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2024年6月の記事一覧

普通の人びとの普通の生 『かもめ・ワーニャ伯父さん』

新潮文庫『かもめ・ワーニャ伯父さん』には、チェーホフの2つの戯曲が収録されている。 どちらの作品でも、さまざまな立場の人々が、お互いに恋をしたり、憎んだり、蔑んだりする。 いずれもすれ違いで、片思いである。双方に思いを分かち合う、というシーンはほとんどない。共有したように見えても、その後に破綻する。 「かもめ」も「ワーニャ伯父さん」も、主人公が「僕のこの気持ちを、きみがわかってくれたらなあ!」というセリフを連発するが、この雨でイベントが台無しになってしまったような「伝わらな

チェーホフ『かもめ』

こんにちは。うにです。 今回はチェーホフを読むことになりました。前回、ナボコフを読んで、「ロシアの作家とかいいんじゃない?」という意見が出て、「ナボコフはロシアの作家なのか?」という疑問もありながら、まあチェーホフ好きだし、「読みたいです!」と僕が言って決まりました。 (読書会メンバーのかなめくんも信濃さんも、我が強くない穏やかな人々なので、スッと意見が通ってしまった!) 『かもめ』今回読むのはチェーホフの四大戯曲と言われる作品の中でも、一番最初に発表された『かもめ』です。