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「忙しくてもうやだ」と駄々こねはじめた自分をなだめる方法

定期的にわたしは「忙しくてもうやだ」と駄々をこねる。もう無理。やだー。やりたくなーい。という床に転がって駄々をこねる。まあ放置していれば、迫る締切に押されて否応なく働きはじめるけれども、それまでにあたりに愚痴や弱音をまき散らしたり、駄々をこねたぶん体力を失ったりするので、もうちょっとうまいこと省エネでなだめたい。

そんな需要から生み出されたライフハックが「スケジュール帳の過去のウィークリー欄を埋める」。

必要なのはウィークリー欄付きの手帳と書いて消せるフリクションペン。

普段はもちろん予定帳として使っている。マンスリーに予定を書き込み、そのあとウィークリーに移動時間や取材の予定などを何時から何時までと←→を引いて書き込む。そして、その隙間に執筆時間を割り当てる。何の原稿をするかも書きこむ。何時間、その原稿にかけられるかが見える化してスケジュールをたてやすくなる。

事前に書く場合は見積もりなので予定どおりいかなくて変更になってもいい。そうしたらフリクションペンなので消して書き直す。消した分、その執筆時間をほかのところに見積もる。

「忙しくてもうやだ」となるときはたいてい、この作業ができないくらいに切羽詰まり続けているときだ。ウィークリー欄が真っ白なまま一週間が終わってしまう。スケジュール帳なので本来の使い方であれば、そこはもう空白のままなのだけど、ある日ふと、空白が嫌なので過去に何をやったかを思い出して埋めてみた。予定表なのに過ぎた予定を書くなんて無駄な行為のはずだ。なのに、埋めていくと駄々をこねている自分を結構な高確率でなだめられることに気が付いた。

こんなに頑張っているのに!!仕事し続けているのに!!!もうやだー!!って思ってたのに、「あれ、月曜日遊びに行ってるじゃないか」とか「あれ、漫画読んでるな」とか「あれ、この日おいしいもの食べに行ったな」とかゴロゴロ出てくる。忙しくなるとなぜか楽しかったことが記憶から抜け落ちて、ずっと仕事していると思い込んでしまって、よけいに気持ちが追い詰められていくらしい。

さらに「何もできていないと思ったけど、ここで原稿提出しているじゃないか」とか「取材準備で時間とられているのか」とか「資料調べているうちに1日が終わったのか」とか、頑張ったことも見えてくる。忙しくなるとなぜかがんばったことも記憶から抜け落ちて、何もできていないと思いこんでしまうらしい。

こうやって空白の一週間を埋めていくと、ちゃんと息抜きもしているし、ちゃんとがんばっているし、よくやったよわたしという気持ちになり、悲観的でも楽観的でもないちょうどよいところに落ち着く。地に足がつく。

ああ、これは日記の効果だと思った。でも、わたしの場合、文章でだらだらと振り返るとこの効果が得られない。いやだいやだという気分に支配されて、記憶が改ざんされている。いろいろ忘れてしまっている。だから、何時から何時まで何をしたかという客観的事実を書き込んでいく方法がいいのだ。すぐ悲劇のヒロインになりたがるわたしには、とっても有効だった。

未来も過去も、真っ白なスケジュール帳を見ると「うっ」と心が重くなる。予定がなくて真っ白ならいいけど、予定がいっぱいいっぱいなのに、それに向き合いたくなくて真っ白という状態だから。あれもこれも締切があって、それを直視したくないあまり、「とにかくたくさん」→「もう無理やだ」と思考停止してしまう。ウィークリーに作業時間を落としこんでいくと、現実的な量が見えてきて、どうやったらこなせるかも考えられるようになる。

いろいろ応用できるかもしれない。未来の締切の予定も、過去の自分の行動も、部屋の片付けも、人生の悩みも、借金も、長編小説も「とにかくたくさんもう無理やだ」思考停止状態になりがちだ。でも、どうせ思考停止するなら、思考停止したまま前へ進んでいくといいのかもしれない。心を無にして、イヤホンでご機嫌な音楽聞きながらいやだいやだという声を無視して、「とにかくたくさん」の中身を分類して分解する。決まった手順で。

ごみ屋敷をポジティブにプロフェッショナルに片付ける専門業者「片付けトントン」さんのYouTubeが好きでときどき見ている。「とにかくたくさんもう無理やだ」と誰もが思えるようなごみ屋敷が少しずつほどかれきれいになっていく様子に勇気をもらうし、その過程が面白い。

長編小説も「とにかくたくさんもう無理やだ」になりがちで、途方に暮れるんだと思う。一緒だ。そんな人はわたしのYouTube番組どうぞ。
「長い小説が書けない人へのアドバイス!(だまされたと思ってやってみて)」4分

今やってる大型仕事がかたづいたらYouTubeもたくさん更新したい。がんばります。がんばろう。がんばってるよ、わたし。

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