尊師リスペクト

打ち解けるにつれて尊師は僕に大切な事をたくさん教えてくれた。
苦しみ、不条理にどうたちむかうか。
人生を諦める方法を。

「夢は持たず現実を見据える事だ。
他人の物差しなど捨てろ
自分はゴミだと言い聞かせろ」

「村田さんや俺が健常者のようになれるわけがない」「求めるな。運命を受け入れろ。村田さん」「俺たちは底辺だ。底辺底辺底辺だ。」

僕を勇気づけてくれた。


ある日、尊師は仕事を辞めた。僕からの連絡も拒絶。
音信不通だ。バックれ退職だった。
 

尊師はいまなにをしているんだろう。
ホームレスかな。いやマグロ漁船で漁師やってるかな？
きっと大丈夫。幸福を求めなければ人間なんだってできる。ですよね？尊師

尊師ならどんな逆境だって乗り越える。
 
 
7年後
～東京日本橋～
「らっしゃい。らっしゃい。豆腐だよ」
ホシャカだ。久々の再会だ。
現在尊師は豆腐屋で見習いをやっているそうだ。
「俺はいま豆腐職人として修業の身だ。俺はもう40歳だけどさ、夢中になれるものを見つけた」
「人間いつだってリセット復旧可能だよ」
 




～数日後～

尊師は天に召された。


今日は葬儀の日だ。
尊師の母が俺に言った。
「コウスケは村田さんのよく話をしていました。」「コウスケからです。お受け取り下さい」おれ宛へ遺書だそうだ。

内容は伏せておく。尊師。
あなたのレガシーは俺が後世に残す。
だれにも穢させやしない。


どうか安らかに。