007 新幹線には

 新幹線に乗るときの楽しみは、お弁当。
 昼頃に乗る場合は、早めに駅に行って適当な店で済ませたりせず、お弁当を買うことにしている。
 普段、電車の中でお弁当を食べることがないので(おにぎりを食べる人はたまに見かける)、新幹線の中でお弁当を食べることは、非日常、つまり旅のはじまり、という感じがする。

 おかずが沢山入ったお弁当もたのしいけれど、最近、買うのは、巻きずし。とくに海鮮の太巻きが気分。
 巻きずしは、すっすっ、と口に運べるのがいい。巻きずし、巻きずし、お茶、巻きずし、みたいに。
 ひと口で、お米も、海鮮も卵もキュウリも味わえるところも好きだ。一本の太巻きを切っているわけだから、ひとつのパックに同じものが、五、六個入っているけど、バランスのとれた具は、飽きがこない。何個でも食べられる。

 いろんなネタが楽しめるお得感のある、お寿司のお弁当もいいけれど、どれから食べよう、次は何にしようと迷ってしまうので、新幹線に乗るときは、やっぱり巻きずしがいい。すっすっ、と食べたい。

 ちなみに、わたしは、太巻きはひと口で食べたい派なので、細めのものを選ぶことにしている。かじってしまうと、海苔がうまく噛み切れず、具がバラバラこぼれるのが気になる。
 それに、無理して口に詰め込んで、知らない人にもごもごしているのを見られるのも恥ずかしい。

 もしかして、食べているところを見られるのが恥ずかしくて、早く食べ終わりそうな巻きずしを選んでいるだけ? とも思ったり。
 こういうものの選び方一つにも、性格が出る気がする。

 今度の新幹線には、ここで買った笹寿司と、あっちで買った海鮮太巻きを持ち込もう、と金沢駅にある百番街のお弁当売り場を通り過ぎる。
 新幹線にに乗る予定は、ないけれど。

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