんど総会は開催していないことが証明されたわけです。

  • 計算書類(平成27年~平成29年)→なぜ、これだけ?と疑問を持つも後で理由がわかる。

  • 株主一覧と移動表→これは結構大事な資料となります。誰がいつ株を売買したかがわかりますので、その異動したときこそが、不正行為が起きている可能性が高いのです。私達もまさにX氏が平成24-25年に大量の株を取得している事実を突き止め、一つの責任追及切り口として役立ちました。

  • 帳簿→こちらは大量にあるとのことで、謄写(コピー)する必要があり、15万円程かかるよう言われ、しょうがなくも支払い謄写を依頼したのです。法律上、謄写料は株主負担となり、好ましいものではないですが、会社規模が大きくなれば、ボリュームも増え高額になるので、事前に計算書類等から、あやしい点を絞り、そこを中心に謄写請求するとよいかもしれません。

想定していたことですが、謄写されて提出された帳簿も全く整理されておらず、無意味なものを送付してきました。そして、最初の通知から、謄写資料が届き精査するまで、約4~5カ月ほどかかっております。牛歩戦術ではないですが、のらりくらり時間をかけて、あえて重要ではない資料を送付してく、誠意のかけらもないチンピラそのものです。

<振り返って思うこと>
株主の権利を行使し、議事録などの謄写請求は非常に簡単ですので、徹底的に行使してください。相手は、疚しいことがあればあるほど、遅延や不要なものを送付するなど妨害行為をしてきます。提出期限を短くする、事前に的を絞っての閲覧行使することをお勧めします。
また、株主の異動表は非常に重要なものとなり、多くの中小零細企業は、非公開会社(譲渡制限付株式)であるため、その手続きを踏まずに株売買をしているケースが多々あるようです。


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