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TEMUの売上が大幅に伸びた理由


私達は格安ネット通販で日本のみならず、世界中で人気沸騰中の「TEMU」について調べた。どのような戦略でトレンドとなったのかについてみていく。まずは5C分析から紐解いていく。

5C分析

Company

まずはCompanyからだ。この企業は親会社ppdホールディングスの傘下に入っている中国のAmazonや楽天市場のようなネットショッピングサイトだ。この事業で全世界で168億元(3千億円)の売上をあげている。形態としてはメーカー等販売元と消費者とをつなぐマーケットプレイスという形をとっている。メーカーから商品を仕入れ、管理し、航空機で世界に送り、そこから各国の各地へ届けるという流れだ。このネットショップの特徴としては激安であるという点だ。定価1万278円のドライブレコーダーが2419円で購入できたり、90%offのクーポンが頻繁に配布されたりしている。

なぜこのような価格設定が可能かについて調べた。その理由としては大きく分けて四つある。一つ目は仲介業者がいないという点だ。中間業者を省き、メーカーの工場から直接入荷する事で中間コストを削減する事が可能になっている。二つ目は中国の生産コストと人件費は西側諸国に比べて低いという点だ。中国の賃金水準の低さは国際的な競争の中で大きな強みであると言える。三つ目は工場で大量生産された商品を仕入れているという点だ。大量生産をする事によって一つ当たりのコストが下がっており、仕入れの値段が安くなっている。四つ目はノーブランド商品を売っているという点だ。TEMUの検索で人気のブランド名を検索にかけても引っかかる事ない。なのでその商品に対してプレミア値をつける必要がない。これらの理由から全世界に衝撃的な安さで販売する事を可能にしている。

Consumer

次にConsumerだ。TEMUに登録しているのは全世界に4億6700万人おり、その中で日本の登録者は1500万人存在している。TEMU は最も利用者の多いアメリカ(1億5200万人)と日本の利用者層が大きく違う事が分かっている。まずはアメリカの利用者からみていく。

アメリカの大きな特徴としては50代~60代の利用者が多いという所だ。これはアメリカでのプロモーションの方法が大きな影響を与えているのではないかと考える。アメリカでのプロモーションでの大きな特徴はスーパーボウルでのテレビコマーシャルだ。スーパーボウルはアメリカで非常に注目度の高いアメリカンフットボールの大会であり、テレビ中継は高視聴率となる。それだけ視聴率の高い中継だからこそ各社は多額の資金をかけより良いコマーシャルを出せる様、最大限の努力をする。そんな中TEMUは約15億円の広告費をかけ試合中継中に6回コマーシャルを流した。このコマーシャルでは大富豪の様に買い物をしようというキャッチコピーが多くの人に刺さった。

50代から60代に人気が出た理由として二つの事が考えられる。一つ目はアメリカのテレビの視聴者層は50代から60代の方々が非常に多いという事だ。このスーパーボウルの中継もテレビによって放送されていた物で、この層が多く視聴していた事がうかがえる。二つ目はファッションやコスメチックだけを売っているのではなく、日用品や雑貨等も多く展開している事だ。50代から60代の層に刺さる様な商品展開も大きな理由だと考えられる。次に日本では20代女性が多く利用している。それも日本でのプロモーションが関わっていると考えられる。日本でのTEMUのプロモーションの主戦場はSNSだ。

Tiktok,Instagramのリール,Youtube Short等短い縦動画の途中に挟まっている広告をよく作成している。そして、Youtuber等のインフルエンサーとのコラボも多く行っており、若者へのアプローチを多く行っている。よって日本とアメリカでは利用者層が異なっている。

