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MSH24(24時間無人スイーツ販売店)


1. はじめに

甘くて可愛いもの好きなら知らない人はいないだろう、24時間無人スイーツ販売店。同店は全国各地の人気スイーツやアイスを取り扱っており、ケーキ、クレープ、和スイーツ、プリンなどの豊富な商品ラインナップ、店舗、商品などの『映え』を活かした販売方法から、特に若年層の女性を中心に人気を博している。中でも、24時間無人スイーツ販売店の先駆者ともいえる久保田翔也社長は、29歳で24スイーツショップを創業した。2023年1月に地元の広島で直営の1号店をオープンした。その後、フランチャイズ展開により現在103店舗にまで拡大し、売上高は1年前と比べ9倍になるなど、急成長を遂げている。

同店がコンビニスイーツやカフェ、洋菓子店などの競合がある中で急激に売れた要因は何だろうか。本論文では、コンビニやカフェと比較し2023年に開店したこの店がなぜここまで爆発的ヒットを巻き起こしたのか調査を行う。マーケティング戦略の明確化、顧客ニーズの把握、競合他社との差別化を図り市場の全体像やターゲット市場を明らかにするためにSTP分析を行う。その後、考察すべき要素を導き、それぞれの視点で分析を行うことでヒットの要因を考察する。

2. 分析

2.1.STP分析

初めにSTP分析を行う。今回は年齢、性別、地域ごとに分類し考察する。年齢については、SNSの利用頻度が高く、流行に敏感な若年層と言えるだろう。若い世代は流行を作りやすくSNSでの反応を非常に得られやすい。ビジュアル重視のSNSとしてInstagramやTikTokの利用率は、10〜20代の全体の70%以上が利用している。性別については、スイーツを好み、ビジュアルを特に重視する女性だ。前述したSNSプラットフォームのアクティブユーザーは、他のSNSプラットフォームと比較して女性割合が高いのも特徴である。地域に関しては流行していることを知っていたが、食べたことがない人がたくさんいる地域をターゲットとしているため、都心部よりかは地方がターゲットだと言える。競合店との違いとしてSNSを生かした戦術が強みであること、価格の幅が広く顧客のニーズに幅広く対応できること、販売地域を限定することで特定の層の需要を供給することができる点が挙げられる。

これらから、24時間無人スイーツ販売店の特徴としてSNS、価格、場所の3つの要素を見出した。これらの視点からさらに分析を行うことで、爆発的ヒットの要因を探る。

2.2.SNSについて

SNSに関して、インスタグラムとTikTokなどのビジュアル重視のSNSプラットフォームでは、可愛らしいスイーツが特に注目されている。例えば、「ショートケーキ缶」や「おむすびケーキ」といった斬新なスイーツが人気を集めており、それぞれ1.3万件と1.1万件もの投稿がある。これらのSNSでは、写真や動画を通じて商品の魅力を直接伝えることができ、視覚的に訴求する力が強い点が特徴である。特にSNSのターゲット広告機能を活用することで、夜型の若者や早朝に活動するビジネスマンなど、特定のライフスタイルや行動パターンを持つユーザーに効果的にアプローチできる。

これにより、ターゲット層に対して的確なメッセージを届けることが可能となり、広告の効果を最大化することができる。また、ハッシュタグを活用することで、広範囲なユーザーに対してスイーツの魅力をアピールすることができる。これにより、関心を持つユーザーが自然と商品やブランドにアクセスしやすくなる。

さらに、消費者目線での課題に対応することも重要だと考察する。このように、SNSを活用したビジュアル重視のマーケティングとターゲット広告戦略は、スイーツ業界において非常に効果的である。定期的な投稿や視覚的な魅力を強調したコンテンツは、消費者の記憶に残りやすく、ブランド認知度や購買意欲を高めることにつながる。これらの手法を組み合わせることで、SNSを通じた販促活動の成功が期待できる。

2.3.価格について

次に価格に関して、300円以下から1000円以上まで幅広い価格帯を提供していることが商品ラインナップからわかる。

「自分のご褒美としてどんなことをしたいですか?」という調査に47%の女性がスイーツを食べるとあった。個人カフェの平均客単価は1500円、チェーン店は1000円程度というデータがあるが、オープン当初の客単価が2000円以上、その後1300円程度に落ち着くデータは、新規性による価格上昇と安定化を示している。鹿児島店の初月売上が2000万円を超える実績も、スイーツの高い需要を裏付けているといえる。

