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白い壁と白い家具は憧れだけど

まだ存分に仕事前の寄り道が出来た頃、職場の同僚と
将来どんな家に住みたいかの話になりました。

当時からバリアフリーの家みたいなことを言っていた子は
先見の明があるなと感心しているのですが、
皆やはり白い壁が美しい、一戸建てが多かったですね。

庭があって、2階建てで、車庫が広くて、間取りはこうでと
夢が広がる中、私が憧れていたのはコンクリートの家。
四季のある日本には向かない事は重々承知でしたが、
デッキブラシで掃除が済むような家に憧れていたのです。

年齢を重ねるにつれ、そういう家は憧れで済ませる方がいい
ということで、昨年引っ越した時も住みやすさ重視にしました。

間取りで気に入っていた家は、見に行ったら白い壁に
ドアはダークブラウンで、私の好きな組み合わせ。
収納もそれなりにあるし、自分の部屋にしたいと思った
部屋には、憧れのクローゼットがありました。

家族に不動産会社の営業さんみたいにプレゼンをしかけ、
無事今の家になった訳なのですが、実際に家具が入る前の
がらんとした空間に入った時、何とも言えない気持ちになりました。

何とも不安で、落ち着かない様な、ドキドキするような。
なんでなんだろうと思いました。

ふと入って正面の一面の壁を見て納得。
色が白だったのです。

白い壁にダークブラウンのドア、そこにダークブラウンの
家具を置いて、小物はこの色で・・と考えていたのに、
私は白い壁の前に圧倒されていました。

病室の光景がまざまざと浮かんで、不安で怖くて仕方なかった。
ここで一人で寝ていたら、また入院中の気持ちになって
不安でいられないんじゃないか、そう思いました。

立ち尽くす私に、「どうしたの?」と家族。
「大丈夫」と自分にも言いながら、家具が入るのを待ちました。

家具が入り、一面の壁は小さくなりました。
カーテンもかかり、部屋っぽくなって。
ようやく気持ちが落ち着きました。

そこで気が付いたのですが、そういえば、
私は広くて明るくて白っぽい場所が苦手なのです。

銀行、役所、病院、ホテルや飲食店、さらには
ショッピングモールや百貨店まで。

最近行かなくなっていた場所は、皆広くて明るくて
白い壁が印象的なところ。
逆に平気で行っていた場所は、レンガ作りの喫茶店や
色の壁、もしくは装飾で気にならないところ。

前は大好きで行っていた美術館や博物館もご無沙汰です。
まさかそんなとこに原因があったなんて。

今でも、朝起きて天井を見て、体が動かないと
「まさかまた・・?」と思います。
多分自分で思っている以上に、恐怖を感じていたんでしょうね。

白い家具にも憧れていて、自分の部屋が出来たら
絶対これにしたいと思っていたテーブルセットがあったのですが
実際に見て触ったら、何とも心が落ち着かず、ダメでした。

暫くは前の理想の部屋は写真とかで楽しんで、
今落ち着ける部屋を少しずつ作り上げていこうと思います。

そう言えば、最初に話した呑みの席で、ある同僚が言った
「とにかく掃除が楽ならそれでいい」は、
私が今一番理想だと思っている部屋です。

手の力がないと、掃除は一番の難関。
フローリングワイパーでササッと掃除の出来る、
そんなスッキリしたちんまり暮らしを目指します。
まだ、自動で掃除してくれるアレを買うのはためらう程の惨状だけど。

まあとにかく、自分が落ち着ければいいんだ、うん。

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