Competitor

次にCompetitorだ。TEMUの大きなライバルとしてSHEINが挙げられる。SHEIN は主に若い女性向けのコスメチックやお洋服、ファッション雑貨等を販売している。SHEIN とTEMUの類似点は大きく分けて三つある。一つ目は値段だ。TEMUもSHEINも激安という事を武器にしているという事だ。どちらともかなり低い位置で同水準の値段帯で商品展開を行っている。二つ目は広い国や地域で展開している点だ。TEMUは48か国、SHEINは150か国と規模は違えど、どちらとも多くの国や地域で展開を行っている事は間違いない。三つ目は中国に拠点を置いているという点だ。先ほども述べた通り、TEMUもSHEINも中国の低い生産コストと低い人件費を利用する事ができる。

逆にTEMUとSHEINの相違点は大きく分けて三つある。一つ目は売っている商品の内容だ。TEMUはファッション、コスメチックから日用品、雑貨まで広く取り扱っている一方、SHEINはコスメチックやお洋服、ファッション雑貨等、女性ファッション系に絞った商品展開を行っている。二つ目は販売の携帯だ。TEMUはマーケットプレイスというメーカーと消費者をつなぐという形をとっている一方SHEIN は自社で作成した商品を消費者に売るという形をとっている。SHEINは世界で人気になっているお洋服をAIに分析させる事によってトレンドを正確に理解し、その服を模倣するという方法で製品を作成し、多くの国と地域でヒットさせている。三つ目はアメリカでの利用者層だ。TEMU は先ほども述べた通り50代から60代の利用者が多い一方でSHEINは若い女性の利用者が多い。これは商品展開から見ても明らかである事が分かる。この様にTEMUは存在感の大きい競合と差別化を行い、売り上げを伸ばしている。

Customer

次にCustomerだ。TEMUには中間顧客がいない。自社完結している事もTEMUの大きな魅力であり、安い値段帯を実現できている要因の一つである。

4P

次に4Pでの分析も行った。まずはPriceだ。これはとにかく安い。高価であるはずの物もクーポン等の配布もあって想像以上の安さで手に入れる事ができる。

次にProductだ。こちらも先ほど述べた通りマーケットプレイスという形態の元、幅広い商品展開を行っている。

次にPlaceだ。こちらはネット上での販売だ。ネット販売という形がTEMUが広がった理由だと考える。店舗を構えたりするよりも初期投資が少なく、またネットは世界のどこからでも繋げられる物なので利用できる地域を広げる事が容易にできる。このネットという販売場所がTEMUがカナダ、オーストラリア、イギリス、ドイツを含む48か国での展開を可能にさせた大きな要因の一つであるといえる。そして発送までを自社完結している事も大きな要因の一つでTEMUを支えているだろう。

次にPromotionだ。こちらも先ほど述べた通りアメリカではスーパーボウルのテレビコマーシャル、日本ではSNSを中心としたプロモーションを行っている。「大富豪の様に買い物をしよう」というキャッチコピーが大きなインパクトを残すコマーシャルを作成している。コマーシャルの媒体ではなく内容に注目し、日本とアメリカを見比べてみた所、日本はとにかく安さに注目しているが、アメリカは大富豪になれるという所に焦点を当てていた。この事からアメリカは富や名声という所に価値があり、日本は安価でよい物を手に入れる事ができるという所に価値を見出しているのではないかと推測した。

最後にこのTEMUはプロモーションの成功とその衝撃的な安さで瞬く間に世界中に広まり、話題となった。その様になった経緯を分析した結果、国や地域、媒体の違いでニーズに違いがありそれに従ったアプローチ方法が必要である事や圧倒的な安さを実現し、保つ事ができるメカニズムについて知る事ができた。この分析によって得た知識は今後の就活や就職した際に役立てていきたい内容であると感じた。

参考文献

https://digiday.jp/modern-retail/ive-never-seen-anything-like-this-temus-ad-spend-soars-as-it-embarks-on-a-marketing-blitz/
https://digiday.jp/modern-retail/pinduoduo-earnings-indicate-a-recovering-chinese-e-commerce-landscape/
https://forbesjapan.com/articles/detail/62325/page2
https://ranking.goo.ne.jp/select/77217
https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2022082601/index.html

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