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小説と科学を書く人

次々と襲い来る締切に、じたばた死に物狂いで立ち向かっていたけれど、ふっと気がつくと、目の前の締切はいなくなっていた。ちょっと遠くの方に大きなのが見えるけど、死に物狂いモードを解除し、コツコツモードに切り替えても何とかやっていけそうな状態になった。

少しでも余裕が出ると、すぐに仕事とあまり関係ない余計なことをする。いや、むしろ、よけいなことをしたくなるような心の余裕が出てくるのだと思う。

ひさしぶりにYouTubeを更新した。撮影は15分程度だし、編集もそれほど時間がかからないけれど、追い詰められているときはカメラに向かって一人でしゃべり続けることができない。猫のおもちが初出演。

子猫から長年飼っている人でも、ひざにはなかなか載ってくれないという声をよく聞くので、大人になってから出会って、しかも結構出会ってすぐにここまでなついてくれたおもちは不思議な猫だ。本当に人間が好きで好きでしょうがない感じ。人間とくっつきたい欲より、ぐっすり安定して眠りたい欲が高まったら膝から降りて布団で眠るんだけど。

動くおもちを見てくれる人は、こちらをどうぞ。

あと、なぜか急に思い立ってHPのためのロゴを作った。

もちろん素人仕事だからいろいろあれだけど、形にしてみるって大事。自分の仕事を表すのは小説と科学だなと思い、本と分子のイメージにした。開いた本から物語が飛び出す感じ。あと、わたしの名前は泉美だから水分子のイメージ。本来一定の距離のどこかに存在していて場所をひとつに決められない電子の、ある瞬間だけを切り取った。それこそが物語であり、人生なんじゃないかとか思ったりして。まあ自己満足なんだけども。

Novel & Science WRITERと書いたときに、ああこれだと思えた。小説家も理系ライターもやっていますと名乗ったとき、いつも、二重人格なバラバラな感じがしていた。でも、この表記でしっくりきた。
小説と科学を書く人。
Novel×Science も考えたけれど、ちょっと違う。混ざり合わない部分もくっきりとあって、足される部分もあるから。

小説家というより、今は、小説を書く人の方がいいな。それって逃げだろうか。小説家と名乗り続ける重さに疲れたのだろうか。今は、「書く人」というシンプルなところから出発したい気がしている。小説を書く人。科学を書く人。漫画原作を書く人。舞台脚本を書く人。ビジネス書を書く人。広報のための文章を書く人。

先週の土日は東京で2日間の小説講座を行ってきました。対面で。これなかった人もいたけれど、36人の方が受けてくれました。小説って難しいけど面白いって言ってもらえて楽しかった。次々と物語が立ち上がり、ひとりひとり違う表現が生み出されていく。それを目撃するライブ感。何回講座をやっても、受けてくれる人が違えば、毎回違う想いがする。

わたしのデビュー作はnoteで無料で読めるので案内したら、休憩時間にさっそく読んでくれた人がいて、嬉し恥ずかし。自分の作品を読んでもらって感想をもらうのって、嬉しくて幸せなことだったなってことを、ひさしぶりに思い出した。また新たに書いて、この幸せを味わいたいと思った。

〈本日の小説活動〉
『最果てアーケード』小川洋子・著を全部読み終わった。小川洋子さんの小説はときどき残酷な死が潜んでいる。昔はそれが怖かったし、そんなものがなければもっと楽しめたのにと思っていたけれど、今日読み終わったときは、今までとは違う想いがした。残酷な死が潜んでいる世界こそが、この現実であると知るようになったからだ。小川洋子さんの作品は、死を内包しながら生きる方法を、静かに優しく語り続けているのだと思った。


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