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いまの日本で諦めたら死んじゃうかもしれない。ーこれからの「働く」を考える①

私は40代の後半だ。一昔前なら「おー、あと10年ちょっとで定年かー」と思っていたのだろうけど、もう「定年70歳へ」とか言われているし、”人生100年時代”で有名なリンダ・グラットンさんに至っては、いまの日本の20代が引退できるのは80代になるだろう、と言っている。

たぶん、まだまだ、「働く人生」が待っている。私はよくばりなので、1日でも多く、少しでももっと、楽しく生きたい。なので、これからの「働く」を、考えてみたいなーと思ってます。


▶「日本で、こんなにイキイキと仕事してるひとたち、初めて見た」

「これからの働く」を、”一緒に”考えてみたい。そう思ったのは、なんだかみんな諦めているように思えたからでした。「愉快に働くこと」「生きがいや納得感をもって働くこと」

強烈に覚えているのは、神戸に古くからあり、いまも賑わい続けている水道筋商店街の灘中央市場に、スコットランド出身のグレアム&イングランド出身のデイヴィッドを連れて行ったときのこと。

肉屋さん、魚屋さん、乾物屋さん、八百屋さん、和菓子屋さん。ひとつひとつ喋りながらまわっていると、日本に滞在してだいぶ経つふたりが、「日本で、こんなイキイキと仕事してるひとたち、初めて見た」と言ったのだ。

えっ、日本に何ヶ月も滞在していて!?


▶ 事実、日本は「働きがい」世界最下位。

毎年、先進国30数ヵ国で、「働きがい調査」みたいなのが行われている。私が知っているのは、仕事探しのIndeedと、ヘッドハンティング御用達のLinkedInがやっているもの。その両方で、日本は、断トツの最下位。

そら、グレアムもデイヴィッドも、日本でイキイキと仕事しているひとたちを見なかったわけだ。

彼らのきもち、実は、わかる。私は10年間、スペインに住んでいたから。貧乏だけど楽しそうだったぜ。社会課題は山積だったけどね。「イキイキ」は、そこらじゅうに溢れてたな。彼氏とケンカしてプンプン怒りながらレジを打つおねえさんにも、絵描きをしながら日本とビジネスマッチングをする偉いおじさんにも、当てずっぽうで給湯器の修理して壊した大家さん親子にも。


▶「働くために生きているんだって?」

スペインに住み始めてしばらく、「日本から来た」と言うと、スペインのひとたちから「どうして、あんな豊かな国から、こんな貧しい国に来たんだ?(旅行ならともかく)」と問い返された。

でも、スペインのテレビのニュースで、極東の島国で練炭自殺が相次いでいて、それは「karoshi」といわれる事象なのだ……と大きく報道されてから、対応が一気に変わった。

「日本から来た」と言うと、こう返されるようになったのだ。「そうか、よかったな! Trabajamos para vivir, pero viveis para trabajar, eh?(俺たちは生きるために働くんだけど、お前たちは働くために生きてるんだって?) ようこそ、スペインへ! 君はもう死なないで済むよ」


▶「karoshi」は、そのままで外国語。

スペインのニュースでは、「過労死」はそのまま「karoshi(カローシ)」と伝えられていた。たとえば、「生魚を米にのせた料理」が外国にないから寿司が世界中でSushiと呼ばれるように、「働きすぎて死ぬ」は外国にないから世界中でkaroshiと呼ばれる(英語でもそうらしい)。

「働きがい最下位」の国は、世界でも珍しい「働きすぎて人が死ぬ」国である。おいおい。それって、いったいどういうこと?


少なくとも、「生きがいをもって働けないこと」も、「働きすぎて死ぬ可能性があること」も、現代日本に特徴的な現象であることはわかった。ならば、「そうじゃない働き方」も、きっとできる。

諦める必要はない、つか、いまの日本で諦めたら死んじゃうかもしれない。karoshiがある国なのだから。

だから、一緒に考えたいんです。「これからの働く」を。どうやったら、「愉快に働くこと」や「生きがいや納得感をもって働くこと」ができるかを。

(つづく)


<参考>
・「灘中央市場と周辺のフカボリ/DIIIG」(2016) https://diiig.net/lw/14078/
・「カナ式ラテン生活/ほぼ日刊イトイ新聞」(2001-2006)https://www.1101.com/Latin/2001-01-22.html


<告知>
私が「新しい働き方」の実験としてはじめてみたチームです。複業コミュニティ。2021年度下期の説明会するので、もしご興味あったら、覗いてみてね。

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