煽れ煽れ、暴力行為9万5千件の小中高校生
少し前になるが、yahooニュース10月4日付朝日新聞DIGITALで、「小中高校生の暴力行為、過去最多の9万5千件 20年前の2.8倍に」という記事があった。
文科省の調査で、小中高校生による暴力行為は計9万5426件。前年度から24.8%増の過去最高。20年前の2.8倍とある。小学校6万1455件、中学校2万9699件、高校4272件。ついでに、都道府県別千人当たりの発生件数も出している。ベスト3は、1位新潟県18.1件、2位青森県17.0件、3位鳥取県14.9件。煽れ煽れだね。
記事を続ける。
全国の加害児童生徒数は、小学生4万5539人、中学生2万7916人、高校生4954人。内容の内訳は、生徒間暴力(生徒同士のトラブル)6万9580件、器物損壊(物を壊す)1万2695件、対教師暴力(先生への暴力)1万1973件とある。
高校生は大人になるのでトラブルは減るが、かつては「荒れる中学校」が有名だったが、今は中学生よりも小学生の方がトラブルが多い。
この記事に関するyahooコメントを見ると、「エキスパート(専門家)」のコメントとして、日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員の末富芳氏のものがあった。彼女が「煽る」という言葉を書いていたので、この記事のタイトルに利用させてもらった。
末富氏の内容は、暴力を生み出す要因を探り、改善策を考えなければならないというもの。「煽るのではなく報道の力を発揮すべきはその点ではないでしょうか」と言っている。さらに「煽り報道で何が改善できるのか、朝日新聞は考えておられるのでしょうか」とまで書いている。
なるほどなるほど。正義の味方面したマスコミのジャニーズ報道を見ていて嫌になることが多いこの頃なので、ふむふむと聞いていた。
末富氏は、「現場で頑張っておられる教職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーや相談支援機関の方々の心を折る報道になっていないか懸念されます」とまで言ってくれている。
ジャニーズの新役員をたたくのと同じように、子どもと関わっている方々を間接的にたたいているマスコミの姿勢をついている。今の教育環境では改善できない状況をこそ問題にすべきだろう。
他の「エキスパート」のコメントも見る。
精神科医・産業医の井上智介氏は、発達障害の子が増えている。家庭で「育てにくい子供」として育てられ、さらにコミュニケーションのできない子となり暴れると述べている。
塾長・多摩大学大学院客員教授の矢萩邦彦氏は、加熱する中学受験でストレスが重なり、いじめや暴力行為、逆に自傷行為にもつながると述べている。
学校だけでなく、家庭の問題でもあることを指摘している。
小学生の問題行動を考えると、昔は問題だとは思わなかったことも、今は問題にされるという部分もある。
兵庫県警の「ひょうご防犯ネット」には近所の事件が載っている。
子どもへの「暴力事件」を見ると、「通行中の女子小学生に対して、後方からランドセルを引っ張るなどした後、西方向に立ち去った」とある。あれ。ランドセル引っ張っただけ。まあ、小学生にとっては恐いことだけど、これが「暴力事件」(2023.09.21)。
別の「暴力事件」、「通行中の女子小学生に対して、すれ違いざまに、いきなり左手首を掴み、西方へ逃走した」(2023.09.30)。
大人がすれば問題だが、小学生同士でも、ランドセルを引っ張ったり、手首をつかんだら、「暴力事件」としてカウントする先生もいるのだろう。これで暴力件数が増える。
「エキスパート」のコメントの後に、一般人のコメントがある。
20~30年前はまだ体罰で抑えることが可能だった(殴るというより頭をゴツンくらい)。本来、警察や裁判の事案になることをゲンコツ1発くらいで治めてくれていたことを、体罰だと騒ぎ立てたため、子どものちょっとした失敗や言動が大事になっていっている。体罰禁止なら警察・司法を学校に入れるしかない。まともな子が暴力にさらされてはならない。
この人の意見に全面賛成ではないが、ある一面を示していると思う。
日本の未来を支える子どもたちに関して、「大変だ大変だ」と煽るだけでなく、問題の本質をとらえ、幅広い視点で問題を考えなければならない。
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