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触法障がい者のお話

南高愛隣会のこと

法務省矯正局に在籍中の最後の部署が、「福岡矯正管区成人矯正第2課長」という役職でした。
九州と沖縄における刑務所・拘置所等の成人矯正施設の作業・教育・調査・社会復帰等に関わる統括をしていました。
南高愛隣会に訪問したのも仕事の関係です。
長崎県では触法障害者の社会定着について先進的な取り組みを行っており、全国で長崎方式として知られています。
次の記事を読んでいただきたい。
それぞれの田島前理事長や虹の施設長などもお会いしました。
みなさん強い使命感で頑張ってらっしゃるのが印象的でした。

元受刑者の社会復帰

弁護するつもりではないのですが、元受刑者であっても刑罰を受けて社会に戻れば、一般の人と同じであると言うのが法律の建前です。
さらに、その犯罪の原因が障害にあるのだとしたら、福祉的な側面での支援が行わなければなりません。
これは、憲法第25条に生存権として定められています。

第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

私たちが安心して社会生活を送るための基盤となる条項です。
また、元受刑者が再び犯罪を起こさないようにするためには、その犯罪に至った原因を取り除く必要があります。
犯罪件数の6割は、犯罪者の3割の再犯者が行っているという現実があります。ですから、再犯者が更生すれば犯罪は劇的に減少するのです。
したがって、元受刑者に適切な居場所と役割を与えることを押し進めなければなりません。

一人歩きする犯罪者のイメージ

みなさんが仕事でお客さんと会うのと同じくらい、私は犯罪をした人と会ってきましたが、断言しますが、9割は普通の人です。
あと1割は、あなたの人生で絶対に避けるべき人ですが、たぶん、社会に出ることはありませんし、会うとしても交通事故で車にはねられるより確率は低いでしょう。
ほとんどが居場所と役割さえあれば社会で生活できる人です。
ただ、生きづらさが彼らの立ち直りを阻むことになります。特に触法障害者の場合は元受刑者と障害という二つの生きづらさを抱えています。
それは、制度面の問題だったり、付き合う人間との関係だったり、偏見だったり、うわさだったりです。
でも一番は、報道等で印象付けられた怖いと言うイメージで元受刑者を見てしますことです。
受刑者処遇の基本でよく言われるのは「彼も人なり、我も人なり」です。
「先入観を持つことなく接することで、彼の気持ちもわかるし、こちらの言うことも受け入れさせることができる」と言うことです。

社会で支える意味

社会には当然ルールがあります。そのルールにしたがっている限り、各個人は尊重されなければなりません。いろいろな人がいることを前提に、社会を構築する必要があるのです。
また、それぞれの人が社会における居場所と役割を、持つことで地域は豊かになりますし、それが生きがいとなります。
多様性というのはそういうことです。
元受刑者を受け入れるというのもその一つです。
そんな違いを認め合い助け合う社会は、そこに生きる地域の人々のためにもなるはずなのです。


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