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よっちゃんの指とーまれ! 第3話

森の夜がはじまり
少年は今夜も
動物たちと宴会をしていました

ぽつりと地面に転がった鳥籠
そこへ
紅いろの白鳥がやってきました
Red Swanです
「大丈夫?生きてる?」
Red Swanは小さな声で聞きました
少年に気付かれないようにです
「君はココから逃げるんだ、このままでは死んでしまう」
しかし、弱々しげに青い鳥は
「そんなことしたら、彼が悲しむよ。。」
紅い白鳥はニヤリとして
「望むところさ!少し悲しめばいい!僕ら鳥は自由に空を飛び自由に歌うべきだよ」
びっくりした顔をした青い鳥は
「すぐに捕まってもっと酷いことになるかも」
「大丈夫!俺らにまかせて!」
Red Swanの後ろには
髭を長く伸ばしたフクロウが優しく頷いていました

少年はヒソヒソ話に気付いたのかコチラを見ました
青い鳥は
青い顔を更に青くして震えました

「さ!早く籠から出るんだ」
Red Swanとフクロウは籠の扉をこじ開けて
青い鳥を急かします

羽はボロボロで声が枯れて弱りきった
青い鳥は急かされるまま
幸福の実をひとつ渡されて
森の闇に溶けて消えました

「そこで、何をしてるの?」
少年の声に
Red Swanとフクロウは飛び上がりました

「あ!僕の鳥が!!」
青い鳥の不在を確認した少年は
Red Swanとフクロウを睨みつけました
そして

カラの鳥籠を手に
立ち尽くしたのです

Red Swanはそんな少年に
「あんな奴、要らないさ!もうヨレヨレじゃないか」
「代わりに僕の歌声で演奏しよう」

「そうだ、、そうだよね!」
青い鳥の消えて行った森の奥を見つめながら
少年は笑った

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