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AIスピーカーのヒット分析 (羽藤ゼミ4期生2年次)

流通科学大学羽藤ゼミ4期生の2年後期での研究成果についての発表です。3年次の社会連携と比較して、成長を感じていただければと思います。

今回私たちチームMoonは、AIスピーカー、中でもCMなどでよく見かけるAmazon echoについて詳しく分析したので、これについてまとめていきたいと思います。

問題意識

なぜ私たちが数あるAIスピーカーの中からAmazon echoに目をつけたかと言うと、日経トレンディ(2018年)が発表した今年大ヒットした商品にAmazon echoが5位にランクインしていた点に驚いたためです。

驚きの理由は、身近な知り合いや友人などでAmazon echoを持っている人を見たことがなかったからです。そこで私たちはどのような年齢層の人がこの商品を購入して、ヒット商品となったのかを分析しようと思いました。

Amazon echoの特徴

Amazon echo (以下、アレクサ) は、「アレクサ」と呼びかけるだけで天気やニュースなどを教えてくれるAIスピーカーです。また、上記スライドの説明以外にも、本を読みあげてくれる機能もあります。このような便利な機能が搭載されているアレクサですが私たちはこの商品が売れた理由として次のような仮説を立てました。

仮説

こちらの映像資料を見て頂きたいのですが、この映像を見ていただいてわかる通り、家族団らんの生活の中の一コマにアレクサが使われて、日常生活の中に溶け込んでいるのがわかります。

このような点から、私達はAmazonはターゲットを家族層に絞り、CMを作ったのではないかということを分析しました。そして家族層を取り込んだことによってヒット商品となったと考えました。

4P

次に私たちは4Pについて分析してみました。製品はAIスピーカー 価格は製品の種類によってばらつきがあるものの、約1万円と設定。流通はAmazonでの販売。最後の販売促進方法はSNSやCMなどのネットサイトを主に使用しているためこのようにしました。

SWOT分析

次にSWOT分析を行いました。機会と強みはAmazonという高いブランド力を使い、ある一定の認知度をあげることができ、同じ業界に参入してくる他会社より1歩抜きん出ることができるとしました。

機会と弱さでは、まだまだAIスピーカーという市場の開拓が進んでおらず、レッドオーシャンのように身を削らなくてもいいところです。しかし、その一方でAIスピーカーなどに対応している家電商品などが少なく、消費者が手持ち無沙汰になってしまう可能性があげられます。

脅威 強みとしては少々OSと被ってしまいますが、他社のAIスピーカーがどんどん参入してくることが予想されます。だがAmazonという認知度である程度カバーできると考えました。

最後の脅威と弱みでは今までにない新しい商品を消費者が買うという意思決定をするかどうかです。また、自分のプライバシーがダダ漏れになってしまうのではないかという問題もあります。

このようにSWOT分析を行いましたが、やはりAmazonが押している場所はO Wではないかと分析します。CMを見ているとわかりますが、専用の器具以外の使い方を提示してると伺えます。AIスピーカー市場はまだ開拓が始まったばかりで他の企業も少ない、そのため現状ではO Wを重視していると感じました。

STP

最後にSTP分析です。セグメンテーションですが、私たちのグループは当初、仮説にも立てていた家族層といった、単身世帯かどうかといった点がセグメンテーションの軸だと考えました。しかし、議論を重ねていくうちに、このような新商品をあまり機械を触らない主婦層などがわざわざ買うのかという点で意見がまとまりました。

そこで私達はAppleを例にして考えてみました。なぜAppleは新商品が発売される度に売れているのか。それは「Appleの商品が出たらなんでもいいから買う」というある種 信者にも似たような考え方を持っている消費者がいるという点です。このような消費者は性能を重視していません。無視しているわけではありませんが、そこを最重要視していないのです。Appleが新商品を出したということが何よりも重要なのです。 私達はAmazonのアレクサにも同じことが言えるのではないかと分析しました。したがって、セグメンテーションはITへの興味の有無では無いのかと結論付けました。そのため、ターゲティングもITに興味を持っている消費者と設定しました。ポジショニングは、こういった商品がこれまでなかったため、ここでは省きます。

分析の結果、アレクサのヒット理由はAmazonというブランド力の高い会社が出した商品を、ロイヤルティの高いユーザーが購買したことが挙げられます。また、Amazonのリピーター以外の消費者にも今までになかった「声で操る」といった目新しい商品を発売当初 値下げを行って販売したことで、そのような機械に興味を抱いている消費者の財布の紐を緩めることに成功し、購入に結びつけたと分析します。値下げの理由は、この商品のネットワーク外部性が高いためです。

まとめ

以上の分析の結果から、Amazonは発売当初 家族層をターゲットにしたのではなく、ITに興味を持っている消費者に狙いを定めていたことがわかりました。このITに興味を持っている消費者がSNSなどで情報を広げたことにより、アレクサのユーザー数が増え、認知度が高まったことで新たな顧客層の興味を勝ち取り、今の家族層へとターゲティングをシフトチェンジしたのではないか、そして販売するターゲティングの幅が広がったためヒット商品になったのではないかと私達は結論づけました。

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