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役病15 2022. 3. 1 超過死亡数の分析

 オミクロン株B.1.1.529の亜種BA.1による、日本での新規感染者は2月3日に104,438人でピークを打ち、また死者は2月22日に322人でピークとなって、徐々にピークアウトして行っています。ただ、BA.1がピークアウトしても、ステルスオミクロンと呼ばれる亜種BA.2の市中感染が多数認められることから、いずれ置き換わるだろうと予測されています。

 東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授によると、ウィルスの遺伝子配列を比較した場合、BA.1とBA.2の配列の違いは、最初に中国で生まれた武漢型の配列とデルタ株の配列の違いの2倍ぐらいで、BA.2はBA.1と比べると感染力は1.4倍で、さらに病原性が高く、重症化する可能性が高いそうです。

 総合研究大学院大学先導科学研究科の佐々木顕教授は、A型インフルエンザウィルスや今回のウィルスなどの病原体に焦点を当てて、その感染力や病原性の進化を解析すると、免疫やワクチンから上手く逃げるウィルスや流行拡大中のウィルスでは、より強毒化の傾向があることを明らかにしました。

 佐々木教授は、オミクロン株はデルタ株などと比べて一見、弱毒化しているように見えても、感染部位が違うために宿主への影響も異なるのだろうとして、オミクロン株の変異の蓄積による強毒化を警戒しています。

  3月20日から4月10日くらいに新規感染者数は下げ止まって、その後BA.2が優勢となるのではないでしょうか。そして、春休みに旅行する方々が感染を拡大させて、思いの他、多くの死者が出てしまうのではないでしょうか。

  オミクロン株が出現してから全てのサイクルが早くなっているようで、厚生労働省は入院期間を最短4日に短縮するように求めています。その根拠として、今年1月の入院患者のうち、4日間の入院期間を過ぎて中等症2以上の酸素投与が必要な中等症、そして重症、死亡にまで悪化したのが0.9%だったことを挙げています。

  では、感染者はどれくらいの日数で悪化しているのかというと、広島県の調査結果によれば、県内の患者データを分析し、第5波(昨年7月1日~10月31日)と第6波(昨年12月22日~今年1月)を比較すると、発症(無症状や不明は陽性判明日)から中等症2以上への移行までの日数は、3日以内が第5波は10%だったのに対し、第6波では35%と3倍以上です。逆に、第5波では8日以上47%を占めていましたが、第6波では25%に止まっています。第6波では、発症後いきなり症状が悪化していることがよく分かります。

  オミクロン株は重症化しにくいといわれていますが、肺炎を起こさないだけで、基礎疾患のある高齢者は、症状がいきなり重症化しているようです。死者もこれまでにないペースで増えています。

  厚労省医薬・生活衛生局生活衛生課は2月7日、都道府県、市町村、特別区の衛生主管(部)局宛に「オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について」と題した事務連絡を出しています。その中で、オミクロン株の感染力の高さもあって、死亡者数が再び全国的に増加していることから、災害発生時と同様に広域火葬計画の整備が必要であるとしています。

  統計データを見ても、超過死亡数が増加しています。超過死亡数とは、例年同期の死亡者数に比べてどのくらい亡くなったかを数値で表したものです。厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、2021年の死亡数は145万2289人で、初めて140万人を突破しました。また、2021年の国内の死亡数は前年より6万7745人(4.9%)も増えて、超過死亡数は東日本大震災の2011年の約5万5千人を上回って戦後最大となりました。

  原因については、疫病が蔓延している中、精神的なストレスと運動不足によって健康が損なわれているのではないかと言われています。しかし、2020年は同じことが当てはまるにもかかわらず減少しています。理由は他にあるのではないでしょうか。

  2020年の死亡数は138万4544人で、2019年と比べると9373人(0.7%)減少しています。死亡数は高齢化によって年平均2万人ほど増えていましたが、11年ぶりに減少しました。ということは、今回のウィルスによる死者が3443人もいたのに、予測された死亡数を3万人ほど下回ったことになります。これは感染対策を徹底して公衆衛生に気を使っていた賜物なのではないでしょうか。

  今回のウィルスの影響がないものとした場合、2021年の推定される死亡数は139万3917人(2019年の死者数)+2万×2=143万3917となります。これから感染対策の効果3万人を引くと、約140万4千人の死者数が出ていてもおかしくはないと弾き出されます。

  しかし、2021年の実際の死亡数145万2289人との間には約4万8千人の乖離があります。今回のウィルスによる2021年の死者数は1万4946人で、この中にはウィルスが後押しをしたかもしれませんが、80歳を過ぎて実質的には老衰で亡くなった方もいると思います。ウィルスが直接の原因となって亡くなった方を1万4千人としても、なお3万4千人の乖離があります。

  2021年には例年にない特別なことがありました。ワクチン接種です。この数字の全てがワクチン接種によるものとは言いませんが、ウィルスで死んだ方よりもワクチンで死んだ方のほうが多いのではないでしょうか。

 ワクチンによって死亡を免れた方は、ワクチンによって死んだ方よりも多いかもしれませんが、ウィルスに感染して死亡する方は元々、健康に問題があった可能性があります。しかし、ワクチンによって死んだ方は何の問題もなかったのではないでしょうか。

  ワクチンの3回目接種が進んでいますが、医療従事者でも頑なにワクチンの接種を拒んでいる方がいます。2回目接種までは周りから接種するように促されていたようですが、3回目接種になると何も言われなくなったようです。周りの人達もワクチンには懐疑的となり、3回目には積極的ではないようです。

 

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