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【右の大型ショート】神戸三田ブレイバーズ 柏木寿志

変化

去年とは明らかにちょっと違う。体の真ん中に一本線が通ったような軸がしっかり見えるような気がする。

ノックが始まるとボールにしっかり追いつき、一塁に鋭く速いボールを投げる。一塁手がほぼ動くことなくボールを捕球していく。

「どうすか?送球。去年よく送球逸れたんで、オフの間課題だと思ってずっとやってたんですよ」と言って自信をのぞかせた。

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練習終了間際には、チームのメンバーに「もっとしっかり声出して練習しましょう。外から見るとだらけてるように見えてしまうんで」と、副キャプテンの立場から意見した。

19歳になった柏木は、一回り大きくなって三田に帰ってきた。

昨年、打率.183。チームトップタイの16打点を挙げたが、規定打席到達者で最も打率が低かった。ついでにリーグワーストの11失策を喫した。「金属バット打ちがなかなか抜けない高卒あるある」と橋本大祐監督は言うが、フリーバッティングになるとボールはレフトのフェンスのはるか先に飛んで行く。

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俊足強肩、リストも強い。ポテンシャルは間違いないと、昨年はリーグ選抜にも常に選ばれていった。リーグ戦でも全試合に出場。「いろいろ経験出来ていろいろなことを試せた」と2020年を振り返った。

「(代表監督の)大西さんや橋本さんに教えてもらって意識も変わってきました。高校時代とか、今まではただ遠くにボールを飛ばせたらいいと思っていました。でも今は結果を出すためにどうしていけばいいか、ということを考えて練習に取り組んでいます」

勝負の二年目

9月の巨人戦の後、柏木はいい感覚を掴みつつあった。選抜戦の最中に大西監督や橋本監督のアドバイスもあり、9月8日のブルズ戦でホームランを打った。昨年一番印象に残った試合となった。

「本当に軽く行った。あそこから感覚がよくなりました」

9月8日から閉幕した10月28日までの間、打率こそそんなに伸びなかったが、安打の中の長打の割合が増えた。

手ごたえをつかみつつある中でオフを迎えた。自分の長所を生かすために始めたことがある。

「ウエイトトレーニングを始めました。もっとパワーをつけたい、速い打球を打ちたいと思っています。ホームランを増やすというよりはヒットの延長でホームランになればいいかなと思っています。二塁打でも三塁打でも強い打球を打つことができたら打率も上がってくると思います」

柏木は物事をおよそ2年計画で考えるという。昨年がベースとなり、今年は結果を残す年となる。

「最低でも打率3割、理想は4割打ちたいです。ホームランも10本近く打ちたい。あと昨年は四球をほぼ選べなかったので、出塁率も意識して、OPSを1を超えたいです」
※OPS…長打率と出塁率を足した数。打者の優秀さを表すセイバーメトリクスの指標で0.833を超えると非常に優秀な打者であるとされる。

現在、休みの日もウエイトトレーニングを続けるなど、今年にかける思いは並大抵のものではない。

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「去年は選抜戦もほとんど途中からしか出られなかったけど、今年は最初から出してもらえるようにアピールしたい。絶対にNPBに指名されて家族や監督、応援してくれている人たちに恩返しをしたいです」

課題の守備が安定し、打力が向上すれば言うことなし。さらに独立リーグ界隈では手薄な「右の強打のショートストップ」となれば、文句のつけようはない。

帰り際に「またいろいろ聞かせてほしい」とお願いしたところ「今年は結構お話しすることになると思います。絶対に活躍するんで!」と力強く宣言した。

チーム名も新たになった。そのチームの看板となるべく、柏木はまた少しずつ大きくなっていく。

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(文・写真 SAZZY)

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