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あなたは教育困難校を知っているか

 日本の教育はどこへ行くのか。教育の施策を考えている日本のトップが、教育現場の現実をどれだけ知っているのか。教育について考えなければ、日本の未来はない。
 神戸の教師が生徒に暴力をふるい懲戒処分を受けたという記事があった。
「注意を聞かなかった生徒に体罰 神戸市教委、73歳非常勤講師を懲戒処分」

 また神戸の教育批判と教師の体罰(暴行)批判のオンパレードかなとヤフーコメントを見た。コメント数が少なかったけれど(31件)、意外や意外、2種類のコメントだけだった(AIが私好みのコメントを選んでいるのかも知れないけど)。
 一つは「73歳の講師」への驚き。「73歳を雇わなければならない神戸市教育委員会は退職教員に信用されてない」「この年齢層に働いてもらわないといけない教育現場にも問題があり」という意見。
 もう一つは、「被害者の生徒」への批判。「体罰がクローズアップされ、生徒の問題行動はお構いなし」「口で言っても聞かない生徒をどう阻止すればいいのか」とあり、「教室から追い出す権利」を与えよ、「退学制度」をつくれともある。先生からの体罰の経験がなく、問題のある生徒のために授業が受けられなかった大多数の生徒の意見のようにも思われる。先生の無理解よりも、他の生徒で苦労した生徒も多数いる現実。

 同じヤフーニュースに「教育困難校の実態 進む統廃合で生徒はどこへ行く」という記事があった。

 50代の高校教師の話。「困難校を知らずに教育は語れない」と希望して困難校に着任。
 廊下を自転車で走る生徒、校内での飲酒・喫煙。教科書を開かず、授業を聞かない生徒。そういう学校が現実にある。生徒の学習は「小学生レベル」で止まっている。九九も言えず、漢字がわからないから板書も写せない。この先生は、板書が写せない生徒のために、学習プリントを作り、授業とまったく同じテスト問題を作った。

 ところで、ダウンタウンの浜ちゃんが行っていたので有名な全寮制のN学園は、軍隊式のスパルタで有名だけど(昔ね……)、あそこのテストも100点が取れるテストを作っていた。中学では50点以上を取ったことのない子が100点を取って賞状をもらっていた。子どもに自信をつける作戦だ。そういうこともやっていた。

 こうした教育困難校を統廃合する動きが加速している。
 新しい高校には、教育困難校の生徒は学力的に入れない。それでも、高校再編を含む教育改革が進んでいる。教育改革を進めている人たちは、教育困難校の現実を知っているのだろうか。


 ここまでは高校の話だが、現実には中学校でも教育困難校がある。前述の、廊下を自転車で走る、校内での飲酒・喫煙だってある。コンドームだって落ちている。九九のできない生徒なんていくらでもいる。
 中学校だけではない、小学校でも荒れている学校がある。問題行動が多発している小学校も現実にある。
 それを教育行政のトップは知っているのか。この高校教師が最初に言っていたように、「困難校を知らずに教育は語れない」という言葉を少しでも考えたことがあるのか。

 教育行政をになっている人たちは、荒れた学校を経験しているのだろうか。授業妨害する生徒がいただろうか。経験していない人たちが計画し、教育改革をしている。
 そりゃあ、教師でも教育困難校を経験していない人はたくさんいる。でも、こんな記事を読み、関連する本を読む。知ろうとしている。それが教師だろう。

 日本のトップの岸田総理を調べてみると、アメリカの小学校、麹町小学校、麹町中学校、開成高校と進み、荒れを経験しているようには思えない。ウィキペディアによると、銀行勤務の地方営業時に、利息の払えない会社から経営再建の相談をされ、倒産や夜逃げの現実を目の当たりにして政治家になった、と書いてある。ええっ。それで今の政策ですか。


 経験しても何もできない、しない人はいるけど、経験していなくても現実を知ることはできる。本を読む。フィクションだけでなく、創作した物語からでも現実を知ることができる。マンガからも学ぶことはできる。
 AIが効率的な内容を判断するのではなく、人間が想像力を駆使してこそよりよい社会を考えることができる。
 

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