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山茶花サザンカ神戸市民の木、だってさ

 サザンカはツバキ科ツバキ属の木で、ツバキと同じような花をしている。
 ツバキはポトッと花がまるごと落ちるので、縁起が悪いので病院のお見舞いに持って行ってはならないと教えられた。一方のサザンカは、花びらがヒラヒラと1枚1枚散るので区別していた。けど、園芸種のツバキでは、花びらが1枚1枚散る品種もあるらしく、区別がしにくい。
 まあ、ツバキは春の木、「椿」と書くから冬の終わりを告げる花だが、サザンカの花期は、秋の終わりから冬、寒い季節の花だから、冬の歌ができる。
「さざんかさざんか咲いた道♪たきびだたきびだ落ち葉たき♪あたろうかあたろうよ♪しもやけおててがもうかゆい」(巽聖歌作詞「たきび」2番)
 しもやけの子ってのも少なくなってきたなあ。たき火もしない。キャンプにでも行かないかぎり火をつけない。農家が草を燃やすのだって禁止の時代だからなあ。
 さて、サザンカだが、神戸市民の木として1971年(昭和45年)5月に制定されている。
 神戸市花としてアジサイは有名で、六甲山にもアジサイがたくさん植えてあるが、サザンカ……恥ずかしながら神戸市民だけど市民の木だとは知らなかった。サザンカの名所ってものも知らない。じゃあ、なんでサザンカが市の木になったかというと、当時の資料が残っていない。
 1970年にアジサイを「市民の花」に制定したので、ついでに「木」も決めようとなり、当時、公害問題が大きくとりあげられていたこともあり、大気汚染に強い木の中からアンケートをとり、圧倒的人気のサザンカに決まったらしい。(新聞記事

 神戸以外で、市の木、花としている市は、宮城県多賀城市、福島県相馬市、埼玉県川口市・桶川市、千葉県銚子市・船橋市、東京都清瀬市・江東区・杉並区、神奈川県横浜市・秦野市・南足柄市、愛知県常滑市、兵庫県宝塚市・三木市、奈良県大和高田市、鳥取県鳥取市、福岡県福岡市・筑後市、大分県大分市・日田市、宮崎県都城市がある。住んでいる人は知っていただろうか。

 サザンカは、漢字で「山茶花」と書く。
 「山茶」は中国語でツバキ類をさす言葉だそうだ。ツバキとお茶は、同じ 仲間で、お茶(チャノキ)は山茶花と同じく、ツバキ科ツバキ属
になる。
 「山茶花」という言葉が日本に伝わり、中国語の音読みのままで「サンサカ」と読んでいた。「茶」は「チャ」ではなく「茶道さどう」の「サ」で読む。
 「サンサカ」が「サンザカ」となり、「サンザカ、サンザカ」と言いにくいので、順番がかわり、「サザンカ」となった。
 「サンザカ→サザンカ」のように言葉の順番がかわることを音位転換おんいてんかんという。
今の若い子らが「フインキが悪い」のように「雰囲気ふんいき」を転換して言っているようなものだ。「雰囲気」の「雰」には「分」がついているから「フン」なんだけど、「フインキ」になってしまう。漢字をちゃんと覚えろ、とは思うものの、まあ、「山茶花」を「サザンカ」と読むこと自体、完全に当て字と化しているけど。
 音位転換おんいてんかんには、「舌鼓」もある。読みは「シタヅツミ」だが、「鼓」は「ツヅミ」で、「シタツヅミ」が本来の読みだが、言いにくい。そこで順番がかわって、「シタツヅミ→シタヅツミ」となった。
 有名な秋葉原あきはばらも、「原」を「バラ」とは江戸では読まない。本来は「アキバ-ハラ」、「秋葉」の「原っぱ」だった。それが言いにくいので、「アキバハラ→アキハバラ」となった。
 小学校低学年が漢字の勉強で、「新」を習っていた。「シン、あたら(しい)、あら(た)、にい」。あれっ。昔は「あらた」と言っていたから、現代は「あらたしい」という形容詞になるはずなのに、そうはならずに「あたらしい」となっている。「アラタシイ→アタラシイ」と言葉の順番が変わっているのだ。うわあ、すごい。と、音位転換おんいてんかんに興味を持った。すると、サザンカも音位転換おんいてんかん。しかも、神戸市民の木だって。えええっ。知らなかった。
 いくつになっても知らないことがたくさんある。同じ仲間のツバキは和語で、サザンカは漢字の音読み、チャは訓読みのない中国語そのもの。

 知らないことを知ると、うおおおっと興奮する。心の奥からエネルギーが出てくる。
 そこいらに咲いている、当たり前の風景の中のサザンカに、こんなヒミツがいっぱいある。
 まだまだ自然の中に、日常の生活に楽しみはたくさんある。
 

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