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ブックライターという仕事に向き合ってみようかなと思った。

毎日続けていた日記が途切れ途切れになっている理由のひとつは、もう、この日記を書かなくても、ライター仕事だけで1日が終わっても、自分は小説家だと思えるようになったから。

などとかっこいいことを思ってたけど、いったん止まると、また始めるのにエネルギーがいるんだなということに気づいた。たぶん、止まれば止まるほど、億劫になる。止まってもいいから、小さく始めよう。あれもこれも。

8万字の本の原稿の直しをあれやこれやしていて、ようやく、一回手を離れた。またすぐ戻ってくるけれど。手を離れたとたんに、追い詰められていた気持ちが軽くなって、ジムに行こうかなという気分になった。15分だけ一生懸命自転車こいで、サウナとお風呂で極楽気分になって、今、日記を書いている。

ジムに行くのは億劫だけど、行ったことでいろいろなスイッチが入る。他の行動もできる。逆に言えば、億劫を放置しているとどんどん膨れ上がって、億劫が億劫を呼び、身動き取れなくなるのではないか。

人と交流するのも、仕事を受けるのも、すぐ億劫になる。億劫さに負けていった先にあるのは、たぶん、死なのだと思う。物質は放っておけば拡散していくけれど、生物はエネルギーを使ってせっせと「自分」を維持している。億劫に抗うことは生きることだと思ったら、ちょっとやる気も出る。

そうそう、タイトルね。わたしが今やっている仕事を馴染みのない人にわかりやすくゴーストライターって説明してたけど、そうではなく、ちゃんとブックライターと言おうと思った。
 
ブックライターとは何かということは、wikiにいい感じにまとまっている。もっと知りたいという人は、ブックライターという言葉を広めているレジェンド・ブックライター上阪徹さんの本『職業、ブックライター。毎月1冊10万字書く私の方法』をぜひ。

ブックライターは、著者の考えや研究内容を読者に伝わりやすい形で本にする書くプロ。本の表紙には名前は出ずに、奥付(本のスタッフロール。最後のページ)に「構成」「編集協力」として名前が出る。まったく事情を知らない人から見たら、著者が自分で書いていないなんて…とショックを受けるかもしれない。でも、そういう本がたくさんあって、本というものの在り方を、ブックライターの存在を含めて、みんなでアップデートしたらいいんじゃないかななんて思う。映画は監督の作品だけども、脚本は別の人が書いている場合がある。そういう感じ? いや、映画にたとえなくても、本を作るには編集者さんがものすごく関わっているけれど、編集者さんは表紙にも、下手したら奥付にも名前が出ない。そういう感じ。

今年は今手掛けているのも含めて、5冊のブックライター案件を受けていて、もうこれ以上は無理でこの先は絶対に断ろうと思っているんだけども、ふと、自分が著者として小説を5冊刊行することと、裏方のブックライターとして本を5冊出すことと、そんなに違いはないのではないかという気持ちになった。

著者としての名声、評価、自分自身のアイデアを出せること、そして小説であることが著者として小説を出すメリットだけども、わたしはいま自分自身のアイデアがない。小説家としての名声とか評価とかも何だか今はあまり興味がない。

仕事として考えたときに、10万字書くための試行錯誤とか、それによって身に付く多くの力とか、原稿料とか、もし売れた場合の印税による不労所得の夢とか、読者に読んでよかったと思ってもらえるものを届けるという目的とか、プロの編集者や校正者とお手合わせができるというメリットは、同じだ。ブックライターで全部かなう。

どんな本に参加するのは選ぶことができる。自分が本当に共感できたり、学びがあったり、興味があったり、惚れこんじゃうような著者とだけ仕事をしたらいいわけで。

なんかそんなことを考えて、今年はとりあえずブックライター三昧になりそうです。ひととおりやりきったら、また別のことしたくなるかもしれないけどね。

ブックライターをしていても、やっぱりわたしは自分が小説家だと思うことができる。たとえ小説を書かなくても、文章も構成もノンフィクションの中に流れるストーリーも、すべて、小説家だからできるものを書いている、わたしにしかできない仕事をやれている、と言い切れるような1年にしたいな。

〈最近の小説活動〉
Audibleで『推し、燃ゆ』宇佐美りん・著を聞いている。描写が身体的で五感がフル活動する感じ。耳で聞いて想像力が広がる。でもやっぱり文字で読みたくなるかも。1回で聞き終えられる短編とか、ストーリーがメインのエンタメ系の小説ならAudibleでもいいけれど、ストーリーががんがん進むタイプではない純文学系の長編だと、途中で聞くのをやめると、続きを聞くときに、何の話だったかわからなくなるのかも。


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