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母と娘。

あの時、母は子どものように喜んだ。

娘の私が働きながら少しづつ貯めたもので、初めての海外旅行へ2人で行くことになったからだ。

しかし当時、母は癌を患っていた。

それも余命1年という事実をうすうす感じていたようで、この初めての旅が最後になるかもしれないと、思っていたようだ。

実はあの時、私は母に嘘をついていた。

ある時、母が「お母さんは、このまま死ぬの?」と聞いてきたので、「大丈夫だよ、私と弟を置いては逝けないでしょ。頑張ってね、お母さん!」と、私がきっぱりと言ったからだ。

それから母は二度と私に、同じことを聞かなかった。

今思うと、聞きたくても聞けなかったのかもしれない。

これは私自身が母親になってから、わかったことだ。


旅行の当日、初めて乗る飛行機の中で、二人だけの写真を撮った。

その時、嬉しくて抱き付いた母の体は、あまりにも細かった。

しかし、写真の中の母と娘は、とても元気そうだ。

遂に、途立つ時が来た。


拙い文章を読んで頂いて、ありがとうございました。 できればいつか、各国・各地域の地理を中心とした歴史をわかりやすく「絵本」に表現したい!と思ってます。皆さんのご支援は、絵本のステキな1ページとなるでしょう。ありがとうございます♡