特に注目すべきは、『お取り寄せスイーツ』を小分け販売し、送料を抜いた価格で提供している点である。競合であるUberEATSを利用すると、サービス料や配送手数料で商品代のおおよそ30%の追加コストが発生するが、このサービスは、消費者が商品代以外のコストを気にする必要がなくなり、利便さに貢献しているといえるだろう。

また、遠方からの来店客がまとめ買いをすることで客単価が高くなる傾向もある。価格と価値のバランスを取るこの戦略により、幅広い顧客層にアピールし、売上を最大化している。

2.4.場所について

一方、店舗のほとんどが地方に散らばっている。消費者視点、一見メリットが少ないように見えるが、これは24時間無人販売スイーツ店のトゥエンティフォー社の戦略だそうだ。都市部にはSNS映えを狙った競合店が多く、供給が間に合っている点に着目した。あえて地方に店舗を構えることで、おしゃれな流行のスイーツを購入したいが、都市部に行く機会がなく買えないという顧客に供給するという算段だ。

店舗の維持費を低減させ、遠方からの来店客がまとめ買いをすることで客単価が高くなるという狙いもある。また、大移動に抵抗がある人に対しては、先述した『お取り寄せスイーツ』の小分け販売の送料無料サービスでカバーでき、都市部のニーズにも応えることができる。商品ラインナップも多く、一つにまとめて購入できる手軽さも人気の理由の一つと言えるだろう。

3. おわりに

今回はSTP分析を通じて、24時間無人スイーツ販売店が急成長を遂げた要因を考察した。若年層の女性をターゲットに設定し、地域は地方に絞って分析した。結果的に、コンビニや洋菓子店などの競合他社と比較して、SNSを活用したマーケティング戦略、幅広い価格帯、そして利便性を重視した地方展開が大きな強みであり、爆発的ヒットを生み出したと考察する。

まず、SNSの活用が成功の大きな要因となった。InstagramやTikTokといった見た目重視のSNSで、ショートケーキ缶やおむすびケーキなどのユニークなスイーツが話題となり、多くの若年層女性の関心を引いた。これにより、SNSでのシェアや口コミが広がり、認知度が急速に高まった。また、ターゲット広告機能を駆使して、特定のライフスタイルや行動パターンを持つユーザーに効果的にアプローチできたことも成功の一因であると言える。

次に価格設定だ。300円以下の手頃な商品から1000円以上の高級スイーツまで、幅広い価格帯の商品を揃えることで、多様なニーズに応えた。特に、送料を含まない『お取り寄せスイーツ』の小分け販売が消費者にとってのコストパフォーマンスを高め、遠方からの来店客によるまとめ買いが売上増に繋がった。

さらに、利便性も重要な要素である。地方に店舗を展開することで、都市部にはなかなか行けないけれど流行のスイーツを楽しみたいという顧客層にリーチできた。24時間無人販売という形態は、消費者が好きな時間に訪れて購入できる自由度を提供し、特に若年層のライフスタイルに適していた。

以上のように、24時間無人スイーツ販売店は、SNSを活用したマーケティング、幅広い価格帯による顧客ニーズへの対応、そして地方展開と無人販売による利便性を巧みに組み合わせることで、コンビニや洋菓子店などの競合他社との差別化を図り、爆発的ヒットを実現することができた。

6. 文献

[1]…https://www.glad-cube.com/blog/?p=35640#:~:text=%E6%B4%BB%E7%94%A8%E3%81%AE%E4%BB%8A%EF%BC%89-,%E7%B7%8F%E5%8B%99%E7%9C%81%E3%81%AE2023%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%80%8110,47.9%25%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
[2]…https://syncad.jp/news/marketing_stp/
[3]…https://batonz.jp/sell_cases/43260
[4]…https://dentsu-ho.com/articles/6258
[5]…https://x.com/shoyakubota1101
[6]…https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2401/24/news031_3.html


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