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温故知新、文字が読めて本が読める、江戸の生活から現代を考える

 江戸時代は、士農工商の身分社会。男尊女卑であり、遊郭では女性が体を売っている。女性だけではない、男娼もいる。体を売っている男性もいた。盲目の検校や瞽女といわれる人たちも当たり前に社会の中で生きていて、当たり前に差別をされていた。
 そんな時代には生きたくないと思いつつも、江戸の文化にあこがれる。

 それまでは貴族のものだった文化が、庶民にも広がったのが江戸時代。
 鎌倉時代に作られた百人一首の絵札を見れば、貴族とお姫様と坊主しかいない。坊主はかつての知識階級だ。庶民は文字が読めなかったのに、坊主は文字が読める。特権階級しか文字が読めない。そんな時代が長く続いたが、江戸時代には庶民も文字を習えた。寺子屋ができたのだ。

 江戸時代の日本人の識字率は世界一だと言われる。他の外国で文字が読めるのは一部の特権階級だけだった。江戸の町人は文字を読み、本を読み、芸術を堪能していた。
 貴族しか出てこない百人一首の時代と同じような部分もある。江戸時代も武士に続く身分だと言われた農民は文字も数字も知らない人が多い。農民が文字を知り、数字が読めたら、権力者は年貢をちょろまかすことができなくなってしまうから。江戸時代の農民の文化は、農村歌舞伎や祭りくらいしか記録が残っていない。農民は、文化の歴史からは抹殺されている。そんな一面があるにしろ、江戸時代には日本の文化が広がっていった。

 その結果、現在も日本では、ほとんどの人が文字が読めて書ける。それが当たり前に思っているが、世界の平均識字率は78%(2011年〜2016年における成人の識字率)。地域によってはもっと低くなる。世界には文字の読めない人がいくらでもいるし、今日の食事ができない人もいる。戦争で殺される恐怖で今を生きている人もいる。
 子どもの権利条約もSDGsも、そういう国のために唱えられたものだ。裕福な日本のために考えられた取り組みではない。

 江戸時代は、戦争もなく(農民一揆や打ち壊しはあったものの、文化の担い手の町人には関係ない)、平和の中で文化が花開いていった。そんな時代に人々はどう生きたのか。

 江戸を知ることは、現代を知ることにもつながっていく。
 


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