ヨガ・瞑想・組織開発・コーチングの「宗教臭さ・怪しさ」について

ビジネスパーソンにヨガ・瞑想の話をすると、「怪しい・宗教臭い」という反応をされることがある。
組織開発やコーチング、U理論の話をしても、同じような反応が返ってくることがある。
それは「お前はどこに向かっているのだ?」という反応でもある。
なぜそのような反応が起きるのかを考えてみた。

ケン・ウィルバー氏の以下の表現がヒントになった。

ユングがフロイトについて学び始めたのは今世紀の初めであった。
フロイトがユングを、彼の唯一の「後継者」に任命したにもかかわらず、ユングは十年もたたないうちに、協議上の意見の相違からフロイトと袂を分かつこととなった。
この有名な決別の後、この二人の偉大な人物は二度とふたたびことばを交わすことがなかった。
二人が互いを相いれない基盤は、次のような事実から派生したものであった。
スペクトルの特定レベルを研究している心理学の研究者は誰であれ、一般に自分自身のレベルとその上のレベルはすべて実在すると認めるものの、自分自身がかかわっているレベルより深いレベルに関しては、しばしばその実在を否定する。
それらのより深いレベルを、病理的で幻想的な、実在しないものと主張するのである。

無境界 ケン・ウィルバー

まさに、これと同じことが起きているのではないか。
つまり、自分がいる地平(思考レベル)よりも「深い」地平で物事を見ている人を、「病理的で幻想的な、実在しないもの」として思う(=怪しい、宗教臭いという反応になる)のではないか。

複雑なものが響く人と響かない人がいるということは、茂木健一郎氏と河合隼雄氏の対話からも見て取れる。

茂木氏
現代人のすべてが、ややこしい問題を必要としているのではないような気がするのですよ。
僕も「クオリア」なんてことを10年ぐらいやってきましたけれど、そういうことがすごく胸に響く人もいるんだけど、全然そんなこと関係ないという人もいるんですよ。
もう単純に、お金もうけて、いいクルマに乗って、楽しい生活をしてればいい、という人がいるわけですよね。
河合氏
それはそういう人で結構なんです。どうぞおやりください、と。
そんな人のところにわざわざ行って、「あんた、魂のことをお考えください」って、そんなこといいにいくだけあほや、と僕は思ってます。

こころと脳の対話 河合隼雄・茂木健一郎

響く人、響かない人が確かにいる。
ただ、響かない人にも、本当は必要としているが、響いていないだけの人もいると思う。
そして、潜在的に必要としている人たちにどうそれらを伝えることができるかを、私は考え続け、試み続けたい。
だからこうした記事を書いているし、講師をしている。

ヨガや瞑想に関してであれば、数カ月の実践で体調および心理的な悩みに改善がみられる簡単な体操「経絡体操法」が、まず最初の一歩として取り組みやすい。
これはまた、頭(ロジック)偏重になりすぎている現代人が、体(直観)に気づくきっかけにもなる。
仕事の効率が上がるのだ。

組織開発やコーチングにネガティブな反応をする人たちに「複雑さ」「深さ」をご理解いただくのに最適な考えが「システム思考」だと思う。
ループ図は、ピーターセンゲも言っているが、それ自体では問題解決には至らない。
ただし、ループ図や関係者マップを書き、現状分析をしながら、起きている現象の裏にある構造を読み解くことで、お互いの理解が深まる。
そして、その中から、適切な問いが生まれ、会社の中の「触れてはいけない問題」は解決に向かうことができる。
システム思考を使うことにより、集団で深淵に降りていくことが可能となるのだ。

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