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役病9 ワクチンによる制圧は難しい

   人類が唯一根絶できた悪疫ウィルスは天然痘だけです。

 WHOが1966年から開始したワクチンによる絶滅計画により1977年に根絶されたようです。ヒトにしか感染できず、そして、ワクチンの接種によって終生免疫がつき、二度と感染せず、さらに、ウィルスが変異しなかったため、根絶できました。これほど条件が揃っていたことは珍しく、多くのウィルスは根絶するのが著しく困難です。

  ワクチンを創るのが難しいだけでなく、ウィルスが変異しやすい場合、ワクチンを接種するとウィルスが免疫逃避するような変異を促してしまう可能性があります。ウィルスの拡散、人間の免疫力と進化生物学を融合させた、ウィルスの系統ダイナミクスの考えによると、部分的な免疫力があり、なおかつ感染が広がっている状況において、突然変異が最も起こりやすいそうです。

  また、老人は免疫能力が衰えていて、免疫反応が起こりにくいだけでなく、起こらない場合もあるので、ワクチンによって免疫を獲得するのが若い人に比べると困難です。そして、ワクチンの安全性がある程度証明されていてもワクチンを拒絶する人達がいます。

  さらに、発展途上国はインフラが脆弱で、道路状況が悪いだけでなく、停電もしばしば起きます。その前提でワクチンを開発、供給しなければなりません。先進国では、どんな僻地へでもワクチンが供給されますが、発展途上国では地方の中心都市止まりで、交通手段がなくても出ていかなければならないので大変です。

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