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やまゆり園事件被告の死刑判決を受けて

植松被告の死刑判決が言い渡されました

新型コロナウイルスの報道のさなか、津久井やまゆり園事件の植松聖被告に死刑判決が言い渡されました。
第一審なので、確定判決ではないですが、植松被告本人が控訴しないと言っているので確定することとなるでしょう。

2016年7月26日未明、相模原市緑区の県立障害者施設「津久井やまゆり園」に男が侵入し、刃物で入所者19人を殺害、職員2人を含む26人に重軽傷を負わせた。

未曾有の殺人事件、それも抵抗のできない障がいを持った人に対する凶行であったため、大変なショックを社会に与えました。
2001年の附属池田小事件を連想した方も多いのではないでしょうか。
死刑執行された宅間守と同様に、抵抗できない、弱いものを標的とした事件であるため、どうしても思い出されるのです。

宅間守の言葉

・・・遺族は泣きながら退場者もでる。
裁判長 「被告は不穏当な発言を控えなさい!」
かまわず宅間は暴言を吐き続ける。
宅間  「人間なんて一瞬で死ぬんやで!。ワシの人生の幕引きの道連れに、ガキが死んだだけや!、そやからワシには反省や申し訳ない気持ちはないし、後悔もない!。しょうもない貧乏たれの人生やったら今回のこのパターンの方がよかったんや。あるんは自分への後悔だけや!。なんで、幼稚園にせんかったんやろ?、幼稚園ならもっと殺せたと今でもこんなんことばかり考えてしまうんや、なんで、ダンプにせんかったんやろ、その方が数もいけた!。親父を殺しておればもっと違う人生があったかもしれん、○○(元妻)の顔をあの時、ズタズタにしてやればよかった。何でせえへんかったんやろと今でも、ほんま、後悔しとる。まあ、いずれにせよ、こんなひどい人生に終止符を打てられて、ほんま、幸せや!。死刑は、はようにしてな!、そや、裁判長、死ぬ前日はうまいもんでも食いたいが、ワシ、うまいもん、食べれるやろうか!」
   ・・・混乱を極める室内。裁判長が退廷を命じる・・・

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自らのいのちを既に殺してや 彼凶行に及びたるらむ

伊勢真一監督作品「えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤滋」 の自主上映をしたいと思っています。
自主上映実行委員会を立ち上げました。ただ、ちょっと時期的に遅くなりそうです。
標題の「自らのいのちを既に殺してや 彼凶行に及びたるらむ」は、遠藤さんの歌集には出てきません。
今回探しましたが、HPにも発表された様子はありませんが、映画のパンフレットの「採録台本」の中に見つけました。
映画を見てからずーっと引っかかっていたので覚えていました。
怒りでもない、達観でもない、叫びでもない、深い人間洞察に支えられた静かな悲しみが感じられる歌です。
遠藤滋さんは、ベッドの上で被害者にも加害者にも同時に心を寄せていたのです。
すると、この歌がスッと胸に入ってくるのです。その時、既に彼らは人として死んでいたのです。

死刑を選択するのは止むを得ないが

応報としての刑罰を考える時、これだけの凄惨な事件であれば、死刑を選択するのはあたりまえです。
判決の中では、「改善更生の可能性は認められない」とされるでしょう。
また、現実の刑執行場面で、仮釈放のない無期刑の受刑者が存在した時に、彼らの処遇は困難を極めることや容易に予想されます。
ですから私は死刑制度については反対する立場にはありません。
そして、植松被告も宅間守も自らの死刑を望んでいます。
でも、彼らはなぜ自らを殺す必要があったのか。

事件直後の01年7月、検察官の取り調べに「小学校を選んだのは、できるだけたくさん殺せると考えたから」「たくさん殺せば確実に死刑になるし、道連れは多いほうがいいと考えた」と語る一方で、「全然関係がない子どもの命を奪ったことに対して本当に申し訳ないという気持ちがある」と供述した。

正義の名の下に

植松被告も宅間守も、自分なりの犯行の理由を述べています。
とても受け入れられるものではないし、薬物による影響であるとか人格障害であるなどの理由をつけて人は納得しようとします。
立ち会ったことはありませんが、刑場は何度か見せてもらっています。
そこで刑務官によりどのようなことが行われるのかについて説明を受けましたので、その様子は想像ができます。
起こったことは取り返しがつきません。責任は重大であり、償うのは当然でしょう。
裁判結果は実行にうつされ、正義の鉄槌が下されることになります。私たちの正義が勝ったのです。刑は執行されまた一つの命が消えます。
 正義感というのは、他人を蹂躙するときの後ろめたさや罪悪感を感じないための呪文のようなものです。
ですが、その正義は絶対的なものなのか、振り上げた拳は正しいのか。
人は、何度も繰り返し自身に問うことが求められると思うのです。
そして、繰り返しその苦さを受け止めなければ、永遠に正義の鉄槌が人々を追い詰めることも事実なのです。
お亡くなりになられた皆様が安らかな永眠を祈願いたします。

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