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アリバイSDGsを蹴っ飛ばせ!

3か月のイスラエル滞在から帰ってきた大学生に、「湯川さんがSDGsとか、やば、どうしたんスか?」と聞かれて、耳が真っ赤になるくらい恥ずかしくなった。だよね。いまSDGs、バズワードだよね。「ソーシャル嫌い」を公言してる私が、何言うとん、やんな。でも、「だからこそ」やねん……って話。

▶CSR:世の中の90%以上の中小零細企業の冷ややかな目線

SDGsの前に、CSVもあったよね。そんなにバズらなかったけど。Creating Shared Value、「共有価値の創造」。アメリカの経営学者、マイケル・ポーターさんが言い始めたやつ。

バズってたのはその一世代前、CSR。Corporate Social Responsibility、「企業の社会的責任」。車の会社が木を植えたり、食品の会社がクラシックコンサートしたり、いかにも『ザ・善いこと』をしていた記憶がある。で、企業はこうして社会貢献しなきゃいけないんだよ、と言われてたけど、そんなお金に余裕あるの大企業だけだし、その大企業だって本業の利益減ったらすぐやめんじゃん。……という世の中の90%以上の中小零細企業の冷ややかな目線もあって、いまひとつ定着に至らず。

そういや日本中にお金がうなってたバブルの頃は、「メセナ・ブーム」だったっけなあ……。


▶CSV:近江商人なら「三方良し」。一般的にバズるまでにはいかず。

そこに現れたのがマイケル・ポーター先生で、「CSRったって、戦略的にやんないと続かないよね? やっぱ、企業は儲かんなきゃダメなんだから、社会に感謝されつつ、同時に本業での利益も上げていくことが大事なんじゃないの?」と戦略的に提言。(※ノーベル賞を狙っているという噂もあり) だから、「それって、近江商人が300年前に言ってた『三方良し』だよね」と言っちゃダメね。

で、「これもうCSVって呼ぶね、なんかCSRと略語が似ててごめんね」とポーター先生が言った記録はないのだけど、ともかく時代は颯爽とCSVに舵を切った。お菓子を販売する会社が商品を健康的にしたり(ハイ、CSV経営の先駆者・ネスレさんです)、お茶を販売する企業がお茶農家を保護したり、衛生用品を扱う会社が素材をオーガニック・コットンにしたり。おお、社会に良いことしながらちゃんと本業での利益につなげる。とはいえ、これも大企業の事例が多かったのは同じ。

じつはリベルタ学舎では2018年度、このCSVを軸に、日本で数少ないSROI(Social Return On Investment=社会的投資利益率、事業の社会的インパクト評価指標のひとつ)の専門家を招いて、通年のセミナーをやってたのです。そこに、地元・神戸の中堅企業3社さん(エム・シーシー食品さん、六甲バターさん、白鶴酒造さん)がずっと通って実際に取り組んでくださっていた。ほんま、すごいことやと思う。が、CSVという言葉、一般的にバズるまでにはいかなかったよね。


▶SDGs:理念や理解より先に、バッジがやってきた。

そんなこんなやっているあいだに、ビジネスの世界にSDGsさんがやってきた。ちょいと大手企業のビジネスマンは、気づけばみんな、スーツの胸に、駄菓子の「めがねマーブルチョコレート」の片方みたいなバッジをつけていた。そんなSDGsのルーツは商人ではなくて、国連なのだって。

前身は、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals)、略してMDGs。マジか。まるで国際連盟が機能せず第二次世界大戦が勃発した反省から国際連合が生まれたように、先進国が途上国の課題解決をサポートする仕組みのMDGsがうまくいかなかったので、いやもう全人類が取り組むべき課題だから! と、ドーンと風呂敷ひろがったのがSDGsらしい。

2015年に全人類課題になってから5年目。さすがに全人類課題なだけあって、神戸で豚まんつまみ日本酒酌み交わして「”ソーシャル”とか”にぎわい”とか、胡散臭いよね!」と革命スナックでワァワァ言ってる私のところにも、SDGsバッジがやってきたりするようになった。あ、理念とか理解よりも先に、マーブルチョコレートなバッジがやってきたな、うん。


▶今までの延長線上に、本当に明るい未来はあるのか? って話。

それでも相変わらずSDGsに懐疑的だった私の脳天にゲンコくれたのが、横田浩一さんという陽気なおじさんだった。慶応大学大学院の特任教授で、SDGsの第一人者で、日経ソーシャルビジネスコンテストのアドバイザリーボードとかもされている。彼はこう言った:「今までの延長線上に、本当に明るい未来はあるのか? って話ですよ」

「10年後のありたい未来を考え、そこからバックキャスティングによって今やるべき目標、すべきことを設定し、多様なセクターと力を合わせて実現していく。次の時代を生き抜くチャンスを与えてくれるのが、SDGsだと、私は考えています」

「SDGsは、”余裕があったらやるもの”や”利益と相反するもの”ではありません。企業経営そのものです」 マジか……!!


▶アリバイ作りじゃないSDGs、愚直にやってやんよ。

私は広報でも事業でも、ウソがあるのが本当に嫌い。なぜなら、ウソを突き通せるほど賢くないから。そして、ウソをついていると悲しいきもちになるから。

「バックキャスティングで未来をつくる」は、昨日、地方自治体向けデジタル・ガバメント研修で一緒にパネルさせていただいた奥田直彦さん(内閣官房IT総合戦略室参事官)も言われてたし、もう1名のゲストの山口功作さん(エストニア投資庁元日本代表)なんてモロ「デジタライゼーションとSDGsは同じこと」と言われていた。

そして、日々、私が行政や起業の現場で言っていることでもある。まず、自分がありたい未来を考え、それを実現への戦略に落とし込み、そして実際にやる。……うん。やる。だって、全人類課題なんやろう? 愚直にやってやんよ。まずは次年度一年かけて、吹かなくても飛ぶよな弊社の事業を、SDGsでやってみる。


なんかよくよく読んだら、SDGsの17のゴールのうち、1番目から16番目までは「やること」が書いてあるんだけど、17番目はそれらの「やりかた」が書いてあんのな。【目標17:パートナーシップで目標を達成しよう】 

で、「目標」……何をやるのかだけども。「ウソない、アリバイ作りじゃない、本気のSDGs」で、どやろ? トレードマークは、めがねチョコでどや? ……いや、でもそれって16のどのゴールになるのだ? ちゃんと目的に適っているのか? もしよかったら、誰か一緒にやろうぜ。パートナーシップでね♥


★【キックのオフやで! 興味あったら】★画像1

◆SDGsの基礎を学び、2030年の「こんな自分でいたい! こんなところに住んでいたい!」を実際に考えてみる。ゼロから始めるぞ!

《ゲスト》横田浩一さん(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授/横田アソシエイツ代表取締役)
《開催日》2月8日(土) 16時~19時
《会 場》コミューン99(神戸市中央区江戸町100番高砂ビル601、三宮駅徒歩7分)
《参加費》¥2,750 (※学生無料)
→詳細・お申込み https://www.facebook.com/events/475059020073033/




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